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株式会社セブン銀行様

最高のATM体験を自分たちの手で
セブン銀行の決断と、それを支えるNECの伴走支援
- 業種:
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- 金融機関
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 製品:
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- その他
- ソリューション・サービス:
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- サービス/コンサルティングサービス
事例の詳細
社会で最もやさしいデジタルチャネルにするという考えのもと、セブン銀行様はATMの機能や体験の強化を重ねてきました。多機能化や利用者の多様化などが進む中、長年、共創パートナーとしてATMの開発に携わり、その価値を継続的に高めてきたのがNECです。現在、両社は、セブン銀行様自身がUI/UXデザインを自律的かつ継続的に行えるようにするための取り組みを開始。伴走支援を通じて、NECが必要な経験やノウハウを提供したり、新しい「UI/UX標準」を策定したりするなど、新しい開発体制の構築を進めています。
ATMの強化や改善、リリースを素早く行うには

ATMソリューション部
グループ長
花木 美穂氏
ATMサービス、インターネットバンキング、ローンサービスなど、幅広い金融サービスを提供しているセブン銀行様。“お客さまの「あったらいいな」を超えて、日常の未来を生みだし続ける”をパーパスに据え、人々の暮らしに深く根ざしたビジネスを展開しています。
実店舗を持たない同社の最大の顧客接点は全国のセブン‐イレブンなどに設置されているATMです。同社はATMについて、社会で最もやさしいデジタルチャネルにするという考えを持っており、そのための機能や体験の強化に取り組んできました。
例えば、現在、同社のATMでは銀行カードを使った取引に加え、クレジットカードでのキャッシング、電子マネーやスマートフォン決済サービスのチャージ、さらにはマイナンバーカードの健康保険証利用の申込みなど、公共性の高いさまざまなサービスを提供できます。「現金を扱わない取引や手続きの中には、スマートフォンを通じて同じことが行えるものもありますが、スマートフォンが苦手な方でも『セブン銀行のATMなら大丈夫』と感じてもらえるよう、わかりやすさを重視してサービス開発や改善に取り組んでいます」と同社の花木 美穂氏は言います。
複数の言語に対応しているほか、視覚に障がいのある方や高齢者のために音声ガイダンス機能を備えているなど、その考え方はユニバーサルデザインにも表れています。2022年のグッドデザイン賞の受賞は、そうした取り組みが総合的に評価された証といえます。
利用者や社会的な要請が多様化し続ける中、ATMを通じて提供する価値をさらに高めるには──。検討の末、同社は新しい施策として開発体制の見直しに着手しました。同社に届く問い合わせや要望に加え、SNSなどを通じて発信される利用者の声もいち早く把握し、素早く強化や改善、そしてリリースを行うべく、それまで外部委託だったUI/UXデザインを、セブン銀行様自身が自律的かつ継続的に行えるようにしようと考えたのです。
共創パートナーと進めるUI/UXデザイン高度化に向けた第一歩
そのために同社はUI/UXデザインチームを新設しましたが、専任チームを立ち上げたからといって、すぐにセブン銀行様自身で最適なデザインを行えるわけではありません。UI/UXデザインチームのメンバーは、課題や利用者の期待の“本質”を理解し、先回りした解決策を提案するスキルを習得すると同時に、これまでセブン銀行様が大切にしてきた考え方やデザイン思想をきちんと踏襲しなければなりません。もちろん一部のメンバーだけでは十分ではありません。チームの誰がデザインしても一定の品質を保つ必要があります。
このような難易度の高いチーム作りに取り組む上で、同社が支援を依頼したのがNECのUI/UXを専門とするコンサルタントです。
NECは、セブン銀行様の創業期からATM開発に携わり、長年、その進化を支えてきました。コンビニエンスストアに設置されるという特殊な環境、セブン銀行様のビジネスの特性、そしてATMに込めた思いを深く理解した上で、ATMのあるべき姿をセブン銀行様と共に考え、それを筐体設計やUI/UXデザインに落とし込み、新しい体験を提案し続けてきました。
「私たちはNECをATMの開発・製造の委託先ではなく『共創パートナー』だととらえています。ATMの価値を高め続ける上で、重要な役割を担うことになるUI/UXデザインチームは、私たちが大切にしてきた価値観や判断基準を正しく理解し、組織として継承し、さらには継続的に発展させていける存在でなければなりません。そのチームの土台作りに一緒に取り組んでほしい。そう期待できるのはNECだけでした」と花木氏は話します。
環境変化を踏まえて「UI/UX標準」や「マインドセット」を改定

