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WebSAM Cloud - 運用高度化の進め方:予防・予測・自律運用へ進めるロードマップ
クラウド化とシステムの分散化により、監視対象もアラートも増え続けています。運用高度化とは、運用の品質を維持・向上しながら生産性を高め、障害が起きてから動く反応的な運用から、予防・予測・自律運用へと段階的に進化させる取り組みです。本記事では、この進化を実際にどう進めるか、現状棚卸しから標準化、可視化、自動化、属人化解消、評価までの具体的な手順を解説します。
この記事で得られること
- 運用高度化を「反応的な運用→予防・予測・自律運用」へ段階的に進めるための考え方
- 標準化→可視化→自動化という、多くの現場で進めやすい基本的な順序とその理由
- 属人化を仕組みで解消し、品質と生産性を両立させる設計ポイント
- 現場と経営の両方を納得させる評価指標の作り方(3つの視点)
- 進め方でよくある失敗パターンと回避策
結論(要点)
- 運用高度化の本質は、品質を維持・向上しながら生産性を高め、反応的な運用から予防・予測・自律運用へ段階的に進化させること
- 多くの現場で進めやすい順序は「現状棚卸し→標準化→可視化→自動化」であり、この順で進めることで無理なく成果につなげやすくなる
- 属人化解消は「知識の共有」だけでなく、判断基準と手順を仕組み化することが本質
- 自動化は「判断」と「作業」を切り分け、作業から着手すると失敗しにくい
- 評価は運用保守・現場・ビジネスの3視点を持ち、ベースラインを取ってから改善サイクルを回す
運用高度化の本質:段階を飛ばさず進化させること
運用高度化とは、運用の品質を維持・向上しながら生産性を高め、障害が起きてから動く反応的な運用から、予防・予測・自律運用へ段階的に進化させる取り組みです。
運用高度化とは、運用の品質を維持・向上しながら生産性を高め、障害が起きてから動く反応的な運用から、予防・予測・自律運用へ段階的に進化させる取り組みです。派手な自動化やAI活用が注目されがちですが、本質は「段階を飛ばさずに進化させること」にあります。
段階を飛ばして自動化やツール導入から着手すると、手順のばらつきや例外処理の多さが解消されないまま残り、最終的に人手による確認作業が増えてしまいます。多くの現場で進めやすい順序は、標準化、可視化、自動化です。この順番で進めることで、同じ施策でも成果や定着につながりやすくなります。
特にクラウドやSaaSを前提とした運用では、責任分界(自社が担う範囲とベンダーが担う範囲の境界)、権限の制約、API・連携仕様、マルチテナント環境特有の制約が、標準化や可視化の設計に直結します。これらの前提を踏まえずに手順を作ると、後工程でベンダー側の制約に阻まれ、標準化が形骸化しやすくなります。
また、運用高度化は運用チームだけで完結する取り組みではありません。開発側のリリース手順、セキュリティ部門の要求、ベンダーとの責任分界などが密接に関わるため、施策を進める際は関係者と「何のために、どの順番で、何を測るか」という共通言語を持っておくことが、後々の手戻りを防ぎます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 現状棚卸し | 実際に回っている手順を棚卸しし、影響が大きいのに成熟度が低い領域を洗い出す |
| ①標準化 | 手順・命名・権限・承認ルールを揃え、自動化の土台を作る |
| ②可視化 | 変更・構成・監視・インシデントを関連付け、原因特定を早める |
| ③自動化 | 判断と作業を切り分け、任せられる範囲を広げる |
| 属人化解消 | ランブック化とエスカレーションルールの明文化で仕組み化する |
| 評価 | 運用保守・現場・ビジネスの3視点でベースラインを取り、継続的に見直す |
はじめに:現状棚卸しと優先順位付け
最初に行うべきは、理想像を語ることではなく「実際に回っている手順」を記録することです。インシデント対応、変更管理、構成管理、監視、セキュリティ運用のそれぞれについて、どこが人手依存で、どこが仕組み化されているかを棚卸しします。
