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WebSAM Cloud - システム障害とは?原因分類・レベル・対策・対応フローを解説
システム障害とは、業務システムやWebサービスが停止したり著しく遅くなるなど「本来の利用ができない状態」を指します。影響は売上や業務継続だけでなく、顧客満足度や信用、復旧コストにまで波及します。
本記事では、システム障害の定義と原因分類、インフラ障害のレベル(重大度)の考え方を整理します。そのうえで、セキュリティインシデントとの関係やビジネス影響を押さえ、システム障害対応のフロー、未然防止のためのシステム障害対策、インシデント管理体制の作り方までを解説します。
この記事で得られること
- 定義と原因分類:システム障害の定義と、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・外部依存という原因分類の考え方
- 原因分析の考え方:原因を内部要因・外部要因に分け、なぜ検知が遅れたのか、なぜ影響が広がったのかまで振り返る視点
- レベルと対応フロー:インフラ障害のレベル(重大度)の決め方と、状況把握から事後対応までのシステム障害対応フロー
- 対策と体制:未然防止のためのシステム障害対策と、属人化させないインシデント管理体制の作り方
結論(要点)
- システム障害は停止だけでなく性能劣化・一部機能不全も含む「通常利用できない状態」。定義を自社のSLA・SLOと結びつけ、判断基準を明確にする。
- 原因分類(4種)とインフラ障害のレベル(重大度)を事前に決めておくと、切り分けと優先順位付けが速くなる。
- システム障害対応は型で動く。状況把握→初動連絡→暫定・恒久の復旧→ポストモーテムの順で、事実と推測を分け記録を残す。
- システム障害対策は面で。冗長化・監視・バックアップ・負荷対策・変更管理・セキュリティ・教育を「運用できる形」で整える。
システム障害の定義と範囲
システム障害とは、システムが期待通りに動かず、利用者が業務やサービスを通常通り利用できない状態です。完全停止だけでなく、処理が極端に遅い、特定機能だけ使えない、データ更新が反映されないといった状態も含みます。
障害かどうかを判断するときは、技術的な状態だけでなく、利用者が通常どおり使えているかを見ることが重要です。運用者にとっては「一部のサーバ停止」でも、ユーザーが購入や申請を完了できなければ、実質的には障害といえます。実務では、障害の定義をSLAやSLO、重要業務の可用性要件と結びつけておくと判断がブレません。どの状態を障害として起票し、誰がいつまでに対応するかを決めることで、初動遅れと報告漏れを防げます。
システム障害の主な種類と原因分類
システム障害は、発生する箇所(発生源)によっていくつかの種類に分類できます。典型的にはハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、クラウド・外部サービス起因の4つです。
同じ「つながらない」でも、DNSの不具合なのか、アプリのエラー率増加なのか、外部APIの遅延なのかで打ち手はまったく異なります。ただし現代のシステムは依存関係が複雑で、単一原因に見えて複合障害であることも多いため、分類は断定のためではなく、仮説を立てて検証の順番を決める道具として使います。
| 種類 | 主な原因 | 切り分け・対策の勘所 |
|---|---|---|
| ハードウェア障害 | サーバ・ストレージ・電源・メモリなど物理機器の故障や劣化 | 冗長化と保守。単一障害点を作らない |
| ソフトウェア障害 | OS・ミドルウェア・アプリのバグ、設定不備、アップデート起因 | 直近の変更点を洗い出す。ロールバック・パッチ |
| ネットワーク障害 | 回線断、DNS・ルーティング不良、機器故障、通信の混雑 | どこまで到達しているかを段階的に切り分け |
| クラウド・外部サービス障害 | 外部API・SaaS・決済など外部依存の停止や遅延 | 責任分界点の理解。回路遮断・代替経路で局所化 |
ハードウェア障害
サーバやストレージ、電源、メモリなど物理機器の故障や劣化によって起きる障害です。クラウド利用でも基盤側で同種の障害が発生する可能性はあります。典型的な症状は、I/Oエラーの増加、ディスク遅延、突然の再起動、電源断による不規則な停止などで、アプリ側のログには原因が出ないこともあり気づきにくい点が厄介です。予兆をつかみにくいからこそ、単一障害点を作らない冗長化と、部品寿命を見越した予防的保守が要になります。
ソフトウェア障害
