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「みんなで創るAI」を支えるNEC Advanced Analytics Platform (AAPF)

デジタルトランスフォーメーションを加速するAI活用サービス・ソリューション

成功するAI活用のためには、データサイエンティストやアプリケーション開発者などの多様な専門家の協働が不可欠です。NEC Advanced Analytics Platform(AAPF)はその協働を支援するAI活用プラットフォームです。AAPFでは、異種混合学習などのNEC the WISEの技術群だけではなく、世界で使われているオープンソースソフトウェアの分析ツールも利用できます。また、コンテナ技術の活用により、利用者ごとの多様なニーズに合わせた分析環境を簡単に作成することができます。AAPFは、データ分析環境、多様なAIアプリケーションの開発環境や実行基盤、人材育成のための学習環境など、さまざまな用途で既に利用され、AIの社会実装を支えています。本稿では、AAPFとその活用例について紹介します。

1. はじめに

AI活用はあらゆる領域で広がってきています。しかし、AI導入はPoC(コンセプト実証)で停滞することもまだ少なくありません。この背景にある難しさは、これまでのICT導入とは異なるプロセスや多様な人材・役割が必要とされる点です。例えば、データ分析を行うデータサイエンティスト、その結果をアプリケーション化するアプリケーション開発者、また、導入後の環境変化に合わせて予測モデルを管理する分析モデル管理者といった人材・役割が必要となります。加えて、社会でAIを適切に実装し、運用するためには、業務や法律の専門家の参画なども必要となります。そうした多様な専門家が円滑に協働することが、AI活用とそれによる変革には求められます。いわば「みんなで創るAI」が成功のカギとなっています。

NECでは、この社会の要請に応えるべく「みんなで創るAI」を支えるためのプラットフォームとして、NEC Advanced Analytics Platform(AAPF)を提供しています。

本稿では、このAAPFとその活用例について紹介します。第2章では、AAPFの概要と特長について述べます。第3章では、活用例について述べます。第4章では、今後の展開について紹介し、最後に本稿をまとめます。

2. NEC Advanced Analytics Platform(AAPF)

AAPFは、「みんなで創るAI」を支えるプラットフォームです。

AI活用を実現するためには、調査~企画~検証~導入~活用というAI活用ライフサイクルを多様な専門家とともに進めていく必要があります。AAPFはこのなかでも特に、検証~導入~活用のフェーズに焦点をあて、データサイエンティスト、アプリケーション開発者、モデル管理者の円滑な協働を支援します(図1)。

図1 「みんなで創るAI」を支えるAAPF

また、第4章にて後述するAAPF Solution Templatesなども加えることで、調査、企画のフェーズや、そこに関わる業務の専門家などを含めた、一貫したAI活用ライフサイクルの実行を支援します。

以降では、検証、導入、活用のそれぞれのフェーズでの、AAPFの特長について述べます。

2.1 分析環境の一括提供 (検証フェーズ)

AAPFでは、データサイエンティストが個別に環境構築を行うことなく、用途に合わせた分析環境をすぐに用意することができます。

AIの適用領域は多様化しています。需要予測、品質検査、お客様の声の分析など、あらゆる領域にAI活用の可能性は広がっています。また同時に、AIを構成する技術とツールも多様化しています。例えば、時系列データの分析、画像分析、テキスト分析などで、それぞれ異なる技術とツールが必要とされます。検証フェーズでは、これら技術とツールを使いこなすための分析環境を用途に合わせて迅速に構築し、また、複数のデータサイエンティストからなるチームが使えるように提供し、管理しなければなりません。

AAPFでは、各種分析用途に合わせた環境構成があらかじめ用意されています。例えば、異種混合学習、RAPID機械学習、テキスト含意認識、また、OSS(オープンソースソフトウェア)の分析ツールを用途に合わせて利用することができます。分析環境は自動構築されるため、データサイエンティストは、環境の種別を選択するだけで分析を始めることができます。この際、CPUやメモリの量、GPUの有無などをカスタマイズすることも可能です。また、複数のデータサイエンティストが同じ環境構成を使って分析を進めることで、お互いのツールやバージョンの違いによる混乱を起こすことなく、円滑に協働することが可能になります。

