NEC、富士市に災害時の業務継続と効率的な行政運営体制を実現するRed Hat OpenStack PlatformとRed Hat Ceph Storageをベースにしたプライベートクラウド基盤を納入
2017年6月29日
日本電気株式会社
NECは、富士市(静岡県富士市永田町1丁目100番地 市長:小長井 義正、以下:富士市)に、Red Hat OpenStack Platformを採用したプライベートクラウド基盤である「Cloud Platform for IaaS」を納入しました。富士市では、この基盤を活用し、災害時の業務継続と効率的な行政運営を進めていく予定です。
「Cloud Platform for IaaS」は、拡張性のあるオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアであるRed Hat OpenStack Platformとソフトウェアデファインドの統合ストレージプラットフォームRed Hat Ceph Storage(注1)を採用したレディメイド型(注2)プライベートクラウド基盤です。本基盤は、事前に設計、検証済みの構成で統合化しており、今回、機器納入から初期セットアップまで1週間という短期間での導入を実現しました。また本事例は、公共分野においてOpenStackを本番環境に利用する先進的なものになります。
本システムは今後、既存システムのクラウドへの移行や集約、外部データセンターとの併用による災害時の業務継続、また、市庁舎内での新たな要望へのタイムリーなリソース提供など、クラウドならではの柔軟性を持った基盤として活用が進められる予定です。
NECは、社会ソリューション事業に注力しており、今後も「Cloud Platform for IaaS」をはじめとしたクラウド基盤をクラウド事業者や企業・官公庁へグローバルに提供することで、社会や企業活動を支えるICTインフラの高度化に貢献します。
背景
富士市では、近年、急速な技術の進展によるICT環境の変化を受け、より一層の市民サービス向上や、行政運営の効率化・高度化に向けた情報化施策に取り組むため、また、東海地震や南海トラフ地震をはじめとした災害発生等を想定して策定された「業務継続計画(ICT-BCP)」を実現するため、行政運用体制の強靭化が求められていました。
同市はこれまで、外部に位置するデータセンター内に基幹システムを保有し、市職員はシンクライアントを活用して業務を行ってきました。しかし、災害発生時における回線の切断など、復旧に時間を要する事態やその他不測の事態の際、市庁舎から住民情報にアクセスできなくなるリスクも抱えており、データや業務システムのバックアップをはじめとした、柔軟性の高い環境を市庁舎内にも構築する必要がありました。
また、市内外からの要望や制度改正に合わせたシステム変更など、ハードウェアリソースの追加や新たなシステムの構築が必要になることがあります。同市では仮想化を活用して既存のサーバ上に実行環境を構築するなどしてきましたが、全体像の把握が次第に困難になり、効率的な業務推進の上での一つの障害となりつつありました。
そのような状況を受け同市は、すでにデータセンターでの利用実績もあり有用性を理解していたIaaS基盤を、市庁舎内のオンプレミス環境に構築することで、これらの課題への対応を図りました。
「Cloud Platform for IaaS」導入による効果
- 短期間での導入、増設・拡張が容易
事前設計・検証済みのため、機器納入から初期セットアップまで1週間という短期間での導入を実現。将来増強する際にも稼働中の仮想マシン(VM)を停止すること無く、サーバ機器(ノード)を追加して仮想環境の拡張(スケールアウト)が可能。 - オープン性を確保
Red Hat OpenStack Platform等のオープンソースのクラウド基盤技術を採用することで、オープンスタンダードに対応。オープンソースのコミュニティ活動やクラウド基盤構築のノウハウを活かしNECが技術面・運用面でサポート。 - リソースの柔軟な追加や全体把握が容易に
基盤上で複数稼働しているシステムやネットワークセグメントに対する端末からのアクセス可否状況などをダッシュボード上で一覧表示。管理負担を軽減するとともに、柔軟なリソース再配分により災害発生時にも被災状況や負荷状況に合わせた業務継続が可能。
本システムは今後、既存システムのクラウドへの移行や集約、外部データセンターとの併用による災害時の業務継続、また、市庁舎内での新たな要望へのタイムリーなリソース提供など、クラウドならではの柔軟性を持った基盤として活用が進められる予定です。これにより、制度変更への対応や新たなサービス提供をタイムリーに実現することが可能になり、より質の高い住民サービスの提供を目指しています。
なお、NECは本プライベートクラウド基盤「Cloud Platform for IaaS」を「OpenStack Days Tokyo 2017」(会期:7/20(木)、21(金) 会場:虎ノ門ヒルズフォーラム 4F/5F(港区))に出展します。
NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
サポートコメント
富士市 総務部情報政策課 課長 深澤 安伸氏
災害対策と効率的な行政運営体制の実現を目指しOpenStackを利用したプライベートクラウドの構築を模索していました。住民サービスを支援する重要なシステムであるからこそ、OpenStackの実運用に関する広範な経験を備えた信頼のおけるパートナーとの提携を望んでいましたが、今回NEC様とレッドハット様のご協力により、堅牢かつ拡張性に優れたIaaS基盤が構築できました。これにより、制度変更への対応や住民へのサービス提供をタイムリーに行うことができ、災害発生時の業務継続を見据えた運用も可能となりました。
レッドハット株式会社 代表取締役社長 望月 弘一
富士市様は、オープンで拡張性に優れ、柔軟性の高いプライベートクラウド環境の構築にRed Hat OpenStack PlatformとRed Hat Ceph Storageを採用されました。災害対策やより質の高い住民サービスの提供を目指した今回の取り組みは、政府官公庁や地方自治体におけるオープンソースソフトウェアとクラウド技術活用におけるICT先進事例の1つと言えるでしょう。
以上
- (注1)Red Hat Ceph Storage:オープンソースで開発されている分散ストレージソフトウェア
- (注2)レディメイド型:必要なサーバ/ネットワーク/ストレージ/管理ソフトウェアを、予め設計・検証済みの構成で提供する統合型システム
- *Red Hat、Cephは、米国およびその他の国におけるRed Hat, Inc.およびその子会社の商標または登録商標です。 OpenStackのワードマークは、米国およびその他の国々におけるOpenStack Foundationの登録済みの商標/サービスマークまたは商標/サービスマークのいずれかであり、OpenStack Foundationの許諾の下に使用されています。
本内容の詳細について
「Cloud Platform for IaaS」について
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC ITプラットフォーム事業部
E-Mail:promote@oss.jp.nec.com
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