ファイザー株式会社様

製薬ビジネスを支えるシステムを6ヵ月でクラウド化
保守コストの大幅削減や、業務効率の30~40%向上を実現

業種:
  • 医療・ヘルスケア
  • 医療・ヘルスケア
  • 製造・プロセス
業務:
  • 営業・販売
  • マーケティング

医薬品卸から「どの商品が」「どの医療機関・調剤薬局へ」「どれだけ納入されたのか」といった実績を示す「実消化データ」。ファイザー様では、15年前に構築したシステムを使って、この実消化データを処理してきましたが、システムの老朽化に伴い、増え続けるデータやビジネス上の変化への対応が困難になっていました。そこで、同社ではNECの「実消化クラウドサービス」にシステムを移行。その結果、以前の課題をトータルに解消するとともに、関連業務の効率を30~40%向上しています。

事例の概要

課題

  • システムのアーキテクチャが古く、営業組織体制変更など、ビジネス上の変化に対応するためのシステム改修に多大な時間と労力、コストが必要となっていました。
  • 処理すべきデータの飛躍的な増大に対し、必要な処理性能が得られず、業務ニーズに応じたスピーディな情報の提供が行えませんでした。
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成果

400万件のクレンジングを約20分間で処理できるなど、さらなるデータの増大やビジネス環境の変化にも柔軟に対応していけるシステムを実現。

システムの運用工数が劇的に低減したことで、専任4人体制から兼任2人体制へとスリム化。ITに関わる人材リソースを有効に活用することが可能に。

実消化データの集計などに関わる業務が効率的なかたちでルーチン化され、業務の生産性が従来比で30~40%向上。

導入前の背景や課題

ファイザー・ホールディングズ株式会社
ビジネステクノロジー
BIソリューション部
部長 遠藤 徹 氏

「実消化システム」の老朽化で処理性能や保守性の問題が浮上

米国ファイザーの日本法人として、2013年に創業60周年を迎えるファイザー株式会社様。研究開発型の企業として、世界の製薬業界をリードする革新的で価値ある医薬品、治療法を生み出すことにより、世界中の人々の長寿と健康、そしてQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に日夜貢献しています。

一般に、製薬会社では医療機関・調剤薬局に直接販売することはせず、自社の販売実績を知るためには、医薬品卸から「どの商品が」「どの医療機関・調剤薬局へ」「どれだけ納入されたのか」といった実績を「実消化データ」として業界VAN経由で入手する必要があります。

ファイザー様でも、以前からUNIXベースで構築したシステムを使って、実消化データを入手・変換し、自社の販売実績管理やマーケティングといった関連システムに供給するという処理を行ってきました。ところが、このシステムが15年も前に構築されたものであったため、様々な問題が浮上してきていました。

「アーキテクチャ自体が古く、新製品発売、新規コ・プロモーション、営業組織体制変更などのビジネス上の変化が生じた場合、それに対応するためのシステム改修には、多大な時間と労力、コストが必要でした」とファイザーの遠藤 徹氏は語ります。また、取り扱い製品数の拡大に応じて、処理すべきデータが飛躍的に増大してきており、もはや15年前の設計では性能的にも対処しきれない状況になっていたといいます。例えば、同社では当日の実消化データをシステムで処理した上で、データウェアハウスやSFAのシステムへと転送し、翌朝5時には営業担当者が閲覧可能にするという運用を日々実施していますが、その処理が間に合わないといった状況も発生していました。

加えてその当時、同社ではジェネリック医薬品の取り扱いに向けた検討が行われており、処理すべきデータ量が劇的に増大することが確実視されていました。こうした問題に対応するため、ファイザー様では実消化システムの全面的な刷新を決断しました。

選択のポイント

ファイザー・ホールディングズ株式会社
ビジネステクノロジー
BIソリューション部
白澤 茂稔 氏

パッケージでの実績がサービスの選定に大きな安心感
実消化システムの刷新に向けた検討を開始したファイザー様でしたが、かつてのように自社独自のシステムを再構築する選択をとれる状況にはなかったといいます。これについて遠藤氏は「ファイザーでは、米国本社のガバナンスのもと、各国拠点のシステムを構築するという方針を打ち出しており、全社的に標準サービスの利用を推進しています。そうした中で、日本独自の商慣習である実消化のために新しく社内システムを構築することは、困難だったのです」と明かします。

そこで同社が注目したのが、実消化データ処理に関わる一連の機能をクラウドで提供するNECの「実消化クラウドサービス」でした。クラウドであれば、新たな投資や運用の負荷を最小化できるからです。また、NECが十数社への導入実績を持つ実消化システムのパッケージを持っていたことも、大きな安心感につながりました。「業界VANを通じて入手する実消化データには、卸売業様ごとに独自の作法があり、そうした差異を適正なかたちに整えるクレンジング処理が実消化システムの“肝”となります。その点NECでは、どの卸売業様のデータにどういう“特徴”があるかといったことも含めてこの分野の事情に精通しており、提案内容からも実現性が高いと判断しました」とファイザーの白澤 茂稔氏は語ります。

