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省エネオフィスサービス「エネパル™PC」
エネパル™PCは、オフィスパソコンの無駄な消費電力、CO2排出量などを"見える化"し、複数のパソコンの利用状況を一元管理する国内初のソフトウエアです。CO2削減目標を設定するだけで、お客様ごとの行動パターンに応じて、消費電力を自動的にコントロールすることも可能です。エネルギー使用状況の"見える化"によって、お客様の環境意識を高める画面のデザインをご紹介します。
デザインのポイント
- ユーザーに「必要とされる」製品づくり
- 環境保全への理解を促すデザイン

環境を表現するデザイン
国内初の商品ということで、より多くのお客様に商品を知っていただくため、わかりやすさ、使いやすさ、使ってみたくなるような楽しくて親しみやすいデザインを心がけました。"環境"と聞いてお客様が思い浮かべるイメージはそれぞれ異なるので、アイディア段階では自然や動物をモチーフに複数のアイディアを広く展開し、技術部門や間接部門と一緒にデザインの方向性を検討していきました。その中から、一般にCO2の排出量が「杉の木換算」(※)と言われる計算で算出されることから提案したデザインが採用されました。
感覚的に捉えにくい地球環境への影響を、杉の木の本数と杉を照らす太陽の親しみやすい表情を見て一目でわかるようにしています。
一方、金額や電力に換算されるCO2の数値データは、より現実的に意識できるよう、シンプルなアイコンとインジケーターの表現を採用しました。「その調子」「もう少しです」などのメッセージの文言も細かく検討し、CO2という言葉、また電気とCO2の関係を理解して、"自分は有効な使いかたをしているか"、無駄があった場合には、"そうだったのか"という「気づき」をやさしく見せていくことを心がけました。
- ※「杉の木換算」:杉1本がCO2を年平均約14kg吸収するものとして計算する方法
(「地球温暖化防止のための緑の吸収源対策」環境省、林野庁資料より)

左:開発当初の画面 中:構成検討 右:商品画面

デザイン事業本部
ソリューションデザイン部
チーフデザイナー
露口 万里
「気づき」の大切さ
エネパル™PCは、ナショナルプロジェクトとして、3年間の開発・実証実験の中で、商品化の検討を開始しました。商品として成り立つかという危惧もあっただけに、リリースの際、一般紙の一面に掲載され、多くのお客様から反響をいただき、うれしく感じています。商品版のデザインはお客様にも好評で、新しい技術をやさしく、楽しく、視覚的に訴えることができたのではないかと思っています。
3年間の開発期間に行われた実証実験ではエネパル™PCを導入することにより、わずか一ヶ月の期間に電力消費が下がっていきました。そして、アンケート結果では「行動が変わった」、「環境を意識しようとしている」、という意見が多く聞かれました。「気づき」を与えることで、行動に変化があるということがよく言われていますが、一人ひとりの「気づき」こそ、大切であることを実感しています。

事業企画本部
サービス開発部 部長
福田 雄児
理解を促すデザインから、意識を向上させるデザインへ
今回デザインしたユーザー画面とも関連する管理者画面では、組織の中での自分のランキング、会社のランキング、前日以降の使いかた(どの時間帯が無駄だったか、有効に使われていたかなど)も見ることができます。今後はこの管理者画面も、よりわかりやすく、面白いものにしていき、将来は電力という分野で空調や照明など、オフィス全体を"見える化"していければと考えています。
今回のデザイン開発をきっかけに、これまでのエコロジカルデザインコンセプトの「環境保全への理解を促すデザイン」が「環境保全の意識を向上・促進・加速させるデザイン」へと進化していき、より多くのお客様が毎日楽しく、積極的に環境保全を意識していただけるようになればと願っています。