2014年2月21日
日本電気株式会社
NECは、ネットワーク上の通信データ(以下、トラフィック)を高度に制御する通信事業者向けのソリューション「Traffic Management Solution」(以下、TMS)の強化を行い、本日から販売開始しました。
本強化では、2012年2月からTMSとして販売しているトラフィック削減に加え、通信セッション毎に動的チューニングを行いユーザの体感品質(QoE、注1)の最大化を実現します。また、QoEの見える化により、設備設計とトラフィックの最適化を可能とし、投資対効果の最大化も実現します。さらに、SDN(注2)と連携させることで最適なネットワーク設備の運用も可能となります。 NECはTMSを世界に先駆けて、欧州、APACで通信事業者の商用ネットワーク向けに提供し、総帯域 数Tbps(テラビット毎秒)級の大規模ネットワークにおいて数年間安定稼働しています。2014年度には欧州、APAC、北米において商用提供の拡大を計画しています。
NECは、本ソリューションの提供により、通信事業者の更なる収益拡大や新ビジネス創出に寄与するとともに、社会インフラの高度化に貢献していきます。 |
背景
インターネット利用が従来のパソコンからスマートフォン、タブレットなどモバイルデバイスに急速に移行する“モバイルファースト”と呼ばれる状況が進み、トラフィックが急速に増大しています。これにより、スマートフォン利用時にWeb表示速度が低下、移動時や混雑時にビデオ再生停止が頻発する等、QoEの低下が課題となっています。
これに対し通信事業者はLTEの導入やエリア拡大を急いでいます。LTEの導入によりスループットの高速化が期待できますが、トラフィックの集中や移動時のネットワーク帯域の変動時には、期待通りの効果が得られず、QoEが悪化する場合もあります。
また、一般的にはQoEを高める方法としてネットワーク設備の増強が行われますが、膨大なコストを伴います。そのため設備投資を抑制しながらQoEを向上するソリューションが求められています。
NECはTMSを2012年2月から「トラフィック削減ソリューション」として販売していますが、今回の強化はこのようなニーズに応えて実現したものです。
特長
2012年2月からTMSとして販売している「トラフィック削減ソリューション」に、「QoE最大化ソリューション」、「トラフィック見える化ソリューション」および「TMS to SDNソリューション」を新たに追加。
- QoEを飛躍的に改善
NEC独自のデータ流量制御およびネットワーク特性に合わせ通信セッション(ユーザフロー)毎にシステムパラメータのチューニングを行うことにより、特に混雑エリア、混雑時間帯でのパケット詰まりやスループット低下によるQoE劣化を飛躍的に改善。導入前と比較して、コンテンツのダウンロード時間を約半分に短縮し、ユーザが体感する通信速度を2倍速化(注3)。
また、中央研究所で開発した、トラフィック状況に応じて送信量を変動させる予測型ペーシング技術を活用し、混雑地点でのビデオ再生中の停止回数を導入前と比較して90%以上減少させ、QoEを大幅に改善。
このように、本ソリューションは限られたネットワーク設備リソースの下でスループットを最大化し、ユーザが快適にサービスを利用できる環境を提供します。
- ネットワーク設備の投資対効果(ROI)を最大化
トラフィックの大部分を占める動画ファイルの圧縮およびキャッシュ、端末ディスプレイの表示性能に合わせた静止画圧縮、およびテキスト圧縮を組合せることで、30%以上のトラフィック削減を実現。また無線基地局を増強することなしに、混雑エリアでの同時接続数を200%以上に増加。これらにより、ネットワークへの設備投資を最小化しつつQoEの最大化を実現。
- リアルタイムでのトラフィック情報の見える化
従来のバッチ処理では1日を要していたトラフィック統計情報をリアルタイムに可視化することで、最適化効果やネットワーク運用状況など事業運営に必要な情報を迅速かつ的確に把握可能。また、トラフィック状況を見える化、分析することで最適なシステムパラメータを決定・設定する動的チューニング機能、QoE劣化時のみトラフィックを最適化する局所輻輳対策など、トラフィック情報の見える化を活用して最適化効果を向上。
- TMS to SDNソリューションによる最適な設備設計・運用、顧客満足度向上
本ソリューションで見える化したトラフィック情報をSDNと連携させて、トラフィック傾向に応じ動的にネットワーク設備設計・再構成を行うことで効率的な設備運用を実現。また見える化した特定サービスのSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)情報を元にSDNとの連携によりネットワークを拡張し、SLAを更に向上させてユーザや特定サービス提供者の満足度向上を図る等、より付加価値の高いソリューションを提供。
本ソリューションには、過去10年以上に渡りパケット通信基盤やトラフィック最適化領域で研究開発を行ってきたNECの高い技術力が活かされています。
今後もネットワークの更なる高速化、新たなコンテンツ圧縮・配信方式への対応、未来予測などより高度なトラフィック分析機能の提供等を通して、より付加価値の高いソリューションを国内およびグローバルの通信事業者に対して提供してまいります。
NECグループは、「2015年中期経営計画」をもとに、人が豊かに生きるための安全・安心・効率的・公平な社会の実現に向け、ICTを活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進し、「社会価値創造型企業」として、社会の様々な課題解決に貢献していきます。
なお、NECは本ソリューションを、本年2月24(月)から2月27日(木)まで、スペイン・バルセロナで開催される「Mobile World Congress 2014」において展示する予定です。
以上
(注1) QoE Quality of Experience
(注2) SDN Software-Defined Networking ネットワークをソフトウェアで制御する概念
(注3) Webページが表示されるまでの時間や、速度測定サイトを利用したスループットを複数地点において測定を行い実証。
Traffic Management Solution(TMS)について
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「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現する
グローバルリーディングカンパニー」を目指しています。
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