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「実践」に進むものづくりデジタル変革、
製造データの一元化がもたらす意義
デジタルツイン、NEC DX Factoryの意義
2018.11.26
※この記事は、MONOistに2018年8月に掲載されたコンテンツを再構成したものです。
はじめに
第4次産業革命といわれるIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連技術などを活用した産業変革の動きが加速している。ポイントになるのは「デジタル化によるあらゆる業務プロセスの変革」である。製造業でもあらゆる工程でものづくりのデジタル変革の動きが広がりつつあるが、日本の製造業の現在地はどういう状況で、今後どういう取り組みが必要になるのだろうか。
新たなスマートファクトリーコンセプト「NEC DX Factory」を打ち出したNEC 執行役員の松下裕に、IoTによる製造業のデジタル変革の現状と課題、今後の方向性について聞いた。聞き手はMONOist 編集長の三島一孝。
製造業のIoT活用は「実践」フェーズに
三島:インダストリー4.0などが注目され始めて、国内製造業でもさまざまな取り組みが進んできました。現状で製造業の進捗度についてどのように見ていますか。
松下:毎年順調に進捗していると感じています。NECでは2015年6月にIoTを活用した新たなものづくりコンセプト「NEC Industrial IoT」を発表しました。この時点では製造業のIoT活用は「実証」の段階でした。われわれも多くのPoC(概念実証)などを含む実験的な取り組みをしてきました。
ただ、2016年になるとこれらの「実証」フェーズで取り組んできたものの中で「実装」へと進むものが増えてきました。業務やモノの動きをデジタル化し、そのデータをもとに改善を行うような具体的な動きです。ただ、これらの動きは基本的には1つの工程や1つの製造ラインのように、工場の中でも個々の動きが主流でした。
2017年以降はこれらを工場規模や製品規模、さらには企業のバリューチェーンの規模で統合し、ビジネスへの影響度をより高めようとする「実践」のフェーズに入ったと見ています。さらにはデータの活用方法も、上がってきたデータを見やすいようにする「見える化」だけでなく、AIなどで分析することによって、新たな知見をフィードバックする動きなども出てきました。2018年もこの動きがさらに広がっていくと考えます。
「NEC DX Factory」が示す価値
三島:こうしたフェーズが徐々に変化する中で2018年6月にはこれらを具体的に示した新たなスマートファクトリーのコンセプト「NEC DX Factory」を打ち出しました。
松下:IoTといえばどうしてもセンサーからのデータ取得のところから始まるために個々の工程や製造ラインをイメージしがちになります。しかし、個々の工程や個々の製造ラインの生産性だけでなく、ものづくりのプロセス全体の高度化に直結するコンセプトを訴えるには「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が最適だと考えました。
「NEC DX Factory」では、これからのものづくり像として工場をバーチャル環境で再現し、ライン全体をシミュレーションするような「デジタルツイン」の世界を描いています。現実世界のデータをサイバー空間で蓄積し、コンピューティングパワーを生かして分析し、その結果を現実世界に戻す「サイバーフィジカルシステム(CPS)」です。
そもそもデジタル環境の利点は「何度でも変更可能」で「失敗リスクの低減」ができることで、これらの特性はシミュレーションで力を発揮します。従来は試作などプロトタイプ作成を行ったり、現実世界で何度も調整したりしていたものが、全てバーチャル環境上で行えるようになり、圧倒的な効率化を実現できます。
三島:CPSやデジタルツインは、IoT活用で大きく期待されている価値となりますが、現実的にはなかなか進めるのが難しい面があります。どういう要因があると思いますか。
松下:デジタル化以前に工場や製造業のプロセス独自の難しさがあると考えています。例えば、ERP(Enterprise Resources Planning)システムの導入などの場合は、導入先も導入側も同じようなイメージを持ち、そこに至るまでのベストプラクティスなども数多く存在するため、関係者が同じようなベクトルで取り組んでいけます。
しかし、スマートファクトリー化については、そもそも工場のプロセスが全ての工場で異なっており、製造業各社のスタートもゴールもバラバラになりがちです。業種によってそれぞれ求めるものが異なることも多く、それに対するアプローチも千差万別で、なかなか1つの形が正解例になり得ないという難しさがあります。
ただ、その中でも必ずどこかで行わなければならない1つの正解の形として「NEC DX Factory」でも訴えているのが、調達から製造、検査、出荷までの全てのプロセスのデータのデジタル化による一元管理です。
自動的にデータが上がってくる設備だけでなく、それ以外の非構造化データについても、人の動きや画像、音声などによってデジタル化します。ビッグデータ分析やAIなどにより、これらのさまざまなデータの相関関係を見つけ出し、新たな価値を創出することが可能となるからです。
NECではオンプレミスやクラウド問わず構築可能な「ものづくりデータベース」にデータを集約させることを提案しています。例えば、検査の自動化なども、そのソリューションだけを見ていると全体最適は実現できませんが、データが一元的に管理されていれば、他の工程情報や調達情報などを組み合わせることで精度の高い検査や、問題点の抽出などを実現することも可能となります。
モノの流れとデジタルを同一にすること、これがNECの目指す最終目標です。これに向けて、まずはものづくりデータを一元的に集めるためにどうするかを考えるところがスタート地点です。
ここに掲載した「NEC DX Factory」の示す価値の他、「デジタルツイン」の成果や「匠」の価値について話は続きます。「MARKETING DATA」のコーナーにて全文掲載したPDF資料を配布しておりますので、ご興味の方は是非ダウンロードください(無料)。
注目の関連情報

次世代ものづくりを具現化する
「NEC DX Factory」
NECは、日本の製造業の課題を解決し新しいスマートファクトリーの実現を支援するため、「NEC DX Factory」というコンセプトを打ち出しました。これは次世代のものづくりを先取りし、その具現化を支援するものです。
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