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ガバメントクラウドで生成AIを利用するには?

Government Column

ガバメントクラウド上で生成AIを利用するための3つの条件

こんにちは。NECで主に官公庁・自治体のお客様向けのご支援をしている堀田です。今回は、「政府情報システムにおける生成AIの利活用」についてお話しします。

2026年から、全府省庁約18万人の政府職員を対象とした生成AI利用環境「源内(げんない:GenAI)」の大規模実証が始まります。これは、「ガバメントAI」と称するデジタル庁の取組みの一環であり、官庁が自ら率先して生成AIを業務に取り入れる時代が本格的に到来したと言えます。
参考:ガバメントAI「源内」 new windowhttps://www.digital.go.jp/policies/genai
このように政府全体としての生成AI活用が進む一方で、各府省庁・地方公共団体の個別業務システムにおいても、生成AI活用の検討が今後急速に進むと考えられます。そこで今回は、政府情報システムへの生成AIの組み込み、特にガバメントクラウド上で生成AIを利用する場面にフォーカスして、ガバメントクラウド上で生成AIを利用するために押さえるべき3つの条件を取り上げます。

<キーワード解説>「源内」(げんない:GenAI)
源内は、デジタル庁が内製開発で構築した政府職員向けの生成AI利用環境です。2025年5月にデジタル庁職員向けに提供を開始、2026年より一部省庁への導入を進め、今後は全府省庁約18万人規模の大規模実証が予定されています。2026年4月24日にはソースコードの一部がOSSとして公開されました。なお、源内はあくまで政府職員が業務利用する「共通の生成AI利用環境」であり、各府省庁・地方公共団体の個別業務システムそのものに生成AIを組み込む場面とは区別して考える必要があります。

(ご参考)
ガバメントAI「源内」をOSS(オープンソースソフトウェア)として公開しました
new windowhttps://www.digital.go.jp/news/907c8e5d-2f4f-4bd7-9400-37c9f4221d7d

ガバメントクラウドでも生成AIを使いたい!

ガバメントクラウド上で構築する個別業務システムにて最新の生成AIモデルを使って業務を効率化したい!このようなご相談をいただく場面が非常に増えてきています。AWSを例にすれば、Amazon Bedrockが用意されていますので、Bedrockから利用可能な生成AIモデルを自由に選べると考えてしまいがちですが、実際には大きく3つの条件を満たす必要があります。

ガバメントクラウド上で生成AIを利用するための3つの条件

  • 条件① 国内で利用可能なモデルであること
  • 条件② ISMAPを満たすこと
  • 条件③ 生成AIメーカーとデジタル庁(または利用組織)の契約関係

それぞれ順に見ていきましょう。

条件① 国内で利用可能なモデルであること

まず、1つめの条件からです。ガバメントクラウドの大前提として、データの処理・保存は国内リージョンで行うことが求められます。これはガバメントクラウドの技術要件として定められているもので、生成AIを利用する場合でも同様です。この点について、2025年11月に開催されたクラウドコンファレンスでのデジタル庁 講演資料「ガバメントクラウドでの生成AI活用とガバナンス」には、次のように記載されています。

ガバメントクラウドでは、採択したCSPが提供するAIサービスを国内に閉じて選択して利用可能
(デジタル庁「ガバメントクラウドでの生成AI活用とガバナンス」2025年11月6日より抜粋)

また、同資料ではガバメントクラウド上で利用可能な生成AIモデルの例として以下が挙げられています。

ガバメントクラウドで利用可能な生成AIモデル例(同資料より、2025年10月時点)
CSP AIサービス 生成AIモデル例
AWS Amazon Bedrock Claude Sonnet 4.5、Claude Haiku 4.5
Google Cloud Vertex AI gemini-2.5-pro
Azure Azure OpenAI Service gpt-4o
OCI OCI生成AI Llama、Cohere、gpt-oss-120b/20b

