2014年11月19日
日本電気株式会社
NECは、店舗内や工場内において、既設のカメラを活用し、高精度に人の動き(以下、動線)を把握できる「人物動線抽出技術」を開発しました。
本技術は、複数の既設カメラで撮影したデータを連携活用することで、高精度かつ初期投資を抑えながら(注)動線把握を可能にします。また、服の色の特徴を用いて動線を把握するため、個人を特定せずに動線データの取得・解析を実現します。 これにより、店舗における顧客の高度な購買行動分析(マーケティング)や、工場・倉庫内での作業手順の改善などを実現します。
NECは社会ソリューション事業に注力しており、その中核領域の1つであるビッグデータ事業の強化を進めています。今後も本技術の開発を継続強化し、お客様の新たなビジネス創出や企業価値向上に貢献していきます。 |
背景
近年、店舗内や工場・倉庫内における人物動線を高精度に把握することで、棚割りや商品レイアウトの見直しなど、より高度なマーケティングを行ったり、無駄のない作業手順の改善など業務改善を行ったりするニーズが高まっています。
従来技術で人物動線を把握する際、映像内で人物同士が重なってしまうと、同一人物の正確な認識ができず、動線に途切れが発生していました。また、ある人物が、設置場所の離れた別のカメラに映った場合、同一人物であると認識することも困難だったことから、同一場所を複数のカメラで撮影できるようにカメラを多数設置したり、360度の撮影ができる特殊なカメラを利用したりするなど、カメラ設置に伴うコスト面が課題となっていました。
人物動線抽出技術の特長
このたびNECは、人が重なって映った場合などにおいても、既設のカメラで、高精度に人物動線の把握を可能とする技術を開発しました。これにより、コストを抑えながら、高度なマーケティング分析や作業改善に有益なデータを取得することが可能になります。
- 既設の複数カメラで撮影したデータを連携活用し、人の重なりなどをリアルタイム・高精度に把握
- 複数カメラそれぞれの映像を処理する解析プログラムの処理結果を、NEC独自の方式を用いてサーバでリアルタイムに統合。あるタイミングで統合したデータを各カメラの処理プログラムと共有し、次のタイミングの解析処理に活用することで、店舗・倉庫・工場内の広範囲かつリアルタイムな状況把握を実現。これにより、1つのカメラでは解析が難しい場合(例えば、人物同士が映像中で重なり合って見える状況など)も、別のカメラの解析結果を反映することで、精度よく解析が可能。また、従来は全カメラの処理結果を収集後にサーバでデータ統合を行っていたため、データ解析に遅延が発生していましたが、今回各カメラからのデータを収集しながら、逐次データの共有が可能になる事から、リアルタイムな動作を実現。
- 人物があるカメラの死角に入った場合でも、別の角度から撮影をしているカメラとリアルタイムにデータ連携することで、動線を把握したい人物を見失わずに、高精度な把握を実現。
- 独自の色特徴要素モデルを用いて同一人物を高精度に認識
姿勢・照明条件によって細かく変動する服装の色を機械学習し、モデル化した、NEC独自の「服色特徴モデル」を開発。服の色の特徴を用いての動線把握を可能にすることで、動線を把握したい人物が、設置場所の離れた別のカメラに映った場合でも、個人を特定することなく、途切れのない、正確な動線把握を実現。
- 既設カメラを最大限に活用可能なカメラ配置を実現
既設カメラで認識可能な範囲を、CG等を用いて推定・可視化し、カメラの追加や適正な配置の判断を支援する、カメラ配置設計ツールを合わせて開発。これにより、既設カメラだけでは不十分な場合でも、最小限のカメラ台数の追加で高精度な人物動線抽出を実現。
なお、NECは本技術を、NECグループが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014」(会期:11/20(木)~21(金)、会場:東京国際フォーラム(東京都千代田区))にて、展示します。
「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014」について
http://jpn.nec.com/uf-iexpo/index.html NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICT技術や知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。
以上
(注) NECが行った実証において、カメラ台数を従来比約1/2に削減
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