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OSS貢献活動Kubernetes WG-LTS: 長期サポートが必要な理由(Open Source Summit Japan 2024での講演紹介)
こんにちは、NEC 毛利 唯子です。
2024年10月28日(月)~29日(火)に開催された Open Source Summit Japan 2024 において、「
Kubernetes WG-LTS: Why We Need LTS?」と題した発表を行いました。本ブログでは、その内容をご紹介します。
私は 2019年から Kubernetes コミュニティに参加し、主に sig-storage と sig-testing に開発貢献しています。
NECでは、Kubernetes をベースに様々な OSS を組み合わせたコンテナ実行基盤である Red Hat OpenShift Container Platform (以降「OpenShift」と表記) や、Kubernetes を活用したサービスを提供しております。
開発貢献では、Kubernetes のバグを見つけて修正したり、お客様が必要とする機能を Kubernetes コミュニティに提案して共同実装したりする取り組みを行っています。
Kubernetesとは
Kubernetes は、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化するためのオープンソース ソフトウェアです。Kubernetesは、複数のホストに分散されているコンテナ化されたアプリケーションを効率的に管理し、サービスを高可用性に保ちながら柔軟にスケーリングすることを可能にします。
顧客のニーズとKubernetesを選択する理由
Kubernetesが顧客から選ばれる理由としては、アプリケーションの開発サイクルを高速化し、市場投入までの時間を短縮するためというのが挙げられます。また最近は多くの製品がコンテナ形式で提供され、特にKubernetes上で動作するものが多くなってきました。
Kubernetesを使用する際の問題
Kubernetesの使用にはいくつかの問題があります。中でもバージョンアップに関しては、Kubernetesのサポート期間が短く、頻繁なアップグレードが必要です。これにより、ユーザーは安定した長期サポート(LTS: Long Term Support)を希望しています。Kubernetesの新しいバージョンを使用可能なのは実質約9ヶ月間という短い期間になってしまうこともあり、安定したバージョンを長く使いたいと考えるユーザーにとっては課題となっています。


WG-LTSとは?
WG-LTS(Working Group Long Term Support)は、Kubernetesの長期サポートを推進するためにKubernetesコミュニティ内で立ち上げられたワーキンググループです。WG-LTSは、「多くのホストは18ヶ月以上古い(サポート切れの)Kubernetesのバージョンを使用している」という調査データをきっかけに、より長期的なサポートと安定したバージョン提供を目的として活動しています。
調査結果から見たユーザーのアップグレード状況
WG-LTSが実施した調査結果から、セキュリティ更新やライフサイクルの終了が主なアップグレードの理由であることが明らかになりました。また、理想的なKubernetesサポート期間については1年間や2年間のサポート期間を理想とする意見が多い中で、3年間や5年間のサポート期間を希望する意見も少なからずありました。このことから、より長期のサポート期間が求められていることがわかります。
WG-LTSによる提案
WG-LTSは、既存のサポートライフサイクルを14ヶ月から最大24ヶ月に延長する提案をKubernetesコミュニティにしようとしており、現在はWG-LTSメンバーおよびステークホルダーと議論中です。
今後の取り組み
我々は、Kubernetesユーザーの観点としての要望をKubernetesコミュニティに反映していく予定です。例えば、 Kubernetesのサポート期間延長だけでなく、リリース頻度を減らすことや、アップグレードを行いやすくしていくこと、などを考えています。