その後も各CSP(Cloud Service Provider)で新しい生成AIモデルの国内リージョン提供が進んでいます。2026年4月16日にはAnthropicの最新モデルClaude Opus 4.7がリリースされ、jp.anthropic.claude-opus-4-7という日本国内クロスリージョン推論プロファイルが用意されています。繰り返しになりますが、最新モデルだから使えるわけではなく、国内リージョンで提供されているモデルが選択可能なモデルとなります。

条件② ISMAP要件を満たすこと

つぎに、2つめの条件がISMAP要件への適合です。政府情報システム調達では、原則としてISMAP(またはISMAP-LIU)クラウドサービスリストから選定することが求められます。一方で、生成AIのSaaSサービスの多くはISMAPに登録されていないのが実情です。しかし、ここに重要なルールがあります。2026年1月9日にISMAPポータルサイトに掲載された「生成AIサービスに関する留意点について」では、生成AIとISMAP登録の関係が次のように整理されています。

クラウドサービス事業者が生成AIサービスをSaaSとして提供する場合には、当該SaaSは原則としてISMAP等クラウドサービスリストに登録が必要となります。これは生成AIサービスを外部連携で利用する場合においても同様です。なお、ISMAPに登録されていない生成AIサービスをISMAPに登録されているIaaS、PaaSを用いて提供しても、当該生成AIサービスはISMAPに登録されているサービスと同等とみなすことはできません。
ただし、クラウドサービス事業者が、生成AIモデルを提供する事業者から生成AIモデルの提供を受け、当該生成AIモデルの扱うデータに対してセキュリティ管理機能を適用する自らの生成AI開発基盤において生成AIサービスを提供する場合(PaaSに相当)に、当該生成AI開発基盤を言明対象範囲に含めてISMAPに登録したときには、通常は当該生成AIサービスが取り扱うデータのセキュリティは、ISMAPのセキュリティ要件を満たす状態とみなされます。この場合において、クラウドサービス事業者が生成AI開発基盤を言明対象範囲に含めてISMAPの登録を行う場合には、提供される個々の生成AIモデルを言明対象範囲に含める必要はありません。また、提供される生成AIモデルは必ずしもISMAPに登録されている必要はありません。
(ISMAPポータルサイト「生成AIサービスに関する留意点について」より抜粋 new windowhttps://www.ismap.go.jp/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0011070

この記載を整理すると、次のようになります。

  • 原則:生成AIサービスをSaaSとして提供する場合、そのSaaS自身がISMAP(またはISMAP-LIU)に登録されている必要がある
  • 例外:クラウドサービス事業者が自らの生成AI開発基盤(例:Amazon Bedrock)にセキュリティ管理機能を適用し、その生成AI開発基盤自体をISMAPの言明対象範囲に含めて登録している場合、その上で動作する生成AIモデルについてはISMAP登録は必須ではない

ガバメントクラウドの場合、Amazon Bedrock、Vertex AI、Azure OpenAI Serviceといった各CSPが提供する生成AI開発基盤がISMAPの言明対象範囲に含まれていれば、その基盤上で提供される生成AIモデル(例:Anthropic Claude等)は個別にISMAP登録されている必要はないという整理となります。

条件③ 生成AIメーカーとデジタル庁(または利用組織)の契約関係

3つめは、契約面の話です。ここが意外と盲点になりやすいポイントで、お客様との議論の中でも「CSPのAI基盤を使うのだから、(ガバメント)クラウド契約で完結するはず」と誤解されているケースを見かけます。ガバメントクラウドそのものは、過去のコラム(通常のクラウドとガバメントクラウドの違いはなにか)でご紹介した通り、デジタル庁がCSPと直接契約しているという点が特徴です。では、そのCSPの生成AI開発基盤上で動く生成AIモデルは、CSP契約の中で完結するのでしょうか?この点について、民間企業向けではありますが2026年に入って動きがみられます。Anthropic社が提供する「Anthropic Authorized Reseller Program for Amazon Bedrock」に、国内のAWSパートナー各社が相次いで参画しています。2026年4月現在、複数のAWSパートナーが本プログラムへの参画と、Amazon Bedrock経由でのClaudeライセンス再販開始を発表しています。これらのプレスリリースからは、Amazon BedrockというサービスとしてのAWSとの契約と、その上で動作する生成AIモデルのライセンスは、別の契約レイヤーとして扱われる場合があるということが読み取れると思います。これを政府情報システム文脈に置き換えると、ガバメントクラウド上でCSPのAI基盤を経由して生成AIモデルを利用する場合であっても、生成AIモデル提供事業者とデジタル庁または利用組織との間で、何らかの契約関係の整理が必要になる可能性がある、と考えられます。現時点では、ガバメントクラウドでのこれら状況について公開資料は限られています。前述の「ガバメントクラウドでの生成AI活用とガバナンス」では、Amazon Bedrockで利用するClaudeについて、「別途契約が必要」との記載があります。