このとき重要なのが、例外処理まで含めて書き出すことです。マニュアル通りに進まないケースこそが、属人化や対応遅延の温床になっています。棚卸しが終わったら、「影響が大きいのに成熟度が低い領域」を優先順位の上位に置きます。すべての領域を同時に引き上げようとすると、少人数のチームではリソースが分散し、どれも中途半端になりがちです。
棚卸しの際は、対応時間や発生頻度といった定量情報だけでなく、「誰が対応できるのか」「担当者不在時にどうなるのか」という属人化の度合いも合わせて記録しておくと、優先順位付けの精度が上がります。夜間や休日に特定の担当者しか対応できない業務があれば、それは影響度・緊急度ともに高い領域として優先的に着手すべき候補になります。逆に、発生頻度は高くても手順が確立していて誰でも対応できる業務は、優先度を下げても大きな問題にはなりません。
①標準化:判断のばらつきを減らし、自動化の土台を作る
標準化とは、手順、命名、設定方針、権限設計、変更の承認ルールなどを揃えることです。
標準化とは、手順、命名、設定方針、権限設計、変更の承認ルールなどを揃えることです。ポイントは「厳しさ」ではなく「守れること」を優先する点にあります。例外をゼロにしようとすると現場の反発を招くため、例外を許す条件と記録方法をあらかじめ決めておくことが、標準化を定着させる鍵になります。
標準化がなぜ最初なのかというと、可視化や自動化は「同じ入力なら同じ出力になる」状態を前提にしているからです。手順がばらついたままアラートの相関分析や自動復旧を導入しても、例外への対応で最終的に人手が必要になり、効果が限定的になってしまいます。
具体的な進め方としては、まずインシデント対応や定型リリース作業など、発生頻度が高く手順のばらつきが大きい業務から標準手順を作成します。手順書は「誰が読んでも同じ判断にたどり着けるか」を基準に見直し、判断が分かれやすい箇所には具体的な条件や数値の目安を書き添えます。あわせて、命名規則や権限申請のフローといった、日常的に発生するが軽視されがちなルールも整えておくと、後工程の可視化・自動化がスムーズになります。標準化は一度作って終わりではなく、現場からのフィードバックを反映して更新し続けることで、実態に即したものとして機能し続けます。
②可視化:原因特定を早める情報連携
可視化の目的は、ダッシュボードの見栄えを整えることではありません。
可視化の目的は、ダッシュボードの見栄えを整えることではありません。障害対応の場面で「直近の変更は何か」「同時刻にどの依存先が遅いか」「類似事象は過去にあるか」にすぐ答えられる状態を作ることです。
資産情報、変更履歴、監視データ、インシデント履歴、対応手順がバラバラに管理されていると、原因特定に時間がかかり、MTTR(平均復旧時間)が長期化します。少人数の運用チームほど、情報を探す時間そのものが大きな負担になっているため、変更・構成・監視・インシデントを関連付けて見られる状態を作ることが、次の自動化への土台になります。
可視化を進める際は、いきなり全社的なダッシュボードを構築しようとせず、障害対応時に実際に参照する情報から着手するのが現実的です。たとえば、直近の変更履歴とインシデント記録を紐づけるだけでも、「いつ何が変わったか」が追いやすくなり、原因の切り分けにかかる時間を短縮できます。また、アラートが過多になっている現場では、重要度の定義を見直したうえで、相関分析や抑止ルールによってノイズを減らすことも可視化の一環です。ノイズが減ると、対応すべきアラートに担当者の意識を集中させられ、見落としのリスクも下がります。
③自動化:判断と作業を切り分けて、任せられる範囲を広げる
自動化を検討する際は、担当者が行っている業務を「判断」と「作業」に分解することから始めます。
自動化を検討する際は、担当者が行っている業務を「判断」と「作業」に分解することから始めます。作業は比較的自動化しやすい一方、判断はデータとルールが揃わないと自動化が難しく、無理に進めると誤検知や誤対応のリスクが高まります。
