NEC、札幌市消防局の災害対応用基幹ネットワークをSDNで構築
~非常時でも通信を継続する高い可用性を実現~
2017年7月4日
日本電気株式会社
NECは、札幌市消防局の災害対応用システムにおいて、SDN(注1)を活用した無線と有線で構成された災害対応用基幹ネットワークを構築しました。
今回のネットワークは、IPのシステムも収容可能なため、従来使用されていた独自通信規格のシステムをIP化する際も、順次収容することが可能です。
これにより、災害発生時に通信不能となるリスクを軽減するとともに、柔軟な変更・拡張性を実現します。多重無線におけるSDNを活用したネットワークの構築は初めてとなります。
本システムはヘリコプターからの映像伝送システム、高所・局舎監視カメラ、災害発生時に対策本部が利用するためのテレビ会議システムなどの複数のシステムにより構成され、SDNを導入したことにより、既存の独自通信規格とIP通信を併存させた段階的なシステム変更が可能となります。将来、システムの高度化に向けてSDNの拡張性を活かし、柔軟に対応することも可能です。
NECは社会ソリューション事業に注力しており、SDNを活用したシステムを国内外で600以上納入しています。IoT時代に必要なセキュアで柔軟なネットワークの構築や運用を、SDN技術の提供を通して実現していくことで、企業の安全・安心なネットワーク運用に貢献していきます。
背景
災害対応用システムは、災害状況を正確に把握し、迅速かつ的確な情報収集、伝達することが必要であるため、極めて高度な可用性が求められます。そのため、特に災害発生時に利用するシステムに関しては、既存の通信サービスではなく、独自に整備した自前の通信網で構築してきました。近年、システムのIP化が急速に進んでおり、順次IP化していくシステムを収容していく必要がありました。
今回、NECは各種防災システムのIP化に対応するとともに、SDNの自動迂回機能を活用して、災害時でも可用性の高い災害対応基幹ネットワークの構築を行いました。
札幌市防災系基幹ネットワーク概略図
今回の構築システムの特長
- システムのIP化に対応
SDNコントローラ(UNIVERGE PF6800):2台、SDNスイッチ(UNIVERGE PF5200シリーズ):3台などを導入し、災害対応用ネットワークの一部をSDN化し、今後システムがIP化された場合、収容できるようにしました。SDNを導入した消防指令システム、ヘリコプターからの映像伝送システム、高所カメラ、局舎監視カメラ、災害発生時に対策本部が利用するためのテレビ会議システムなどの各システムは仮想ネットワーク(VTN、注2)により、セキュリティを担保しつつ分離されています。 - 段階的なシステム移行が可能
SDNを導入することにより、これまで独自の通信規格で構築されていた災害対応用システム用の通信ネットワークを段階的にIPへ移行することが可能となります。これにより、全面IP対応のネットワークの実現とシステムの高度化に向けた、更新や追加に柔軟に対応可能です。 - 高度な可用性を実現
災害発生時に機器にトラブルが発生しても、自動で迂回ルートに切り替えて、通信を継続させることができるため、通信状態が止まることの許されないシステムに、高度な可用性を実現します。
NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
- (注1)Software-Defined Networking:ネットワークをソフトウェアで制御する概念。
- (注2)仮想テナントネットワーク(VTN:Virtual Tenant Network):
物理的なネットワークを共有した上で、ソフトウェアによって設定する論理的なネットワーク
NEC SDN Solutions
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