NEC、世界初、土に含まれる水分量から、土砂斜面の危険度を高精度に算出できるデータ解析技術を開発
2015年4月13日
日本電気株式会社
NECは、世界で初めて(注1)、土中水分量を解析することで、土砂斜面の崩壊の危険度をリアルタイム・高精度に算出できる新技術を開発しました。
従来、土砂斜面崩壊の危険度を算出するには、指標となる「土砂の重量」・「水圧」・「土砂の粘着力」・「土砂の摩擦」など、降雨量により変化する土砂状態のデータを取得する必要がありました。また、これらのデータをリアルタイムに得るには、指標ごとに専用のセンサを土中に設置する必要があり、コスト面などの課題がありました。
今回開発した技術は、複数の指標データを「土砂に含まれる水分量」のみから算出可能にし、水分量を計測するだけで、リアルタイム・高精度に斜面の危険度の把握を実現するものです。本技術により、従来に比べ(注2)、約1/3のセンサ数で斜面の「危険度」を算出できるため、従来と同じコストでより広範囲にセンサの設置が可能になります。これにより、土砂災害の危険性がある斜面を高精度に把握することで、住民の避難時間や安全を従来以上に確保しながら、迅速な避難勧告・指示の発信に貢献します。
本技術を用いた実証試験(注3)で斜面の「危険度」を算出した結果、土砂災害の危険性ありと判定した10分~40分後に実際に斜面崩壊が発生することを確認しました。NECは今後、自治体・大学・研究機関等と共同で本技術の実証実験を進め、2015年度中の実用化を目指します。
NECは社会ソリューション事業を推進しており、中でもグローバル成長戦略の柱として、「セーフティ事業」を強化しています。今回の取り組みもその一環であり、今後も新技術の開発・実証を進め、安全・安心な社会づくりに貢献していきます。
背景
現在、土砂災害危険箇所(注4)に指定されるエリアは、日本全国で約52万箇所(注5)に及んでいる一方で、その全てに対して地質調査や対策工事を行うには、多くのコストがかかることから困難な状態にあります。
自治体が土砂災害に伴う避難勧告・指示を発令する際の判断情報の一つとして、都道府県と気象庁が共同で発表する「土砂災害警戒情報」があります。一部の自治体は、この「土砂災害警戒情報」に加え、斜面に設置した監視カメラ・ワイヤセンサ・傾斜センサなどの情報も収集しながら、実際に避難すべき地域を特定し、統合的に避難に伴う判断を行っています。この場合、前兆現象を把握してから実際の崩壊が起こるまで、わずかな時間となることもあり、より早い段階から土砂の状態を把握する方法として、土中に専用のセンサを複数埋め込むことで、土砂斜面の危険度を算出する技術が開発されています。しかし、この算出には土砂崩壊の危険度の指標となる、土中の多様なデータを収集し解析する必要がありました。
今回開発した技術は、水分計センサを用いて計測した、土中水分量データのみを用いて斜面の危険度をリアルタイム・高精度に把握可能にし、住民の避難時間や安全を従来以上に確保し、迅速な避難勧告・指示の実現に貢献するものです。
NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
- (注1) 平成26年11月18日、NEC調べ。
- (注2) 土中水分計、間隙水圧計、ひずみ計の組合せで測定する場合を想定。
- (注3) 人工斜面への降雨実験
- (注4) 現在は土砂災害防止法により全国で土砂災害警戒区域等を指定中。
- (注5) 国土交通省 平成14年度公表データより。 http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link20.htm
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