OSやミドルウェア、アプリケーションのバグ、設定不備、アップデート起因の不具合などで起こります。変更直後に発生するケースが多く、事象の再現性を確認しつつ直近の変更点を洗い出すのが対応の基本です。影響が大きい場合はロールバックや該当機能の一時的な切り離し、既知不具合ならパッチ適用が現実的です。自動テストや段階的リリース、設定の差分管理ができていないと、何を戻せば直るのか判断できず、MTTR(平均復旧時間)が長期化します。
ネットワーク障害
回線断、DNSやルーティングの不良、ネットワーク機器の故障、通信の混雑など通信経路で起きる問題です。利用者からは「遅い」「つながらない」としか見えないため切り分けが重要で、名前解決の失敗なのか、特定リージョンだけなのか、社内ネットワーク限定なのかを分けるだけで原因候補を大きく絞れます。経路冗長、DNSの健全性監視、帯域と遅延の可視化を平時から整えておくと、復旧の打ち手が早くなります。
クラウド・外部サービス障害
クラウド基盤や外部API、SaaS、決済など外部依存による停止や遅延です。自社で直接修理できないため、責任分界点の理解が重要になります。障害時はまず外部依存先の公開情報(障害通知、ステータス、エラー率など)を確認し、障害の要因が自社の範囲か外部依存先であるかを判断します。タイムアウトやリトライを無制限にすると相手の不調時に自社も巻き添え停止するため、回路遮断、キューイング、代替経路の設計で影響を局所化します。
システム障害原因の考え方(内部要因と外部要因)
システム障害の原因は大きく「内部要因」と「外部要因」に分けられます。内部要因は改善余地が大きい一方、外部要因は完全には防げないため、影響を小さくする設計が中心になります。
実際の障害は、ひとつの原因だけで起きるとは限らず、複数の要因が連鎖して発生することがあります。小さな設定ミスが監視の穴と重なり、気づけずに負荷が増え、最終的に停止に至るという具合です。したがって原因分析では、直接原因だけでなく、なぜ検知できなかったか、なぜ影響が拡大したかという経緯やプロセスまで見ます。
| 観点 | 内部要因 | 外部要因 |
|---|---|---|
| 典型例 | レビューのない設定変更、手順書の陳腐化、緊急時の確認不足 | アクセス集中、災害、通信キャリア障害、外部サービス停止、部品調達難 |
| 打ち手 | 承認フローとチェックリスト、構成管理、IaC・CI/CDによる自動化 | 設計に織り込む。負荷試験、地理冗長、代替回線、保守契約での部品確保 |
内部要因(設計・変更・運用・ヒューマンエラー)
設計のミスや不足、変更管理不足、運用手順の漏れ、設定ミス、権限操作ミスなど、人やプロセスに起因するものが中心です。レビューされていない設定変更や、手順書の古さによる取り違え、緊急対応での確認不足が典型例です。承認フローとチェックリスト、変更の差分が見える構成管理、そして自動化が有効な予防策で、IaCやCI/CDで変更を再現可能にし、ロールバック手順を標準化すると同じミスの再発を抑えられます。
外部要因(負荷・災害・通信・サプライチェーン)
アクセス集中、自然災害、通信キャリア障害、外部サービス停止、部品調達難などが含まれ、自社の努力だけで消せないため前提条件として設計に織り込みます。アクセス集中はキャパシティ計画と負荷試験に加え、レート制御やキューで吸収します。災害や通信断は復旧の物理的制約が強いため、地理冗長や代替回線、保守契約での部品確保など事業継続の観点で備えます。
インフラ障害のレベル(重大度)を決めておく
原因分類とあわせて重要なのが、インフラ障害のレベル(重大度)をあらかじめ定義しておくことです。たとえば、全停止、データ不整合、セキュリティインシデントの疑いがある場合は、重大度を高く設定します。そのうえで重大度ごとに、必要な対応体制とエスカレーション先を決めておきます。基準が曖昧だと初動の優先順位付けがブレて復旧が遅れるため、売上や重要業務への影響度を軸に、誰がいつ上位層へ報告するかまで決めておくことが実務上のポイントです。
セキュリティインシデントとシステム障害の関係
セキュリティインシデントは、攻撃や不正、システムの弱点を突く行為によって起きる事象で、結果としてシステム障害の形で表に出ることがあります。たとえば認証基盤への攻撃でログイン不能になれば、利用者には障害として認識されます。
注意すべきなのは、単なる負荷増加に見えて、実際には攻撃が含まれているケースです。復旧を急ぐあまり、無闇なリトライ増加やログの削除、権限拡大で証跡を壊すと、被害把握と再発防止が難しくなります。初動ではシステム復旧と並行して、攻撃兆候の確認と証跡保全、アクセス制御の維持、影響範囲の特定をセットで進めます。
システム障害がもたらすビジネス影響
