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SCM(Supply Chain Management)高度化支援
お客様の業務改革を推進するDXオファリング昨今の変化の激しい時代に対応するために、製造業におけるSCM(Supply Chain Management)改革は、抜本的な見直しが必要です。1つ目は従来の個別最適視点での検討から、グループ会社全体の経営戦略の実現という全社視点に立脚したSCMのあり方を再考すること、2つ目はデジタルトランスフォーメーション(DX)の進化/深化を積極的かつ高度に織り交ぜること、3つ目は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などに基づく消費者の嗜好の変化を踏まえること、の3つの視点から、テクノロジーのみならず、業務プロセス、組織・人材といった複数のテーマ軸で検討を行うことが肝要です。本稿では、サプライチェーンのDXを進めるうえでのDXオファリング「SCM高度化支援サービス」について紹介します。
1. はじめに
昨今の変化の激しい時代に対応するために、製造業におけるSCM(Supply Chain Management)改革は、デジタルトランスフォーメーション(DX)(以下、DX)の進化/深化をより積極的に取り込み、高度化を行わなければ企業競争力の維持・向上が困難になってきているといえます。企業競争力の維持・向上には、全社経営戦略の実現に資する全社視点での改革テーマ検討が前提であり(=戦略合理性の確保)、改革テーマ検討にあたっては、DXの進化/深化も踏まえつつ、業務プロセス・テクノロジー・組織/人材といった複数観点の検討が不可欠です。
1.1 従来のSCM
従来のSCMの取り組みは既存業務プロセスに主眼を置いた改革など事業単体に閉じた形のものが多く、DX活用もデジタライゼーション(=業務プロセスの局所的なデジタル化)による効率化が主流でした(図1)。

しかし、世界情勢が目まぐるしく変化する近年においては、部門に閉じたSCM改革ではなく、企業全体での最適化(=全社/組織横断の業務・製造プロセスのデジタル化)を実現し、事業継続を図っていく必要があります(図2)。例えば、全国各地の工場在庫を一元管理することで、予期せぬ事態が発生した際にも適切な在庫配分が可能となり、一層安定した事業活動が実現できます。このように、事業会社を束ねたグループ全体でのサプライチェーン再検討が急務です。

1.2 近年の外部環境
2010年代頃より、先行き不透明で、将来予測が困難な状態であるVUCA時代の到来が提唱されてきました。そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、COVID-19)拡大により、世界はあらゆる面で変化が生まれています。例えば、消費者の趣向や働き方はCOVID-19前後で大きく変わりました。企業は、このような突発的な事象に対応できるように、アジリティ(敏捷性)とレジリエンス(強靭性)を一層加味した経営戦略立案と戦略実現のための構想策定が重要です。
1.3 近年の製造業における課題
製造業のサプライチェーン周りにも新たな影響が出ています。例えば、需要の急激な変化、工場閉鎖による生産・調達体制の見直しなどが挙げられます。かつてのSCMで行ってきたデジタライゼーションではなく、全社横断視点に立ったDX検討が必要となってきているのです。
しかし多くの企業は、DX戦略・構想としてそもそもなにを・どのように策定すべきか苦慮しており、結果的に業務プロセスの局所的なデジタル化にとどまっているケースが散見されます。
本稿では、サプライチェーンのDXを進めるうえでのDXオファリング「SCM高度化支援サービス」について紹介します。
2. NECが考えるSCM高度化のポイント
第1章を踏まえ、NECが考えるSCM高度化のポイントは主に3点あると考えます。
- (1)DX利活用の視点
例)テクノロジー活用による社内外データの一元化、生データに基づくインサイト分析を通じた意思決定の迅速化 - (2)消費者の視点
例)デジタル活用により変化するカスタマージャーニーの再構築、パーソナライゼーション及びデジタルマーケティングを通じた顧客ニーズの把握、その囲い込みと啓蒙 - (3)グループ全体の視点
例)デジタル活用による全社横断型の組織変革、デジタルを軸にしたグループ戦略の見定めと組織変革の推進
一方で、サプライチェーン分断の原因となったCOVID-19のようなパンデミックリスクは今後も考えられます。SCM改革構想策定においては、前述した3点のポイントに加え、アジリティとレジリエンスの観点も不可欠といえます。
- アジリティ(敏捷性)
例)部門横断で保有データをつなげるデータ基盤構築によって、サプライチェーン責任者は可視化された結果に基づき、有事の際はサプライヤ・生産工場・物流経路切り替えの代替案を迅速に実行することで、サプライチェーン全体の完全分断を回避 - レジリエンス(強靭性)
例)原材料の取引先を複数持ち、生産工場を複数拠点に増やし、航空・海路・陸路など物流経路を複数確保するなど余剰担保を通じ、有事の際のサプライチェーンへの影響範囲を最小限に留める
3. NECの強み
NECの強みは、次の2点です(図3)。

