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サイバーセキュリティ人材の育成を産業界全体で推進各業界の主要企業43社が参加して活動を展開する
「産業横断 サイバーセキュリティ人材育成検討会」
2015年6月9日、サイバーセキュリティに関する人材育成を産業界として取り組むことを目的に「産業横断サイバーセキュリティ人材育成検討会」が発足しました。この検討会はNTTとNEC、日立製作所の3社が事務局となり、重要インフラ分野を中心とした各業界の主要企業が、合計43社(2016年1月現在)参加しています。ここでは検討会発足の背景と位置付け、目標、現時点での活動状況を紹介すると共に、その中でNECがどのような取り組みを行っているのかを解説します。
IoT時代の到来で重要性が増すサイバーセキュリティ対策
これから開催されるラグビーワールドカップやオリンピックなどを控え、大会運営に関わる施設やインフラに対するサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。世界中の人々が集まるイベントが開催されることになれば、当然、攻撃者からの注目度も高まります。また、情報システムだけではなく、制御系システムや各種デバイスを含むあらゆるモノがネットワークにつながるIoT時代の到来も、セキュリティリスクの増大に拍車をかけています。ネットワークに接続されるモノが増えれば、攻撃対象も拡大するからです。
このような状況を受け、一般社団法人 日本経済団体連合会(以下、経団連)は2014年10月に「サイバーセキュリティに関する懇談会(座長:梶浦敏範氏)」を発足。約30社の主要企業による議論が行われ、2015年2月17日に「サイバーセキュリティ対策の強化に向けた提言」が公開されました。
この提言の中で重要視された課題の一つが人材育成です。
提言の中ではこの人材育成に関し、産業界として具体的な取り組みを進めるべきと明言されており、企業と大学・大学院とが連携した仕組み作りなどについても言及されています。
その後、この懇親会にも関わったNTT、NEC、日立製作所の3社が、さらなる話し合いを実施。「実際の活動をどう具体化し、どう推進していくべきか検討するための場が必要」という結論に至りました。その結果発足することになったのが、「産業横断 サイバーセキュリティ人材育成検討会」なのです。
産業界からの視点を重視し、掲げられた3つの意義・位置付け
この検討会は産業界からの視点を重視しており、以下の3つの意義・位置付けを掲げています。
1. 産業界の情報・意見を明確に出していく場としての位置付け
産業界が必要とするセキュリティ人材定義を明確にするなど、企業におけるサイバーセキュリティ対応に関わる事項を外部に対して広く、産業界視点で発信する場である。
2. 産業横断で連携をする場としての位置付け(産々連携活動・情報共有活動)
広い業種にわたり企業のみで構成されているため、産業界としてのセキュリティ人材育成ならびに各社のセキュリティ対策について話し合うことができる。人的つながりを信頼の基盤として、情報共有活動を行う場である。
3. 産業界としての共通の意識を醸成する場としての位置付け(産官学連携の推進とエコシステム構築)
セキュリティ人材不足を解決することは社会的課題であり、産業界として社会全体に向けての共通価値を創造することを目指す活動であるとの意識を醸成し、その意識の下、必要と思われる産官学連携の推進ならびにセキュリティ人材育成のためのエコシステム構築を推進する場である。
人材育成を中心としつつも、産業界に必要な他の活動も推進
この検討会には3つの目標があります。第1は「社内人材育成の推進」、第2は「次世代に向けた人材育成」、そして第3が「情報共有の推進」です。これらの目標に向け、人材育成を中心としつつも、産業界として必要な他の取り組みに関しても、具体的な活動を展開していきます。
産業横断サイバーセキュリティ人材育成検討会の3つの目標
(1) 社内人材育成の推進 ⇒WG立ち上げ・議論(サイバーセキュリティ人材定義WGにて) |
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(2) 次世代に向けた人材育成 ⇒有志にて先行検討 |
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(3) 情報共有の推進(民民連携) ⇒全体会議の場で各社からの取り組み紹介や勉強会開催 |
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3つの会議体で活動を展開。2016年6月には第1期が完了予定


この検討会の会議体としては、全体会議、ユーザ企業向け勉強会、サイバーセキュリティ人材定義ワーキンググループ(以下、「人材定義WG」)の3つが設置されています。また産官学連携を行う有志の会として、8社が参加するアドホックグループも活動を行っています。会合は必要に応じて開催されており、その頻度は月2回程度となっています。
当面の活動期間としては、2016年6月までを第1期と位置付けており、この第1期を第1フェーズと第2フェーズに分けています。第1フェーズでは、想定された課題に関して参加者からの意見を広く集め、解決すべき課題をできるだけ具体的に定義していきます。その後、第2フェーズで、具体的な施策を開始する予定です。