システム障害の影響は時間とともに増幅しやすく、停止が長引くほど損失が積み上がります。影響を正しく見積もるには、売上だけでなく信用・運用・セキュリティの4観点で棚卸しすることが有効です。
- 経済的損失・機会損失:停止中に失う売上や取引機会、SLA違反の違約金、補償などです。損害は停止時間にほぼ比例して増えるため、早期検知と迅速復旧(MTTR短縮)が最も直接的な損害抑制になります。復旧見込みの精度を上げることも、顧客の離反を防ぐ機会損失対策です。
- 信用低下・顧客満足度の低下:障害はユーザー体験を直撃し、解約やブランドイメージの低下を招きます。特に繰り返す障害は信頼を大きく削ります。原因が未確定でも、事実・影響・回避策・次報の予定を明確に伝える情報開示の透明性が差を生みます。
- 復旧コスト・運用負担の増加:緊急対応、原因調査、改修、監視強化など多面的なコストがかかり、通常の開発が止まる機会損失も小さくありません。属人化した対応は疲弊と判断ミスを招くため、手順の標準化やナレッジ共有で仕組み化します。
- 二次被害(情報漏えい・不正利用):障害時は監視や運用が混乱し攻撃者に狙われやすくなります。暫定対応でアクセス制御を緩めたりログ出力を止めたりすると後から被害を追えないため、証跡保全と最小権限を崩さない運用が重要です。
システム障害対応のフロー
システム障害対応では、場当たり的に動くほど復旧までの時間が長くなります。初動でやるべきことを型として決め、関係者が同じ優先順位で動けるようにするのが重要です。基本は、状況把握と切り分け→連絡と情報開示→復旧作業と検証→事後対応の順で、どの段階でも事実と推測を分け、記録を残します。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 状況把握・切り分け | いつから・何が・誰に影響しているかを整理し、影響範囲と重大度を特定する |
| STEP 2 初動連絡・情報開示 | 担当に沿って連絡順を決め、確定した事実・不明点・次報予定をセットで開示する |
| STEP 3 復旧作業・検証 | 暫定対応で影響を止め、恒久対応で根本原因を解消。監視指標と合否基準で復旧判定する |
| STEP 4 事後対応 | ポストモーテムで振り返り、再発防止・Runbook更新・ナレッジ共有につなげる |
状況把握と影響範囲の切り分け
入口は監視アラートか問い合わせです。まず、いつから・何が起きて・誰に影響しているかを短い言葉で整理します。次にサービス単位、機能単位、リージョン単位、特定顧客のみか全体かを分けて影響範囲を特定すると原因候補が狭まります。並行して重大度を判断し、必要な体制作りとエスカレーションを即時に行います。
関係者への初動連絡と情報開示
初動連絡は速さが最優先です。運用、開発、CS、営業、経営、ベンダーなど、事前に体制を整理し誰が何を担うかに沿って連絡順を決めます。連絡内容は確定した事実、不明点、次の更新予定をセットにし、推測を断定のように伝えないことが信頼維持の鍵です。対外告知では影響内容・対象範囲・回避策・復旧見込みを簡潔に伝え、見込みが出せない場合も次報の時刻を宣言します。
復旧作業と検証
まずはサービスを再開するための暫定対応(ロールバック、フェイルオーバー、設定修正、リソース増強)で影響を止め、その後に恒久対応で根本原因を潰します。手戻りを防ぐため変更は最小化し、誰がどの設定を変えたかを時系列で記録します。復旧判定は感覚ではなく、エラー率、レイテンシ、キュー長、外形監視の成功率などの監視指標と合否基準で行います。
事後対応(振り返り・再発防止・ナレッジ共有)
復旧後はポストモーテムを作成し、時系列・原因・影響・判断・課題を、責めるのではなく学習する場として整理します。再発防止アクションは影響度と実現コストで優先順位を付け、検知の遅れや影響拡大の経路を断つ施策を入れます。最後にRunbookを更新し、MTTRや再発率、着手までの時間を計測して対策の効果を数字で確認します。
システム障害対策(未然防止)
システム障害対策は、特定のツールを導入するだけでは十分とはいえません。冗長化、監視、バックアップ、変更管理、セキュリティ、教育を組み合わせ、弱点を面で潰します。ポイントは、発生確率を下げる設計と、発生しても影響を小さくする対策を分けて考えることです。外部要因は防ぎにくいため後者の比重が大きくなります。さらに、復元できないバックアップや使われないフェイルオーバーは無いのと同じなので、定期的な訓練と検証を前提に整えます。
- 冗長化・フェイルオーバー設計:単一障害点を排除し、クラスタリングやマルチAZ、必要に応じてマルチリージョンで継続性を確保します。大事なのは切替が実際にできることで、定期的なフェイルオーバーテストで切替時間と周辺要素の抜けを把握します。
