Japan
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サンデンホールディングス株式会社様
BOMを核に設計・生産をデジタルにつなぐ基盤を構築
グローバルなモノづくりプロセス改革でさらなる飛躍へ
- 業種:
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- 製造・プロセス
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 生産管理
- ソリューション・サービス:
-
- 共通業務/PLM
- サービス/コンサルティングサービス
事例の概要
課題背景
- 自動車部品業界のグローバル化の加速により、グローバルで一貫したモノづくりプロセスの確立とグローバル品質の均一化が重要になってきた
- 既存プロセスは個別最適であり、同じ部品でも拠点によって購買単価が違う、拠点間での類似部品の流用が効率的に行えないなどの問題があった
- モノづくりプロセスのムダを排除して、新技術の開発などにリソースを集中させたい
成果
統合BOMによる設計・生産連携の効率化
Obbligatoが提供する設計BOM、生産BOMなど目的別BOMの統合によるアプローチで、設計・生産プロセスをスムーズに連携。生産拠点ごとの拠点別生産BOMを管理し、各拠点のERPと連携させグローバルに一貫したモノづくりプロセスを確立。
品番ルールとプロセスを統一し、情報をPLMに集約
各拠点が個別に管理していた設計・生産にかかわる情報をグローバルPLMに集約。情報の可視化で、購買コストのムダなどの問題を早期かつ正確にし、適切な意思決定に役立てられる環境が整った。
業務の効率化を加速させ新技術開発にリソースを集中
業務のデジタル化、プロセスの標準化が実現。設計付帯業務の大幅な工数削減と適切な人員配置により、新技術開発などに積極的に取り組んでいく。
導入ソリューション
CADから設計BOM、拠点別生産BOM、および各拠点のERPまでデジタルにつながり、設計と生産のスムーズな情報・プロセス連携を実現。モノづくりの情報がPLMに集約され、グローバルで標準化されたモノづくりプロセスの実践が可能となっている。
事例の詳細
導入前の背景や課題
個別最適化された設計・生産プロセスの全体最適化を目指す
「冷やす・あたためる」技術をベースに、自動車機器システムの開発・製造・販売などを行うサンデンホールディングス(以下、サンデン)様。特にカーエアコン用コンプレッサーの領域では、グローバルでも屈指のシェアを獲得しています。最近では、電気自動車向け製品の開発にも注力。統合的な熱マネジメントによって「電費」を向上させるシステムの開発を通じて、自動車産業のさらなる発展に貢献しようとしています。
同社は、海外進出がまだ珍しかった1970年の初頭から、いち早くグローバル市場に参入したことでも知られています。以来、米国を皮切りに欧州(ドイツ、フランス)、アジア諸国、中国へと生産拠点を拡大しながら、プレゼンスを着実に向上させてきました。
この間、同社は、各拠点がそれぞれに設計や生産を行い、現地のニーズに応えるかたちで競争力の強化を図ってきました。しかし、その体制のままでは現在の環境に対応することが困難になってきていたといいます。
「拠点ごとに設計図面や部品単価、在庫量などを管理するという個別最適のアプローチには、非効率性をはじめとするさまざまな問題が顕在化していました」とサンデンの髙橋 博史氏は明かします。
例えば、品番体系が共通化されていないため情報の取得に時間がかかっていました。同じ部品を使っているのに拠点によって購買単価が違う、在庫の適正化が図れない、拠点間での類似部品の流用が効率的に行えないなどの問題がありました。
選択のポイント
設計業務のみではなくモノづくりプロセス全体の最適化を支援するPLM
そこで同社は、設計から生産に至るプロセスの全体最適化に着手。「グローバル規模でモノづくりプロセスを標準化して効率化を図り、ムダを徹底排除することで、全社的にQCDの改善を目指す改革を推進することを決めました」と髙橋氏は語ります。
各部門から人員を選抜して「モノづくりプロセス標準化プロジェクト」を立ち上げた同社は、同時にNECのコンサルタントに参画を依頼。課題抽出からプロセス改善案の策定、新業務要件の確立、PLMシステムの構想など、多様な支援を得ることにしました。
「グローバルなモノづくりの肝となるBOMについて、数多くの文献を閲覧しましたが、特に参考になった論文は、決まってNECのコンサルタントが執筆したものでした。それが、NECに参画を依頼したきっかけです」と髙橋氏は説明します。
その上で約1年をかけてグループ内のあらゆる担当者にヒアリングを実施し、綿密な検討を重ねて、「技術情報管理方式のグローバル標準化」「目的別BOMによる設計・製造・購買連携の整流化」「グローバル図番・品番ルールの導入」「図面・BOM管理プロセスの標準化」「開発上流における技術情報管理の標準化」という5つのグローバル標準化方針を策定。さらに、新モノづくりプロセスを支えるグローバルPLMとしてNECのPLMシステム「Obbligato」の採用を決めました。
「NECがプロジェクトの構想企画に参画しているからといって、短絡的にNEC製品を選ぶことは避けました。あくまでも構想フェイズで築き上げてきた「新業務要件」を実現できるシステムはどれなのか、各社のPLM製品とベンダーからの提案に対し素直な気持ちで評価・検討を行いました」と同社の関口 裕志氏はいいます。