2.2 AIの容易なAPI化 (導入フェーズ)

AAPFでは、検証フェーズで作成された分析手順や分析モデルをAPIとして呼び出せるようにし、アプリケーション開発と導入を容易にする仕組みが用意されています。 

真に変革をもたらすAI活用は、導入フェーズを経て実現されます。導入フェーズでは、検証フェーズで作られた分析手順や分析モデルを、アプリケーションに組み込めるようにしなければなりません。

AAPFでは、分析手順や分析モデルをWeb APIとして呼び出せるようにする仕組みを提供しています。これにより、アプリケーションにAI機能を容易に組み込むことができます。アプリケーション開発者がデータサイエンティストと協働することによって、価値の高いアプリケーションを開発することが可能になります。

2.3 分析モデルの利用と運用 (活用フェーズ)

AAPFは、検証フェーズと導入フェーズの先にある活用フェーズでも、AIの実行環境として用いることができます。

AIの運用は、従来のICTのシステム運用とはいくつかの点で異なります。大きな違いの1つは、環境変化に応じて分析モデルを更新していく必要があることです。需要予測を例にとると、消費者行動の変化、競合関係の変化、自社の戦略の変更など、事前には想定しきれない変化は発生しえます。このとき、適切に予測モデルとその運用を調整する必要があります。このように、活用フェーズでは、運用が始まった分析モデルがパフォーマンスを発揮しているかをモニタリングし、必要があれば分析モデルをチューニングして更新するといったことをしなければなりません。

AAPFでは、分析結果を外部連携する仕組みが用意されています。また、先述したAPI化などを用いて、分析手順や分析モデルを再検証、更新することができます。

このように、AAPFは検証~導入~活用をシームレスにつなぐことで「みんなで創るAI」を支えることができます。第3章では、いくつかの活用例を紹介します。

3. AAPFの活用例

本章ではAAPFの活用例として、分析環境としての例、AI開発環境と実行環境としての例、人材育成環境としての例、の3つを紹介します。

3.1 データ分析環境として

AAPFはデータ分析環境として、既に数百件を超えるさまざまなプロジェクトで用いられています。

AAPFでは、分析のための標準言語としてPythonを採用し、ビジュアルで対話的な分析を可能とするためにJupyterを搭載しています。異種混合学習などのNEC the WISEブランドの技術もPythonとJupyterから利用できます。また、それらとOSSを組み合わせて分析するといった使い方も可能です。

AAPFは、世界で標準的に使われているさまざまな技術とつながることで、多様な分析に対応できる共通プラットフォームとして既に活用されています。

3.2 AI開発環境と実行環境として

AAPFはAIの開発環境、また、その実行環境としても用いられています。

第2章で述べたAPI化機能によってWeb API化されたAIは、多様なアプリケーションに組み込むことができます。このとき、アプリケーション開発にはPythonだけでなく、任意の言語を利用できます。APIはWeb APIとなるため、Javaなどから呼び出すことも可能です。他にも、例えば、VBScriptで呼び出してMicrosoft Excelと連携させるといった使い方も可能です(図2)。

図2 アプリケーションへのAIの組み込み

AAPFをAI実行環境として用いている例としては、NECの「需給最適化プラットフォーム Webサービス版」があります。これは、AAPF上で需要予測機能を実装し、それを組み込んだアプリケーションサービスです。これは、小売業の客数予測や、食品メーカーの出荷数予測を業務担当者が直接手軽に利用できるようにした例になります。