- (1)
NECは経営/事業戦略実現に資する戦略立案・構想策定(why/what)から、そのhowの仕組み*構築・定着化までを一気通貫で行うケイパビリティを保有しています。
効果刈り取りの知見も豊富なDX戦略コンサルタントが、いわば“オーガナイザー”となり、経営戦略の実現という最終目的を常に意識しながら戦略立案・構想策定を実施。さまざまな業界・業種のお客様へのシステム構築や業務変革などの豊富な実績とノウハウに基づき、最適な仕組みを検討/実現します。 - (2)製造業としてのNECを変革対象と位置付け、社内の業務変革・組織変革・カルチャー変革など(図4)のさまざまな企業DXを推進して得られた“当事者としての生の知見”も織り込んだ“絵餅にならない”実行性/実効性の高いコンサルティングを強みとしています。

- *ここでの仕組みは、業務プロセス・IT・組織/人材、ルール/制度などのこと。
4. 事例
第3章で述べたケイパビリティを生かし、NECは製造業をはじめさまざまな業界・業種のお客様に対するコンサルティング実績を多数保有しています。
4.1 大手製造業A社:SCM高度化の構想策定支援
お客様の状況をクイックアセスメントし、注力領域/テーマとプロジェクトの進め方を提案。お客様との集中討議に基づく「伴走型」を採用し、SCM高度化の構想策定を支援しました。
4.1.1 クイックアセスメントによる企業使命の再整理
各部門の個別施策をヒアリングするなかで、全社企業使命(Mission)が可視化されている一方で、目指すべき姿(Vision)が不明確な状況を鑑み、改めて全社のVision(目指すべき姿)、Mission(企業使命・パーパス)、及びValue(価値の源泉)を整理しました(図5)。

これらの整理結果を踏まえ、従来掲げていたコストリーダーシップ戦略(収益最大化)に加え、差別化戦略(社会的価値向上)も新たに加えた“ハイブリッド戦略”を新戦略と位置付け、それらの実現目標を整理しました。
4.1.2 ToBe施策の立案
実現目標に対する重要施策をNECのDX知見やメソトロジーを踏まえ整理しました(図6)。

施策整理にあたっては、テクノロジー利活用や消費者ニーズの一層の把握を見据えた、業務プロセス視点での施策整理に加え、NECの自社変革知見に基づく組織・ルール、組織風土変革テーマも提案。また、施策/テーマの検討は、お客様の所属会社単体のみならず、グループ全体の経営戦略合理性の観点や、COVID-19をはじめとする今後の外部環境変化の分析に基づくサプライチェーン全体のアジリティとレジリエンスの観点も加味して実施しました。
4.1.3 施策優先順位付け/ロードマップ作成
整理したToBe施策は、施策同士の関係性をパターン化し、難易度、実行性、実現効果を軸に施策の優先順位付けをしたうえで、ロードマップを整理しました(図7)。

5. まとめ
本稿では、製造業のサプライチェーンにおける既存課題に加え、世界規模の危機をもたらしたCOVID-19によって露呈したサプライチェーンの弱点を踏まえ、New Normal時代を見据えたSCM高度化を考えるうえでのポイントと事例について紹介しました。
NECは、これまで製造業のお客様の変革で培ったコンサルティングの知見とシステム構築の実績に加え、製造業としての自社変革の知見の両面を生かし、お客様のビジネス成功のために一層のアジリティとレジリエンスを兼ね備えたサプライチェーンの構築を強力に支援します。
執筆者プロフィール
DX戦略コンサルティング事業部
主席プロフェショナル
DX戦略コンサルティング事業部
上席事業統括
DX戦略コンサルティング事業部
マネージャー
DX戦略コンサルティング事業部
主任
DX戦略コンサルティング事業部
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