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ガバメントクラウドとはなにか(前編)
Government Column
こんにちは。NECで主に官公庁・自治体のお客様向けのご支援をしている堀田です。
これから複数回に分けて、日本のデジタル庁が整備しているガバメントクラウドについて、お客様からよくいただくご質問を中心にわかりやすく解説していきたいと思います。
INDEX
ガバメントクラウドとは?お客様からよくいただく疑問
ガバメントクラウドと第二期政府共通プラットフォーム
ガバメントクラウドとは?お客様からよくいただく疑問
ガバメントクラウドとはどのようなものか?
ガバメントクラウドのAWSは、通常契約するAWSと何が違うのか?
このようなご質問をとても多くいただきます。今回は、日本のデジタル庁が整備しているガバメントクラウドとは何か、その概要を過去に立ち戻りながらご紹介します。
デジタル庁がガバメントクラウドとして採用したクラウド
ガバメントクラウドは、デジタル庁が審査しガバメントクラウドとして採用したクラウドサービスを指します。では、どうしたらガバメントクラウドとして採用されるのでしょうか。実はその基準などはインターネット上に公開されています。
デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供(令和5年度募集)
上記サイト内には以下の資料が公開されています。
- 応募要領
- デジタル庁におけるガバメントクラウド整備のためのクラウドサービスの提供(令和5年度募集)調達仕様書
- 調達仕様書 別紙1(基本事項及びマネージドサービスの技術要件詳細)
- 調達仕様書 別紙2(覚書)
- 調達仕様書 別紙3(クラウドサービスの整備に係るクラウド予定利用量)
- クラウドサービス基本契約書
ここではガバメントクラウドとして満たすべき機能的な基準(「調達仕様書 別紙1(基本事項及びマネージドサービスの技術要件詳細)」)やデジタル庁との契約(「クラウドサービス基本契約書」)などが記載されています。特に、「調達仕様書 別紙1(基本事項及びマネージドサービスの技術要件詳細)」を見ると、ガバメントクラウドとして満たすべき機能要件が詳細かつ多岐に渡ることがわかります。
ISMAP=ガバメントクラウド?
ISMAPを取得していたらガバメントクラウドになるのか?
これもよくいただくご質問ですが、間違いです。上記の調達仕様書 別紙1(基本事項及びマネージドサービスの技術要件詳細)の「基本事項 No57 認証取得」では以下のように定められています。
『ISMAP制度の認証(監査終了)を「機能等証明明細書」提出時点までに取得していること。』
すなわち、ISMAP認証を取得しているサービスはガバメントクラウド公募に申請する前提となりますが、ISMAP認証を有していたらガバメントクラウドになれるわけではありません。ISMAP認証は前提条件であり、そのうえでガバメントクラウドとしてデジタル庁による審査に合格する必要があります。
<キーワード解説>「ISMAP」(イスマップ)
ISMAPは政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program)の略。
政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、もってクラウドサービスの円滑な導入に資することを目的とした制度です。
ISMAPの詳細や最新情報は、 「ISMAP - 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」サイトを参照ください。
(ご参考)
コラム3:クラウド関連の規定・認証について(ISMAP)
AWS GovCloudとは別物!
AWS社が提供するGovCloudとの違いについてご質問をいただくことがあります。AWS GovCloudは、アメリカ本土に設置される、米国政府機関向けに提供される専用環境(リージョン)で、アメリカ東部と西部の2か所にあります。
ここまでお読みくださった皆様には、これは全く別物であることがわかると思います。日本において、過去にガバメントクラウドを「Gov-Cloud」と表記していた時期があること、名称が非常に似ていることで混乱が起きたのでしょう。
- 「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)」とは、政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境であり、早期に整備し、運用を開始することとしています。
ガバメントクラウドと第二期政府共通プラットフォーム
第二期政府共通プラットフォームとは
ガバメントクラウドの運用が開始される前に、第二期政府共通プラットフォームと呼ばれるクラウド環境が整備され運用されました。第二期政府共通プラットフォームは「政府共通プラットフォーム第二期整備計画」にて整備計画が定められたものでした。
上記資料の「第2 目的及び意義」には以下のように整備目的が示されています。
- 政府共通 PF は、政府共通ネットワーク(以下「政府共通 NW」という。)を通じ、政府情報システムの統合・集約化や政府情報システムに必要な共通的機能に関するサービスを提供する。これにより、政府情報システムの IT リソースの効率的利用や質の向上に貢献し、政府のIT ガバナンスを支える基盤としての役割を果たす。また、政府共通 NW については、政府共通PF を含む政府内部のデータ流通を安定的かつ効率的に確保することを目的とする。
第二期政府共通プラットフォームでは利用クラウドとしてAWSが選定されました。AWS上に共通プラットフォーム環境が整備され、2020年10月より運用が開始されています。
なお、NECは第二期政府共通プラットフォーム運用開始時に運用管理業務の事業者に採択されています。