- 監視とアラート設計:可用性、性能、エラー率、外形監視、ログを対象にし、ユーザー体験に近い指標も見ます。アラートは多すぎると無視され少なすぎると気づけないため、しきい値に増加率や季節性も考慮してノイズを削減し、通知経路と当番体制まで設計します。
- バックアップとリストア手順:どこまでのデータ損失を許容するかのRPOと、どれくらいで復旧したいかのRTOを先に決めます。最も重要なのはリストア演習で、定期的に復元し整合性検証まで行って初めて有効な備えになります。
- 負荷対策:ピークを前提にキャパシティ計画を立て、キャッシュ、キューイング、レートリミット、ロードバランサで分散します。キャンペーンなど通常よりも負荷が増加することが予見できる場合はリソースを増強します。
- 定期点検・変更管理:パッチ適用、EOL管理、構成管理を継続し、変更はレビュー・承認・影響評価・ロールバック計画をセットで運用します。差分を小さく頻繁にするほど切り戻しが容易です。
- 脆弱性対策・セキュリティ強化:脆弱性診断とパッチ適用を定期化し、WAF、EDR、最小権限、監査ログで防御と検知を強化します。障害時でも証跡保全とアクセス制御を維持できる手順にしておきます。
- 教育・訓練:Runbookや手順書を整備し、誰が見ても同じ判断と操作ができる状態を作ります。オンコール訓練や障害シナリオ演習で、復旧手順だけでなく連絡・記録・意思決定の流れを確認し、対応の属人化を防ぎます。
インシデント管理体制の作り方
システム障害対応を属人化させず、優先順位付けと迅速復旧を実現するには、平時からインシデント管理の体制と運用ルールを整えることが重要です。単発の障害対応だけでは同じ種類の問題が繰り返されます。重要なのは、重大度の基準、意思決定のルート、情報の一元化です。誰が指揮を執り、誰が対外説明をし、誰が復旧判断をするかが曖昧だと復旧が遅れます。ツールは補助であり運用ルールが本体で、チケットやチャット、ステータスページで情報が散らばらない形に整えます。
| 役割 | 主な担当 | 責務 |
|---|---|---|
| インシデントコマンダー | 指揮担当 | 全体の指揮と意思決定の交通整理。主担当を明確にする |
| 調査・復旧 | 運用・開発 | 原因調査と復旧作業 |
| 対外窓口 | 広報・CS | 顧客・社外への説明 |
| 意思決定 | 経営層 | 重大度が高い事象の最終判断 |
役割分担とエスカレーション設計
指揮を執るインシデントコマンダー、調査と復旧を担う運用・開発、対外窓口の広報・CS、意思決定の経営層に役割を分けて定義し、主担当を明確にします。重大度基準を作り、全停止・データ不整合・セキュリティインシデントの疑いは即時に上位へ上げるなど、どの条件で誰にエスカレーションするかを決めます。当番制と引継ぎの形式を標準化し、ベンダー連携の窓口も一本化します。
対応マニュアルと連絡網の整備
障害分類ごとのRunbook、連絡テンプレート、切り分け手順、復旧判定基準を整備すると初動の迷いが減ります。連絡網は人事異動や委託先変更で陳腐化しやすいため定期点検を組み込みます。証跡保全とタイムライン記録も標準に入れ、何がいつ起き何を決め何を変えたかを残すと、振り返りが具体的になり再発防止が実装可能なタスクに落ちます。
まとめ
システム障害は、停止だけでなく性能劣化や一部機能不全も含む、利用者が通常利用できない状態です。システム障害原因分類をハード・ソフト・ネットワーク・外部依存の4つに分け、あわせてインフラ障害のレベル(重大度)を定義しておくと、切り分けと優先順位付けが速くなります。システム障害の原因は内部要因と外部要因に大別し、直接原因だけでなく検知や拡大の経路まで見て再発防止につなげます。平時はシステム障害対策として冗長化・監視・バックアップ・負荷対策・変更管理・セキュリティ・教育を運用できる形で整え、発生時はシステム障害対応の型で動けるようにします。属人化を避けるためにインシデント管理体制とマニュアル、連絡網を整備し、継続的に改善していくことが安定運用への近道です。
システム障害対応の初動を、仕組みで速くする
システム障害対応で復旧が遅れる大きな原因のひとつが、大量のアラートに埋もれて重要な兆候を見落とし、初動連絡やエスカレーションに時間がかかることです。ここを人手だけで回すと属人化し、対応品質が安定しません。
NECのインシデント管理ツール「WebSAM Cloud」は、各システムから届くアラートを集約し、対応が必要なものだけを担当者へ電話などで自動エスカレーション。インシデントの起票から対応状況の共有までを一つの画面で一元管理でき、初動の自動化で運用負担を軽減します。
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