まずは定型作業(一次切り分け、通知、チケット起票など)から自動化に着手し、判断が求められる領域は担当者が担いながら、必要なデータとルールを少しずつ蓄積していくのが現実的な進め方です。
また、自動化の範囲を広げるほど、ロールバック、影響範囲の限定、承認フロー、実行ログの追跡といったガードレールの整備が欠かせません。ガードレールがないまま自動実行の範囲を広げると、「怖くて任せられない」状態が続き、自動化が形骸化します。
近年はAIOps(AIを活用してIT運用の異常検知や原因分析を支援する仕組み)や生成AIを活用し、相関分析によるノイズ削減や根本原因の推定、過去の対応事例の提示、対応手順のドラフト作成などを行う取り組みも増えています。ただし、こうした仕組みが効果を発揮する前提は、入力データの欠損が少なく、ナレッジが整備されていることです。
データが整っていない状態でAIによる自動化を急ぐと、誤った提案をそのまま実行してしまうリスクが高まります。AI活用を検討する場合も、誤提案に備えたレビュー体制と、結果を学習・改善につなげるフィードバックの仕組みをあわせて設計しておく必要があります。
属人化解消:知識ではなく仕組みで防ぐ
属人化解消というと「情報共有ツールを導入する」という発想になりがちですが、それだけでは根本解決になりません。
属人化解消というと「情報共有ツールを導入する」という発想になりがちですが、それだけでは根本解決になりません。属人化の本質は、知識が特定の人に集中しているだけでなく、判断基準が暗黙のままで手順に例外が多い状態にあります。
- ランブック化:対応手順をインシデントの記録と紐づけ、よくある対応から標準手順へ落とし込む
- エスカレーションルールの明文化:誰が・どこまで・何分で対応するかを決め、特定の担当者へのオンコール集中を緩和する
ランブック化を進める際は、対応頻度が高いインシデントから優先的に着手し、手順の中で判断が必要な箇所には「誰が最終判断するか」も明記しておきます。これにより、担当者が変わっても同じ品質で対応でき、新任者の教育コストも下げられます。また、定型化できた復旧作業については、承認と実行ログを残す設計にしたうえで自動実行に移行すると、対応のスピードと品質を両立させながら、属人化の解消をさらに進められます。属人化解消は一度の施策で完了するものではなく、標準手順の見直しとナレッジの更新を継続することで、徐々に定着していきます。
評価指標とROIの示し方:3つの視点で経営に説明する
運用高度化の効果を経営に説明するには、運用保守・現場・ビジネスの3つの視点で指標を持つことが有効です。
運用高度化の効果を経営に説明するには、運用保守・現場・ビジネスの3つの視点で指標を持つことが有効です。
| 視点 | 着眼点の例 |
|---|---|
| 運用保守 | 自動化・自律化の状況 |
| 現場 | 標準手順の整備状況、MTTR・SLAなどの運用品質 |
| ビジネス | 障害件数・リリース頻度など、事業への影響やスピード |
運用保守の視点では自動化・自律化の状況、現場の視点では標準手順の整備状況やMTTR、SLA(サービスレベルアグリーメント。対応時間や品質の合意水準)の遵守状況といった運用品質、ビジネスの視点では障害件数やリリース頻度など、事業への影響やスピードに関わる指標が使えます。
評価を始める際は、まずベースラインを取ります。「月間インシデント対応時間」「主要サービスのMTTR」「アラート総数と有効アラート比率」など、施策の影響を受けやすい指標を選び、1〜3か月単位で傾向を見ることで、偶然による振れを避けられます。
属人化解消による採用・育成リスクの低減など定量化しにくい効果は、「発生確率」と「影響の大きさ」を分けて説明すると、経営判断につながりやすくなります。
よくある失敗パターンと回避策
