NEC、量子暗号システムの実用化に向けた評価実験をサイバーセキュリティ・ファクトリーで開始
2015年9月28日
日本電気株式会社
NECは、理論上盗聴できない暗号技術である量子暗号の実用化に向けて国内で初めて長期のフィールド評価実験を開始しました。
NECは、サイバーセキュリティ対策の要となる施設サイバーセキュリティ・ファクトリー(注1)において、同一フロアの異なる部屋との間でサイバー脅威情報等を暗号化して通信するための暗号鍵を「量子鍵配送」技術により供給する評価実験を、国立研究開発法人 情報通信研究機構(以下 NICT、注2)の協力を得て実施します。
NECは、安全・安心・効率・公平で豊かな社会の実現に向け、ICTを活用した高度な社会インフラを実現する「社会ソリューション事業」の中核の一つとしてサイバーセキュリティ事業を位置づけ、強化を進めます。
背景
NECはNICTより委託研究「セキュアフォトニックネットワーク技術の研究開発」を受託し、NICT内の実験室(試験環境)において、量子鍵配送装置の長期運用試験を実施してきました。
「量子鍵配送」は、量子力学にもとづき光子を使って拠点間で暗号鍵を共有する仕組みであり理論上安全とされていますが、それを具体的に実現した装置が理論通り実現(実装)できているかの安全性を評価する手法の検討については、これまで着手できていませんでした。
実験の概要
今回、NECは、量子鍵配送について、装置が理論通り実現できているかの検証を含めた安全性評価および安全性評価手法の確立を推進するとともに、より利用者に近い環境での長期評価実験を実施することにより量子暗号通信の実用化を目指します。
さらに、現在実際に利用されている暗号と量子鍵配送の統合による高速かつ高度に安全な暗号技術として、量子鍵配送装置からの暗号鍵を種鍵(たねかぎ)として使用する高速回線暗号装置の開発と評価もあわせて行います。高速回線暗号装置としてはNECの「COMCIPHER(コムサイファー)」(注3)を改造して使用します。この実験により量子暗号技術と現代の暗号技術の親和性を高め、利用者が必要とするセキュリティレベルに合わせた装置提供を可能とし、利用者の拡大に寄与することが期待できます。
この試験運用の成果はNECも参加している革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現」(PM:山本喜久、注4)における2016年度以降の研究開発に引き継ぎ、より利便性・安全性の高い量子暗号システムの開発を進める予定です。
NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICT技術や知見を融合し、人々がより明るく、豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
- (注1) 2014年6月16日発表。『NEC、「サイバーセキュリティ・ファクトリー」が本格稼働』
http://jpn.nec.com/press/201406/20140616_01.html - (注2) 国立研究開発法人 情報通信研究機構:所在地 東京都小金井市、理事長 坂内正夫
http://www.nict.go.jp/ - (注3) 回線暗号装置COMCIPHER
http://jpn.nec.com/access/prod/comcipher.html - (注4) 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/about-kakushin.html
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