実務上の推奨

実務上の推奨としましては、情報が公開されるまでは、ガバメントクラウド上のCSP契約範囲で利用したい生成AIが利用可能なのかを事前にデジタル庁に確認いただくことをお勧めします。「日本リージョン対応」、「ガバメントクラウドCSPの生成AI開発基盤(例:Amazon Bedrock)で利用可能」=「ガバメントクラウドで利用可能」とは限らないことに注意が必要です。

まとめ

ここまでの3条件を整理すると、次のような判断フローになります。

ガバメントクラウド上で生成AIモデルを利用する際の判断フロー
ステップ 確認事項 判断基準
① モデルの国内利用可否 使いたい生成AIモデルは、CSPのAIサービスを介して国内リージョンで提供されているか 提供されていればOK
② ISMAP要件 当該CSPの生成AI開発基盤はISMAPの言明対象範囲に含まれているか 含まれていればOK
③ 契約関係の確認 ガバメントクラウドのCSP契約の枠組み内で利用可能か/AIベンダとの別契約が必要か デジタル庁に事前確認

この3つをすべて通過したモデルが、初めてガバメントクラウド上の政府情報システムで利用できる生成AIモデルの候補となります。

言い換えれば、「最新の話題のモデルだから使いたい」という理由だけでは政府情報システムには持ち込めないということです。ただ、Anthropic Claude Sonnet4.6、Opus4.7といった話題の生成AIモデルは条件①、②をクリアしています。残る課題は条件③ですが、生成AIモデルは今後も頻繁なリリースが予想されますので、随時の確認が必要と思われます。

さいごに

今回は、ガバメントクラウド上で生成AIを利用するための3つの条件を整理しました。生成AIの活用は、業務の効率化に向けて不可欠だと考えています。省庁・自治体の皆様および政府情報システムの構築に携わる皆様にとって、生成AI利活用の理解と円滑な利用への一助になれば幸いです。
また、これから運用が本格化する中で、決して楽ではない検討課題もあるかと思いますが、NECでは引き続きガバメントクラウドおよびクラウドに関するトータルサポートをご提供しております。クラウド検討や生成AI活用の良きパートナーとして、ぜひお気軽にご相談ください!

公開日 2026/5/29

本コラム内容は公開日の時点の情報を基に記載しています。


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執筆者紹介

堀田 佳宏(ほった よしひろ)

NEC
官公インフラDX事業部門
官公ソリューション統括部
上席プロフェッショナル
2025 AWS All Certificate & Ambassadors


学生時代に見た「serial experiments lain」に感銘を受け、ネットワークエンジニアを夢見て上京。民需、金融、官公庁・自治体のネットワークを中心としたプラットフォーム領域のシステムインテグレーションに従事。プラットフォームシステムインテグレーションの魅力にハマる。2017年より官公庁領域でのクラウド技術検討を開始。官公庁領域におけるクラウド移行の提案や技術支援、情報集約を行うチーム Cloud Architect Team(CAT)を立ち上げ活動中。クラウド移行の提案や技術支援、情報集約から得られた知見を活用したクラウド関連サービス企画も実施中。趣味はDIY、ビリヤード。学生時代にやっていたライフル射撃(エアライフル)を再開する機会をうかがう日々を送る。

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