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デザインで、地域鉄道の新しいあり方を追求する

「四日市あすなろう鉄道&NEC」共創プロジェクト
「四日市あすなろう鉄道&NEC」共創プロジェクト

地域鉄道が元気で走り続けることが、交通弱者の増加を防ぎ、地方創生の大きな力となると、わたしたちは考えています。NECでは、三重県四日市市を走る「四日市あすなろう鉄道」とともに、地域鉄道の新しいあり方や地方創生の可能性を追求する共創プロジェクトを2015年より推進しています。

四日市あすなろう鉄道とのプロジェクトにおいて、わたしたちが大切にしているのが“共創のアプローチ”です。従来の営業活動とは一線を画し、わたしたちは、地域のステークホルダーと関係を深め、共に活動しながら課題を発見するという方法を続けています。現場に入り込むことで得られる“現場ならではの気づき”を大切にしているのです。この共創のアプローチにより、地域鉄道の持続可能(サスティナブル)な未来の創造とともに、地域全体を視野に入れた幅広い価値提供に寄与することができると考えています。

また当プロジェクトにおいて、わたしたちが活かしたのは「デザイン思考」です。これは現場を観察(フィールドリサーチ)し、現場での気づきからアイデアを生み出し、プロトタイプを作り、実証実験を重ね、解決策を見つけ出すというもの。プロジェクトでは、この進め方に基づき、四日市市で現地視察を重ね、メンバー間でア
イデアを出し合い、そのアイデアを整理(マッピング)することで、コンセプトを抽出し、提供価値の具体化を行いました。

共創活動のイメージ

共創活動のイメージ図

デザインのアウトプット

共創プロジェクトの大きな目標は、地域鉄道が持続できる未来のために、ICTにどのような貢献ができるかを探ることです。この目的を実現するために、さまざまな共創活動を進めていますが、その主な取り組みが、「短冊列車」と「あすなロボを用いた活動」です。

走る車両での共創型ワークショップ「短冊列車」

「短冊列車」というワークショップは、沿線住民のニーズや、地方に暮らす人の鉄道の利用実態を把握するために実施されました。これは、運行中の車両にスタッフが同乗し、乗り込んできた乗客に短冊をわたし、その場で「四日市あすなろう鉄道への思い」や「将来こうなってほしい」といった願いを書き込んでもらうものです。

「短冊」を使ったのには意味があります。一般的なワークショップでは、ポストイット(付箋紙)が使われることが多いのですが、突然車内でポストイットをわたされ意見を書いてほしいといわれても、一般利用客の中には戸惑ってしまう人も出てくるのではないかとわたしたちは考えました。そこで、七夕などの行事で「願いごとを書き込むもの」というイメージが定着している短冊を用いることで、利用客がスムーズに思いや願いを書き込めるよう演出したのです。また、社内吊りポスターの制作や、笹をモチーフにした車内の飾りつけ、参加ノベルティの車両ペーパークラフトなど、ワークショップで利用したさまざまなアイテムの制作も担当。単にワークショップを行うのではなく、聞く場や聞き方にデザイナーならではの工夫を加えることで、イベントとしての価値向上にも大きく寄与しました。

ワークショップで集まった短冊は116枚。さまざまな意見の中でもっとも多かったのが、「永遠に走り続けて」という鉄道への愛着と持続を願うコメントでした。「短冊列車」の実施により、地域の生の声を収集することができました。

短冊列車の写真
車両ペーパークラフト制作の写真
車両ペーパークラフト完成の写真
社内の飾りつけやポスターの写真
社内の飾りつけの写真

「短冊列車」の様子。社内の飾りつけやポスターをはじめ、
参加者にプレゼントする、車両ペーパークラフトもデザインしました。

「短冊列車」の様子
「短冊列車」の様子2
グラフ:「短冊列車」に参加いただいた方々の比率zoom拡大する
「短冊列車」に参加いただいた方々の比率
「短冊列車」のアンケート結果zoom拡大する
「短冊列車」のアンケートでは、「永遠に走り続けて」という地域住民の声がもっとも多く集まりました。

鉄道でのロボットの可能性を探る「あすなロボ実証実験」

プロジェクトにおけるもうひとつの重要な取り組みが、「あすなロボ」を活用した実証実験です。これは、「駅や電車内にロボットがいたら人はどのような反応をするのか」を調べる実験で、システム開発の評価段階でよく使われるWoZ法(人が、対話システムのふるまいを擬似的に再現する)と、ユーザビリティ評価で使われるエスノグラフィ手法を用いた調査です。

例えば、ロボットを見つけた乗客が写真を撮ろうとしたときに、遠隔操作で「一緒に写真を撮ろうよ」とセリフを発してあげることで、乗客の反応がどうなるのかといったことを調べ、ロボットのふるまいの精度をあげていきます。こうした実験と改善を積み重ねることで、背景にあるICTの活用機会を探索しています。またロボットを操作するわたしたち自身も、間接的に駅員や車掌の体験をすることで、さらなる気づきやアイデアの創出につなげています。

「あすなロボ」を活用した取り組みは実証実験にとどまりません。三重県や四日市市が主催する地域のイベントや、近鉄ならびに四日市あすなろう鉄道が企画する鉄道イベントに参加するほか、ラジオやテレビ番組にも出演をはたすなど、その親しみやすい姿からマスコットキャラクターのような存在として、地域に受け入れられるようになりました。また国際ユニバーサルデザインの展示会やNECの展示会に登場するなど活動の場を広げています。

あすなロボ実証実験の様子

市民・学生をも巻き込んだまちづくりプロジェクトへ

現在、プロジェクトは次の段階へと進みつつあります。NECでは、地域の交通全体を考えるNPO法人「四日市の交通と街づくりを考える会(YTT)」のメンバーと協力し、三重県立四日市南高校の生徒など、地域の住民と一緒に、地域の持続的な未来を考える取り組みを開始します(※)。

一般的に共創パートナーのパタンとしては、企業との共創、自治体との共創、そして市民・学生との共創という3つが考えられます。プロジェクトではこれまで、企業である「四日市あすなろう鉄道」と、自治体である「四日市市」との共創を進めてきましたが、ここにさらに市民・学生である四日市南高校と「四日市の交通と街づくりを考える会(YTT)」の共創が加わることになります。これにより、当プロジェクトは、地域にさらに深く踏み込んだ取り組みへと歩みを進めることになります。

わたしたちは、この取り組みで得た地域鉄道を活性化させる手法を、全国の地域鉄道に提供し、地方創生に貢献していきたいと考えています。
(※NECグループ社員のスキルを活用した社会貢献活動、プロボノプログラムと協力して実施)

共創パートナーのパターン図
共創のパターンには、企業、自治体、市民・学生との共創が考えられますが、
当プロジェクトでは、この全ての共創が実現することになります。
鉄道イベントの写真
四日市あすなろう鉄道が参加する鉄道イベントをはじめ、
いろいろな地域イベントや展示会にも登場し、注目を集めています。
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