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秘伝のサイバー捜査術

Episode III ワレザーからの挑戦状

京都府警や警察庁でサイバー犯罪捜査を先頭で切り開いてきたNECサイバーセキュリティ戦略本部 木村公也が、警察官時代の捜査経験をもとにコラムを執筆。捜査官目線でサイバー犯罪の現場に迫ります。(物語はフィクションです。)

1.挑戦状

ワレザーとは、ネット上で違法に著作物をやり取りしている者をいう。我が国におけるネット上の著作権侵害は、まさに異常事態となっている。それは、匿名性が強いファイル共有ソフトの存在だ。我が国で開発された代表的なものは、Winny, Share, Perfectdark。いくら摘発しても、匿名性をさらに強化した新たなファイル共有ソフトが次々と登場してくる。我々に対して、これほどあからさまに挑戦状を叩き付けている事犯も少ないだろう。

最盛期には100万人以上とも言われたファイル共有ソフトの利用者は、P2P観測システムの運用や全国警察による一斉摘発等により、現在、数万人にまで減少しているが、今もなお、映画や音楽、ゲームなどの著作物がやり取りされ、深刻な著作権侵害が続いている。またファイル共有ソフトは、知的財産に甚大な被害を及ぼすばかりでなく、わいせつ画像や児童ポルノを鼠算式に増加させ、コンピュータ・ウイルスをも媒介する等、様々な犯罪の温床にもなっている。特に、本来、有料のものがネットでは無料で手に入るという、いわゆる社会の裏ワザをのさばらせておくことは、正直者が馬鹿を見る社会を作り、特に、日本の未来を担うべき青少年の規範意識を麻痺させ、その健全な育成に重大な影響を及ぼすのである。

注意すべきポイント

  • P2P観測システム
    警察庁ファイル共有ネットワークを巡回してファイル情報を収集し、分析・検索を行うシステム。平成22年1月1日から本格運用開始。ファイル共有ソフト利用犯罪の摘発に大きく貢献している。

2.業界の嘆き

資源が乏しい我が国にとって、知的財産を中心とした産業界の発展は極めて重要だ。ファイル共有ソフト等で著作物を無償でやり取りすることにより、知的財産の創出の分野で世界に後れをとることは、我が国の発展にとって致命傷となりかねない。
国産初の匿名性のあるファイル共有ソフトはWinnyだ。平成15年ごろから、ネット上で利用者らの意見を取り入れて開発され、何度も改良が重ねられた。開発当初、摘発は絶対に不可能と言われ、Winny利用者はどんどん増加し被害額は何千億円にものぼった。産業界の多くの関係者は、もう著作権保護活動は意味がないと嘆いた。
「IT業界の専門家がWinnyは絶対に摘発は不可能だと言っています。いくら我々が頑張って活動しても、海の水をザルで汲み取っているのと同じです。もう馬鹿らしくなってきました。」
まさに、産業界はお手上げ状態だった。目の前で違法行為が堂々と繰り広げられているのに、どうすることもできないのか。我々、捜査員にとっても暗澹たる日々が続いていた。

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