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IoTで変貌するものづくり ~Industry4.0は必ずやってくる~[6]

抱 厚志のものづくりコラム「IoT時代のものづくり4.0J」
抱社長

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抱 厚志プロフィール
昭和35年7月、大阪府生まれ。自称生産管理おたく。
海外25カ国、累計5,000以上の工場を視察し、1,000社以上の生産管理システム導入に関与した実績を持つ。
平成6年9月に株式会社エクスを設立し、代表取締役に就任。翌年2月に生産管理システム「電脳工場 for Windows」をリリース。最新版の「Factory-ONE 電脳工場」シリーズも含め、現在までに1400本を超える導入実績がある。
「生産管理システムは経営戦略を具現化するツールである」とのコンセプトをもって、「ソフトを提供するのではなく、ソフトの使い方を提供する」という『真のソリューションベンダー』となるべく、日々、精力的に活動中。

第6回 ものづくりに関連するシステムの系譜と今後の生産管理システム

抱社長

2016年に入ってからも経済の先行きについては不透明である。
中国経済の後退はさらに明確となり、最新の米国GDPも大幅減速で景気の陰りが見え始め、第2のリーマンショック到来を予測する向きも多いようであるが、こんな時こそリスクに対応しうる盤石な経営基盤を構築しておく必要を感じる経営者が多いであろう。

製造業における企業経営を「ものづくり経営」と言うが、昨今のトレンドの変化でものづくり経営に求められるものやその形自身の変化も求められているのが現状である。

経営は「人、モノ、金、技術、情報」の資源の最大活用が重要であり、コンピュータシステムについてもトレンドに対応しうる変化が求められて当然だろう。

今回からはコンピューターとものづくりに関連するシステムの系譜を紐解き、今後、必要とされる生産管理システムの方向性について考えてみたい。

コンピューターを計算機と定義すれば、その歴史は我々の認識よりずっと古い。現存する最古の計算機は、1901年、古代ギリシャの沈没船から回収された『アンティキテラ島の機械』と呼ばれる紀元前100年頃に製作された天文学用歯車式計算機と言われている。

この計算機の縮小化と精巧で複雑な部品のつくりは特筆すべきものがあり、18世紀の時計と比較しても遜色ない程と言われている。30以上の歯車を持ち、歯車の歯は全てが正三角形であり、クランクを回転させると太陽、月などの天体の位置が計算できたと考えられる。

実用的な計算機は17世紀以降に登場する。
歯車式計算機(パスカル)や機械式計算機(トーマス)、19世紀の統計会計機(バベジ)、20世紀に入ってからのチューリングマシン(チューリング)、Z1(コンラッド・ツーゼ)などを経て、初の近代型計算機『ENIAC』( 真空管式計算機、モークリー、エッカート、弾道計算目的で開発。真空管 17,468本 リレー 1,500個。10進演算方式採用)が登場し、その後、急速なLSI技術の進化で、ビジネス分野での利用度が高まった。

ハードウェアは汎用機からオフコン、クライアントサーバへと移行し、現在の主流はクラウドコンピューティングになりつつある。

こうしたハードウェア環境の変遷に伴い、製造業におけるコンピューターの利用方法やシステムの管理範囲も変遷を遂げてきた。

ものづくりにおける基幹システムは生産管理システムである。
初期の生産管理システムは、主に在庫管理を用途として利用され、在庫の入出庫(在庫受払)と棚卸を管理業務とし、現在庫数の管理や欠品防止、棚卸作業の迅速化などが目的とされていた。

その後、サマリー型の部品を中心に部品展開を行い、資材調達管理へと利用範囲を拡げて行くが、当時のコンピューターはまだ低速、小容量であり、その適用範囲は部門内コンピューターの域を出てはいない。

1980年代になり、16ビットのマシンが登場。搭載するCPUも処理性能を増し、ディスクの記憶容量が大きくなってくると、量産系を対象としたMRP(Material Requirement Planning):資材所要量計画がシステム化された。

多段階のFamily Tree型BOMと基準生産計画を利用し、品番単位での部品展開(ユニットを含む)と在庫引当による正味所要量計算、期間まとめを行い、計画的な資材発注、納入、入出庫管理を実現、大企業を中心として生産管理システムの導入が加速された。

1985年以降、MRPは「生産能力」、「人員」、「物流」を管理対象として拡大したMRP2(Manufacturing Resource Planning:生産資源計画)に発展した。納期を基準とした負荷の無限山積みを行い、プッシュ型(押出し方式)と呼ばれている。
CPUの性能は向上したものの、一度の所要量計算処理には長時間が必要で、月次単位の所要量計算とネットチェンジ(部分再計算)の併用での運用が主流であった。

MRP2の実用化に伴い量産系のものづくりのシステム化は進んだが、市場では多品種少量生産へのニーズが高まってくる。
従前の「作れば売れる大量生産の時代」から「売れるものだけを売れる数だけ生産する変種変量短納期生産の時代」到来である。

この変種変量生産に対応するために、製造現場ではFMS(Flexible Manufacturing System)の概念が登場した。FMSではニーズの多様化に対応するために、生産ラインと生産品目の固定化を行わず、需要に応じた柔軟性を持つ設備やラインの自動化が進められ、需要に応じた混流生産できるシステムを目指した。現場のネットワーク化とロボットの導入によって、電気製品や食品など一般消費財から資本財の生産まで、幅広い分野での導入効果が期待された。

現在、トレンドの主流になりつつあるIoTやIndustry4.0のマスカスタマーゼイションの原型がここにあると言えるであろう。

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