ATMソリューション部
チーフデザイナー
黒本 和美氏
セブン銀行様の依頼を受けてNECは、まずコンサルタントを同社に常駐させ、共にUI/UXデザイン業務に取り組む伴走支援を開始しました。実際のデザイン業務を通じてNECが長年蓄積してきたセブン銀行様ATMのUI/UXデザインに関するノウハウを伝えていくためです。
「NECのコンサルタントが隣で一緒にデザイン業務に取り組んでくれているので、ちょっとした疑問や判断に迷う点をすぐに相談し、アイデアをブラッシュアップすることができます。また、実際のデザインワークを目の前で参考にしながらディスカッションできるため、考え方や判断のポイントなど、デザインの意図も明確です。デザインの標準化を支えるツールなども整備してくれ、チームが同じ水準でデザインに取り組む土台が整いつつあります」と同社の黒本 和美氏は言います。
さらにNECは、セブン銀行様ATMのUI/UXデザインにおける画面分類や基本的な遷移、レイアウトパターン、各種構成部品や表現方法に関する規定などを明文化している「UI/UX標準」や、日々の判断の拠り所となる「UI/UXデザイナーのマインドセット」の改定にも共に取り組みました。
「例えば、UI/UX標準は近年の多機能化の中で想定外の場面が増え、その都度判断し、アップデートする機会が増えていました。結果、個別最適化も進んでおり、個々の画面やサービス単位では問題がなくても、ATM全体として見たときの統一感や一貫性を保つことが難しくなりつつありました」と黒本氏は言います。
そこで、セブン銀行様とNECは現在のATMが実装しているサービスや利用状況、技術動向などを踏まえ、UI/UX標準やマインドセットをあらためて点検し、判断基準に修正を加えたり、新しい観点を追加したりしながら改定を行いました。「UI/UX標準には、これまで使っていなかった新しい技術を活用する際のデザインルールを新たに追加しました。また、マインドセットには新たに『協奏』という言葉を加え、アップデートしました。協奏を足した意図は、利用者様の声にさらに深く耳を傾けると同時に、他部門のメンバーとも積極的に連携する姿勢を明確にするためです」と黒本氏は言います。
このようなNECとの取り組みを通じて、UI/UXデザインチームは“自走”する力を磨いており、その成果も徐々に見え始めています。
例えば、以前は年間数件にとどまっていたUI/UX改善プロジェクトは、現在では年間十数件に増加しています。SNS上で寄せられた声をきっかけにATMの効果音を変更する、海外発行カードでのキャッシング時の画面UIを修正するなど、利用者の利用体験に直結するさまざまな改善を積み重ねています。「カードの取り忘れを防ぐためのデザイン修正は、取引の正しい完了を支えるだけでなく、現場の負担やコスト削減につながっています。カードの取り忘れはインシデントであり、場合によっては警備会社に出動を要請するといった対応を行わなければならないからです」と花木氏は話します。また、以前はNECがリードしていたユーザビリティテスト(※)も、現在はUI/UXデザインチームが中心となって企画・実施しており、以前よりも頻繁に行われるようになっています。
- ※実際の利用者にATMを使ってもらい、操作時の体験や課題を直接確認する取り組み。ユーザの目線で使いやすさやわかりやすさを検証し、サービスの改善に役立てる。
今後、セブン銀行様はUI/UXデザインチームを中核に据えながら、ATMを通じて提供する体験の質を継続的に高めていく考えです。「私たちのスキルが上がれば、NECとの共創関係もより強いものになるはずです。NECと共に、より良いATM体験を創出する挑戦に取り組みたいですね」と花木氏は最後に語りました。
NECによる支援の概要
NECのUI/UXを専門とするコンサルタントがセブン銀行様のUI/UXデザイン業務に伴走。経験やノウハウを共有するだけでなく、そこから課題や要望を抽出し、UI/UXデザインプロセスを変革につなげている。
“先生”でなく“仲間”として自走力を共に高める

コンサルティングサービス事業部門
ストラテジーコンサルティング統括部
フューチャークリエーションデザイングループ
マネージャー
HCD-Net認定 人間中心設計専門家
青野 信仁

コンサルティングサービス事業部門
ストラテジーコンサルティング統括部
シニアコンサルタント
吉崎 智則
多くの人が利用するATMは初めて使う人でも迷わず操作できる必要があります。短い時間で操作を完了できること、個人情報やお金を扱う取引を安全に実現することなどが求められます。
そのためATMのUI/UXデザインは、スマートフォンアプリやWebサービスのUI/UXデザインとは意識しなければならないポイントが異なります。NECはUI/UXデザインにおいて最も重視している「人間中心設計」の考え方をベースに据え、利用の状況や心理状態にも配慮しながら、そうしたATMの特殊な要件に対応してきました。例えば、音声ガイダンスのリニューアル時には、実際に視覚障がいがあるNEC社員も参加して、不便の解消に徹底的に取り組みました。
今回のセブン銀行様からの依頼は、セブン銀行様自身がUI/UXデザインを行えるようにするための支援ですから、NECが大切にしてきた考え方や蓄積してきたノウハウを余すことなくお伝えする必要があります。そのためには、どんな方法が有効かを考え、“先生”でなく“仲間”として共にデザインに取り組む伴走支援を提案しました。
伴走支援の中では、自走力の強化を強く意識しています。具体的には、NECがデザインするだけではなく、そのデザインワークを標準化して、UI/UXデザインチームの新メンバーに考え方を伝えたり、ワークショップではUI/UXデザインチームのメンバーが意見を出すことに専念できるようにファシリテーション役に徹したりしています。
日々の改善をセブン銀行様が主体的に回せるようになりつつある今、NECの役割も次の段階に進むべきと考えています。これまでとは違う目線で議論しながら、セブン銀行様と共に新しい価値を創っていきます。

お客様プロフィール
株式会社セブン銀行
| 本社所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-1 |
|---|---|
| 設立 | 2001年4月10日 |
| 概要 | 「近くて便利」「信頼と安心」を実現する独自金融サービスを提供。日本全国を網羅する2万8000台以上のATMを通じて、お客さまの多様なニーズに応えている。DXを活かしたユニークな金融サービスも提供しており、米国、インドネシア、フィリピン、マレーシアの4カ国でもATMサービスを展開している。 |

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(2026年2月12日)
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