2012年8月31日
日本電気株式会社
NECは、ビッグデータ(大量の時系列データ)のリアルタイム分析処理を高速化するハードウェアを、専門知識がない人でも簡単・高速に設計できる技術を開発しました。
近年、大量の時系列データをリアルタイムに処理・分析することで、新たな情報を付加価値として提供するビッグデータ分析処理への期待が高まっています。例えば、証券会社における株式の自動売買(アルゴリズム取引)や、ネットワークプロバイダにおける通信量の分析などで適用が始まっており、ヘルスケアやパブリックセキュリティなどの分野でも活用が検討されています。これらの領域における分析処理は、データ量が増加しても正確な情報分析ができる高速性と、分析要求の変化に即応した柔軟性の両立が求められています。
ビッグデータの処理は、専用のハードウェアを用いることで、ソフトウェア処理と比較して10~50倍程度の高速化が見込めます。しかし、ハードウェアの開発や実装に数ヶ月程度の長い期間が必要である、運用中に処理内容の変更ができないなど、柔軟性に課題がありました。
このたび開発した技術は、データ分析担当者がオープンインターフェースであるプログラミング言語「SQL(
注1)」で必要な分析処理の内容を入力するだけで、簡単に専用の高速化ハードウェアを設計できます。これにより、従来は数ヶ月間必要だったハードウェアの開発期間を数時間と約1/50に短縮できます。また処理内容の書き換えを、従来の数ミリ秒から数ナノ秒と約1/100万に短縮し、システムを停止することなく、ダイナミックな運用が可能です。
このたび開発した技術の特長は、以下の通りです。
- SQLによるハードウェアの設計を実現し、設計期間を約1/50に短縮
ビッグデータの分析処理で広く利用されているSQLで設計したソフトウェアを、NECが保有するFPGA(注2)の回路合成技術CyberWorkBench(サイバーワークベンチ、注3)を利用して、専用ハードウェアに自動変換する設計技術を開発。これによりデータ分析担当者は、使い慣れたSQLでFPGAを直接設計可能となり、技術者による回路設計作業(注4)が不要となることで、開発期間を数ヶ月から数時間へと約1/50程度に短縮。
- システム無停止で、処理内容をダイナミックに変更可能
データの処理内容を切り替える際に、旧処理と新処理の回路を並列で動作しながら、瞬時に切り替えるハードウェア処理機構を開発。従来は、旧処理の回路を新処理の回路に再構成してから切り替えていたため発生していた処理の停止時間を、数ミリ秒から数ナノ秒へと約1/100万に短縮し、運用中のシステムを停止することなく、処理のダイナミックな修正や変更を実現。
NECは今後も研究開発を進め、2014年度までにハードウェアを活用したビッグデータのリアルタイム処理ソリューションとしての提供を目指します。
【別紙】 NEC、ビッグデータ処理の高速化を実現するハードウェアを従来比1/50の期間で設計できる技術を開発
~ システムを停止せずに処理内容を変更可能 ~
以上
(注1) データ分析処理を記述するための標準言語。ビッグデータのリアルタイム処理においても広く利用されている。
(注2) Field Programmable Gate Arrayの略。製造後に回路構成の設定、変更ができるLSIで、プログラマブルロジックの一種。
(注4) FPGAの設計にはデジタル回路設計用のハードウェア記述言語が用いられる。代表例は、Verilog-HDL、VHDLなど。
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