運用高度化でつまずきやすいのは、順序を飛ばして自動化から着手してしまうケースです。手順が標準化されていない状態で自動化を進めると、例外対応のたびに人手が必要になり、「最終的に人手での補完が必要な仕組み」になってしまいます。新しいツールの操作を覚える負担と、従来どおりの例外対応の負担が同時にのしかかり、現場の負荷はかえって増えてしまいます。
もう一つの失敗パターンは、全領域を同時に引き上げようとすることです。少人数のチームでは、対象範囲を絞り込んで成功体験を作り、その標準を横展開していく方が結果的に早く進みます。
たとえば、アラート対応の一部の領域だけを対象に標準化と可視化を先行させ、有効アラート比率や対応時間の改善を確認できてから、他の領域へ同じやり方を展開する、という進め方であれば、少人数のチームでも無理なく取り組めます。
また、インシデント後の振り返りで恒久対策が決まっても、日常業務に埋もれて実行されないまま再発するケースも多く見られます。改善タスクの優先順位付けと実行のための時間確保まで含めて設計しておくことが、運用高度化を一過性の取り組みで終わらせないポイントです。
加えて、ツール導入をゴールに据えてしまい、導入後の運用ルールや例外時のハンドオフを決めないまま現場に任せてしまうケースも失敗につながりやすい典型例です。ツールはあくまで手段であり、標準化・可視化で整えたプロセスに組み込んで初めて効果を発揮します。
具体例:アラート対応を自動化する場合
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 現状 | 夜間アラートを担当者が目視で確認し、電話連絡とチケット登録を手作業で行っている |
| ①標準化 | 通知条件、優先度、連絡先、エスカレーションまでの時間をルールとして決める |
| ②可視化 | 有効アラート比率、通報にかかった時間、対応状況を記録して追えるようにする |
| ③自動化 | 不要な通知の抑止、担当者への自動通報、チケットの自動起票から着手する |
| 評価 | 対応時間と手作業件数がどれだけ変化したかを測る |
まとめ:段階を踏むことが定着への近道
運用高度化の本質は、反応的な運用から、予防・予測・自律運用へと段階的に移行し、品質と生産性を両立させることです。まずは現場の実態を棚卸しし、影響が大きいのに成熟度が低い領域はどこかを言語化することから始めます。
次に、標準化、可視化、自動化の順で、効果の出る範囲から小さく改善します。特に、構成・変更・監視・インシデントがつながる状態を作ると、原因特定と再発防止が進み、改善の速度が上がります。あわせて、属人化解消を仕組みとして設計することで、特定の担当者に負荷が集中する状態を防げます。
最後に、運用保守、現場、ビジネスの3視点で指標を持ち、ベースラインと測定期間を決めて継続的に見直します。ツールは手段であり、データ品質、ナレッジ、例外設計、ガードレールを整えることが、運用高度化を段階的な成果につなげる決め手になります。
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監視ツールを導入しても、アラートが鳴った後の一次対応や担当者への連絡、チケット起票が手作業のままでは、属人化や対応遅延は解消されません。少人数のIT運用チームほど、「監視ツールからの通知を受けてからの動き」に多くの工数を取られています。
WebSAM Cloud(NEC)は、監視ツールからのアラートを受信した後の一次対応・担当者への自動通報・インシデント管理を一元化する国産の運用支援サービスです。監視そのものを行うツールではなく、既存の監視ツールと連携し、アラート受信後のノイズ削減、自動通報、ITILに準拠したインシデント管理までを自動化することで、標準化と可視化を土台にした運用高度化を後押しします。
まずは自社の運用の中で、監視ツールからのアラート受信後にどれだけ手作業が発生しているかを棚卸しすることから始めてみませんか。詳しくはWebSAM Cloudのコラム一覧、またはWebSAM Cloud製品情報をご覧ください。
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