2013年2月25日
日本電気株式会社
NECは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS、
注1)において、対話を喚起する話題を見つけ出し提供することで、友人関係の構築や強化を実現するコミュニケーション活性化技術を開発しました。
このたび開発した技術は、SNSの投稿内容、閲覧履歴、友人関係などから利用者の興味を高精度に分析し、最適な話題を提供することで、SNSの活性化を実現する技術です。本技術を用いた評価実験(
注2)を行ったところ、導入前と比較して、SNS上でのコミュニケーション量が約2.1倍(
注3)、利用者間の友人登録が約3.1倍(
注4)に増加しました。これにより、地域における住民の社会参加や、企業における従業員同士の意思疎通を促進します。
また、NECとあすと長町仮設住宅自治会は、本技術を用いた実証実験を仙台市の仮設住宅で行っています。本実験は、被災地で顕著な人間関係の希薄化や高齢者の生活不活発化などの課題を解決するため、住民のコミュニティ参加により日常的な見守りの実現を目指すものです。本実験は、NECネットイノベーション株式会社ならびに東北学院大学と共同で、住民約40名を対象に2月末まで実施しており、実験終了後も一部のサービスを除いて継続的に運用される予定です。
このたび開発したコミュニケーション活性化技術の特長は、次の通りです。
- 対話しやすい話題を提供し、友人関係を強化
SNSの閲覧履歴と友人関係から、利用者の興味を高精度に推定し、複数の利用者が対話しやすい話題を提供。これにより利用者間の対話が喚起され、本技術を用いない場合と比較してコミュニケーション量が約2.1倍に増加し、友人関係の強化を実現。
- 友人候補を見つけ出し、新たな友人関係の構築に貢献
SNS利用者の趣味や興味に加え、過去にコメントした話題や閲覧履歴などから他の利用者との関係を高精度に推定し、最適な友人を紹介。本技術を用いない場合と比較して、友人登録を約3.1倍に増加し、友人関係の効果的な構築を実現。
あすと長町で行っている実証実験にて提供するサービスは、次の通りです。
- デジタル談話室
タブレット端末に配信される自治会からのお知らせやニュース記事等の話題を基に意見交換できる、地域専用の掲示板型SNSを提供。本サービスは、このたび開発したコミュニケーション活性化技術を用いて実現。また、NECのコミュニケーションロボットPaPeRoにタブレット端末の操作方法を音声でガイドする機能を搭載し、高齢者でも簡単に操作可能。
- 見守りシステム
外出や就寝などの情報をタブレット端末に入力することで、あすと長町自治会の見守り担当員に利用者の状態を提供。担当員にメールなどの通知を行うことで、緊急通報に至るまでの予兆の気づきや、日常的な安否確認が可能となり、非常事態発生の予防に貢献。
- TPOボタン
スマートフォン上のTPOボタンを押すだけで、利用者の興味関心に合う地域の催し、ニュース、天気などタイムリーに提供。NECが開発した閲覧履歴から利用者の興味関心を推定するシナリオ構築技術(注5)と、時間や利用者の場所などのビッグデータをリアルタイム処理するCEP(Complex Event Processing:複合イベント処理、注6)技術を組み合わせて実現。
なお、このたび開発した技術および実証実験の一部は、総務省の「ライフサポート型ロボット技術に関する研究開発」(旧名称:「高齢者・障がい者のためのユビキタスネットワークロボット技術の研究開発」、平成21年~平成24年)のプロジェクトの一環として進めてきた研究成果です。実証実験では、本技術を用いるとともに、上述のプロジェクトが開発・普及を進めているユビキタス・ネットワークロボット・プラットフォームに対応し、NECが独自に構築したシステムを用いています。また、見守りシステムは東北学院大学の研究を元に共同で検討をおこない、NECがシステム開発を行いました。
NECは、本技術を様々な地域SNSソリューション、企業向けの情報共有ソリューションに活用できるよう、引き続き研究開発を強化してまいります。
【別紙】 NEC、SNS上で嗜好に合わせた話題を提供し、友人関係の構築や強化を実現する技術を開発
~ 仙台市の仮設住宅で実証実験 ~
以上
(注1) ソーシャルネットワーキングサービス。人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニケーション機能を有するサービス。
(注2) 関東近郊に住む20名(平均年齢60.1歳)の方々を対象にした評価実験。約3週間、本技術を搭載したSNSを、任意の時間に1日1回以上利用した結果。
(注3) システムが推薦した話題情報のうち、二件以上のコメントがつけられた話題情報数。
(注4) システムが利用者同士を紹介することによって、または利用者自らによって、友人としてシステムに登録された利用者ペアの数。
(注5) 多数の利用者の閲覧履歴から学習した情報(コンテンツ)の適性と、個々の利用者の行動から推定される属性に基づいて、時々刻々変化する利用者の状況に対応して柔軟に情報提供パターンを生成する技術。
(注6) データの処理・分析条件(ルール)に基づき、発生したイベントの情報を反射的に処理する技術。
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