これに加えて、オンプレミス環境でのマスタ管理システムとの連携についてもワンストップで対応できることや、内部統制保証報告書を受領しているなど、信頼性の高いクラウドサービスであることも、採用を後押ししました。

導入ソリューション
クラウド、オンプレミスを連携させたシステムを短期間で実現

ファイザー様が導入した今回のシステムでは、業界VANを介した実消化データの取得からクレンジングに至る部分をNECの実消化クラウドサービス側で実施。400万件のクレンジングを約20分間で処理することが可能となっているなど、今後の急速なデータ量の増加を見据えた高度な処理性能が実現されています。

一方、ファイザー様のオンプレミス環境には、製品管理やエリア管理、組織管理、施設担当管理などを行うためのセールス統合マスタ管理システムをNECのSIサービスにより構築。これらクラウド、オンプレミスを連携させたシステムを6ヵ月という短期間で構築しました。これにより、セールス統合マスタから提供されるデータに基づく、サービス側でのよりきめ細かな処理が可能となり、人事異動や組織変更など経営上の環境変化にも柔軟に対応できるシステムが実現されています。

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システム構成図
実消化クレンジング処理をNEC実消化クラウド、マスタ管理の仕組みを
製薬向け統合マスタテンプレートで実現

導入後の成果

ファイザー株式会社
事業支援グループ
KBMチーム
課長 内藤 伸 氏

日常実施する関連業務の効率が従来比でおよそ30~40%向上

今回の取り組みにより、同社では既存システムの処理性能や保守性、コストといった課題を、最新のクラウド環境に移行することでトータルに解消。今後のさらなるデータの増加や、ビジネス環境の変化にも柔軟に対応可能な体制を整備しました。

さらに、その成果は業務面にも表れています。「当社では実消化データを得意先情報や特約店情報などと対比させながら、各種販売実績伝票として計上する作業を日々行っています。実消化クラウドサービスの導入後は、そうした業務に関する効率が従来に比べおよそ30~40%向上しました。これは、NECが現場のニーズを丁寧にくみ取り、使いやすい画面インタフェースを提供してもらった結果、業務が効率的なかたちでルーチン化できたからです」とファイザーの内藤 伸氏は語ります。

さらに、システム運用負担が劇的に軽減されたことも大きなメリットです。旧システムでは専任者4人で運用していましたが、クラウドサービスへの移行後には2名体制へ変更。しかも、担当者は、本システムだけでなく、複数システムの運用を兼任できるようになりました。「そうした意味で今回のサービスの導入は、ITに関わる人材リソースの有効活用にも貢献しています」と内藤氏は強調します。

今後の展望

製薬業界における汎用業務の積極的なサービス化を期待

今後もファイザー様では、今回導入した実消化クラウドサービスが供給するデータを、販売実績管理をはじめ、営業支援やマーケティングなど幅広い業務に生かしていく予定です。「NECには、今回のシステムはもちろん、製薬業界において汎用的に行われている様々な業務を積極的にクラウドサービスとして実現することで、我々をサポートしてほしいですね」と遠藤氏は語りました。

NECスタッフの声

NEC
プロセス業ソリューション事業部
第一システムグループ
プロジェクトマネージャー
鈴木 克巳

世界トップクラスの製薬会社へのサービス適用が大きな自信に

今回のファイザー様における実消化システムの移行プロジェクトでは、関連する他2つのプロジェクトも含め短納期ながら、お客様の求めるサービスを速やかに実現し、運用開始後も大きなトラブルなく、安定したサービスを提供し続けることができました。

その成功要因は、まず医薬品分野、特に実消化データの領域に深く精通した最適な人材がプロジェクトに参画できたこと。次に数十年にわたって蓄積してきた実消化に関するノウハウをテンプレート化するとともに、いち早くクラウドサービスとして提供できる体制を整えたこと。さらには、SFAやデータウェアハウスとのシステム連携など、NEC以外のベンダーとの調整が発生する中、プロジェクトマネジメント力をいかんなく発揮できたことが大きかったと考えています。加えて、プロジェクトを進める中でファイザー様から様々なご要望・ご意見をいただき、それをフィードバックしていくことで、サービスの品質をさらにブラッシュアップすることにもつながりました。

NEC
プロセス業ソリューション事業部
医薬インテグレーション部
主任 高木 孝文

今回の実消化クラウドサービスに関しては、ファイザー様がそのファーストユーザーでした。国内売上高でも1、2を争う製薬会社様の、膨大な伝票量の処理を求められる業務をクラウド基盤上で確実に支えているという事実から、サービスの安定性、信頼性について実証できたことは、嬉しい限りです。

今後もNECでは、医薬品業界に関する業務ノウハウ、長年培ってきたSI力、そして堅牢なデータセンターを三位一体として、業界標準となるサービスの数々を提供していくことで、日本の医薬品メーカーの皆様のビジネスに貢献を果たしていきたいと考えています。

お客様プロフィール

ファイザー株式会社

本社 〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7新宿文化クイントビル
設立 1953年8月1日
社員総数 5,583名
事業内容 米国ファイザーの日本法人として、医療用医薬品の販売・輸出入にかかわる事業を展開。人々の長寿と健康、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に貢献している。
URL new windowhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/

関連リンク


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(2013年5月21日)

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