3.3 AI人材育成環境として

AAPFはAI人材育成環境としても用いられています。

「みんなで創るAI」の重要性を踏まえれば、多様な人々が役割に応じて多様な内容でデータ分析を学ぶ必要があります。また、データ分析を学ぶためには、座学だけではなく、実際のデータとアルゴリズムに触れることは必須となります。AAPFは、このための環境として使われています。

NECグループでは、AAPFの環境が全グループ社員向けに提供されており、4,500人を超える利用者がデータ分析について学んでいます。利用者には、データサイエンティストだけではなく、営業、システムエンジニア、企画、法務など、あらゆる職種が含まれています。また、AAPFを分析環境として、予測精度やビジネスアイデアなどを競うコンテストなども定期的に開催されています。AAPFは、「みんなで創るAI」を実行する組織の基盤となっています。

このように、AAPFは「みんなで創るAI」を支え、それにより「本当に使えるAI」の社会実装を促進するプラットフォームとして既に活用が進んでいます。第4章では、AAPFの今後の展開について述べます。

4. 今後のAAPF

AAPFは「みんなで創るAI」を支え、それにより「本当に使えるAI」を社会のすみずみまで広げるためのプラットフォームです。本章ではそのための今後の取り組みとして、AI活用がさまざまな業種・業務に広がることを助けるAAPF Solution Templates、AI人材の社会全体での拡大を助けるNECアカデミー for AIにおけるAAPF活用、新技術の搭載拡大の3点について述べます。

4.1 AAPF Solution Templates

AAPF Solution Templatesは、AAPFをより業務応用に近づける追加ライブラリーとサービスです。多様な業種や業務での分析手順や可視化方法などのAI活用ノウハウをテンプレートという形で提供しています。

AIの業務適用を進めるためには、業務の専門家との対話が必須となります。AAPF Solution Templatesは、さまざまな業種や業務でのAI活用イメージを具体的な画面イメージなども含めて提供します。これにより、AI活用の可能性の調査やあるべき姿の企画などが迅速化されます。

現在、AAPF Solution Templatesは製造業、金融業向けからテンプレートの提供を順次開始していますが、今後はこのテンプレートの対応領域を更に拡大し、AI活用を社会のすみずみまで広げていきます。

4.2 NECアカデミー for AI 用学習環境

NECアカデミー for AIは、NECの人材育成ノウハウを社会に広げ、社会全体でのAI活用を支える取り組みです。

第3章で述べたように、AAPFは、NECグループ内の学習環境として活用されています。今後は、その提供範囲をより拡大し、NECアカデミー for AIでのAI体験環境として社外の方へも更に幅広く、なおかつ手軽に利用できるような形態を目指していきます。また、AAPFを通じて、分析ノウハウやアイデアの相互流通も促進させていきます。

4.3 新技術の搭載拡大

AAPFはOSSも含めた世界標準の技術スタックをベースとしており、オープンな技術仕様のもとに、分析アルゴリズムやライブラリーを容易に追加することができます。

現在、AAPFには、NEC the WISEブランドの技術として、異種混合学習、RAPID機械学習、テキスト含意認識が搭載されており、OSSのライブラリーとしてScikit-learnなどが搭載されています。今後は、引き続きNEC the WISEブランドの技術を継続追加していくとともに、パートナー企業様の技術なども搭載して共同提供できるような取り組みを進めていきます。

5. おわりに

本稿では「みんなで創るAI」の重要性とともに、それを支えるAAPFについて紹介しました。

これからも引き続き、「みんなで創るAI」というコンセプトを追求し、社会と対話しながら、より多様な領域、多様な技術に対応し、産業と技術革新の基盤を社会にもたらすことを目標に、企画・開発に取り組んでいきます。


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    Javaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。
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    MicrosoftおよびExcelは、米国Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
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    その他記述された社名、製品名などは、該当する各社の商標または登録商標です。

執筆者プロフィール

菅野 亨太
AI・アナリティクス事業部
シニアマネージャー
後藤 範人
デジタルビジネス基盤本部
マネージャー

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