NEC、スマートグラスを活用したARによるピッキング支援ソリューションを開発
~腕を仮想キーボード化し、対象物から視線を外さず操作可能な「ARmKeypad」により実現~
2017年11月7日
日本電気株式会社
NECは、スマートグラスとスマートウォッチを用いて、対象物から視線を外さないアイズフリーでの操作を実現する「ARmKeypad (アームキーパッド)(注1)」の新たな機能を用いて、製造・物流、その他の分野でのピッキング業務をAR(拡張現実)で支援するソリューションを開発しました。現在、病院の薬剤部や工場の現場で本製品を用いた実証実験を行っており、作業ミスの改善や作業時間の短縮などの効果を確認しました。
今回用いたアームキーパッドは、腕に表示される選択画面をタッチ(振動)することで入力可能とするこれまでのアームキーパッドに対し、スマートグラス上に表示される選択画面を腕の傾きと腕へのタッチにより入力可能にすることで、対象物から視線を外さないアイズフリーでの操作機能を追加しました。これにより、視線移動により取り間違いなどが想定される現場や、作業のスピードが求められる現場での活用に有効です。
NECは「社会ソリューション事業」に注力しており、豊かな社会を支える情報通信基盤の提供を通じて、ワークスタイルの改善や生産性の向上に貢献します。
背景
昨今、現場業務をハンズフリーで行うためのスマートグラスの導入が進んでいます。NECは、2015年11月、スマートグラスとスマートウォッチを用いて作業者の腕を仮想キーボード化するアームキーパッドを開発し、実証実験を進めてきました。アームキーパッドは、腕に表示される画面をタッチ(振動)することで入力を判別する技術ですが、視線移動により取り間違いなどが想定される現場や作業スピードが求められる現場などでは、対象物から視線を外さないアイズフリーでの操作が求められます。
アームキーパッドを用いたARによるピッキング支援ソリューションの特長
- 作業手順を見える化
作業手順をスマートグラス上にARでガイド表示します。ピッキング業務では、棚に保管されている対象物の位置をARでガイドすることにより、経験が浅い作業者や作業内容の変更が頻繁にある現場でも、ミスなく効率的に作業を進めることが可能です。 - アイズフリーでの操作を実現
腕にとりつけたスマートウォッチの加速度センサを活用し、腕の傾きでスマートグラスに表示される選択画面から選び、腕へのタッチ操作による入力が可能です。これにより、視線を対象物から外すことなく確認登録が可能です。また、視覚による操作フィードバックのほか、体性感覚による操作フィードバックを活用できるため、感覚的な操作が可能です。
本ソリューションを用いた実証実験例
現在、病院の薬剤部や工場の現場で本製品を用いた実証実験を行っており、作業ミスの改善や作業時間の短縮などの効果が確認できています。
- (1)病院の薬剤部での実証実験
病院の薬剤部にて薬剤ピッキングの作業ミスを防止する実証実験を行っています。グラスカメラで処方箋バーコードを読み込み、薬剤ピッキングリストをグラスへ表示、薬剤棚をみるとどの棚からどこにある薬をピッキングすればいいのかがARでガイド表示されるというものです。実際に薬剤を取り出し、腕を傾け確認登録をすると取り出した薬剤がピッキングリストから消去されます(注2)。本実証実験では、従来1日の業務300件に対し、約5件の発生が想定されるピッキング時の取り間違いを0件にできることを確認しました(注3)。
- (2)製造現場での実証実験
NECネッツエスアイ株式会社のsDOC埼玉センター(注4)にてICT機器の修理業務における物品管理作業を効率化する実証実験を行っています。修理見積時や修理作業の際、預かった機器を一時保管している棚から探す作業を、ARによるガイド表示により作業を支援するものです。本実証実験では、従来に比べ作業時間を18.2%削減できることを確認しました。
NECは今後、アームキーパッドを活用し、製造・物流以外にも警備、流通など、ハンズフリー、アイズフリーの作業が必要となる業種・業務の効率化に貢献します。
NECは本製品を、NECグループが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」(会期:11/9(木)~11/10(金)、会場:東京国際フォーラム(東京都千代田区))にて展示します。
「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」について https://uf-iexpo.nec/
NECグループは、安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
- (注1)NEC、腕を仮想キーボード化するユーザインターフェースを開発
http://jpn.nec.com/press/201511/20151105_04.html - (注2)本検証で構築するシステムは医療機器ではありません。
- (注3)本検証は限られた環境下での技術検証であり、ミスの数は実測値からの推定値です。また、薬剤の交付前には複数チェックをしており、実際に誤って投薬されたケースではありません。
- (注4)NEC ネッツエスアイ、IoTデバイスやモバイルデバイスのサービス基盤を強化
http://www.nesic.co.jp/news/pdf/20161222.pdf
ARソリューションについて
本件に関するお客様からの問い合わせ先
NEC SI・サービス市場開発本部
TEL:03-3798-4070
NECは、社会ソリューション事業を推進する
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