具体的に、同社のシステム選定時の評価項目は新業務要件の実現性として、5つのグローバル標準化方針に対する施策、既存システムとの連携性、プロジェクト推進手順や体制など、詳細な評価項目を設けて各社の製品・ベンダーを採点。その結果、最も高い評価となったのがNECのObbligatoだったのです。
「ほかの製品が設計者の業務に重きを置いたものであったのに対して、Obbligatoはモノづくりプロセス全体の最適化に重きを置いており、さらに、グローバル展開ビジョンがはっきりしていました。設計BOMと生産BOMを別々に持つことの意義や拠点ごとに生産BOMを持ち、拠点ERPと連携させる目的別BOMの統合と、設計・生産をデジタルにつなぐというアプローチには、同じ製造業であるNECの知見とノウハウを感じた上、納得感がありました」と関口氏は強調します。
導入後の成果
BOMを核にした情報集約と見える化で問題の早期発見とスピード解決が可能に
サンデン様は、まず国内にObbligatoを適用。その後、段階的に欧州、米国、アジア、中国へと展開していく計画です。NECは、サンデン様のPLMグローバル展開について、フランスに本拠を置き、世界40カ国以上で事業を展開するITコンサルティング企業として知られるキャップジェミニ社と協業体制でサポートしています。
「このような海外展開についても具体的なロードマップを示してくれたのはNECだけでした。NECとキャップジェミニ社の連携体制は、現地の気質を理解したサポートを提供してくれる安心感があります」と同社の星野 秀之氏は語ります。
展開が完了すれば、BOMを核に設計・生産プロセスが標準化、整流化され、関連技術文書や3Dビューアデータ、変更履歴情報、在庫・原価などの生産情報、案件情報、含有化学物質情報など、ありとあらゆる情報をBOMにひも付くかたちで集約。各拠点の生産管理システムやERPとも連携しながら、グローバル規模でのモノづくり情報の一元化を実現します。
「以前は設計BOMと生産BOMは分けていなかった上、紙運用や各種情報も個別管理という状態でしたが、グローバルに統一した図番や品番ルール、技術ドキュメントの体系、プロセス標準化など、統合BOMを中心に業務がデジタル化されます。Obbligatoを活用して、今まで捉えられなかった情報が見える化され、必要な情報を速やかに取り出して、コストのムダを発見し、具体的な改善策を検討するなど、ビジネスの効率を劇的に向上できると考えています」と星野氏はいいます。このような効率化は、リソースの余裕を生み、技術者の新技術開発への積極的な参入など、さまざまな成果につながると期待しています。
「環境は整いました。あとは、私たち自身がいかに活用していくか。サンデンのモノづくりプロセス改革は、これからが本番です」と髙橋氏。次の成長を見据えて長年の課題の解決に果敢に挑戦したサンデン様。この挑戦によって、サンデン様のグローバル市場でのプレゼンスは、さらに高まっていきそうです。
NEC担当スタッフの声
モノづくりプロセス全体の最適化を支えるObbligato
NECは、プロジェクト初期の課題抽出から、課題解決に向けたグローバル標準化方針策定と新業務要件の定義、さらにはObbligatoによるPLMのデザインから構築に至るまで、サンデン様のモノづくり改革をトータルに支援させていただきました。
標準化方針や新業務要件を練り上げる段階では、NEC自身、あるいはNECが支援した製造業様の成功事例に基づくノウハウや知見を余すことなく活用・提供しました。また、お客様と共にNECのメンバーも欧州や米国などの拠点に随行し、グローバルレベルでの方針整合を図ることができました。
設計BOMと生産BOMを分ける目的別BOMや、グローバルでの標準品番ルールの導入など、全社を横断したモノづくり改革の推進に当たり、サンデン様のプロジェクトチームとNECのコンサルタントが一体となって推進させていただきました。
改革を支えるPLMについては、設計BOM/拠点別生産BOMの統合およびBOMを中心に情報をリンクさせる活動を高く評価いただきました。
含有化学物質情報もBOMと連携させ、設計段階から製品に含まれる規制物質の集計や環境法規制の判定をするなど手戻りリスクを低減。モノづくりの情報をPLMに集約して全体最適を実現しています。
また、今後のグローバル展開を見据え、システム間インターフェースの標準化、海外向けアレンジも可能な設計、拠点間のセキュリティの柔軟なコントロールなど、NECのPLM構築ノウハウを活かしてサンデン様のグローバル展開をスムーズに実現する工夫をしています。
このような統合BOMを軸としたモノづくりプロセスの全体最適化がObbligatoの本領。今後もNECは、Obbligatoをベースに、製造業のモノづくりプロセス改革やグローバル展開、ビジネス拡大に貢献していきたいと考えています。
お客様プロフィール
サンデンホールディングス株式会社
所在地 | 群馬県伊勢崎市寿町20 |
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設立 | 1943年7月30日 |
従業員数 | 6,509名(グローバル連結) |
概要 | 屈指の世界シェアを誇るカーエアコン用コンプレッサー・システムの開発・製造・販売までを一貫して行う独立系自動車部品メーカー。世界23カ国49拠点で事業展開。 「環境と快適が調和する豊かな社会の実現のために時代を切り拓き続け、全ての人々から信頼される企業になる」というビジョンのもと、全社一丸となった取り組みを展開している。 |
URL | https://www.sanden.co.jp/ |
この事例の製品・ソリューション
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(2020年8月19日)