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PLMコラム ~品番連載シリーズ~

<執筆者>
NEC マネジメントコンサルティング統括部
ECMグループ ディレクター 杢田竜太
2002年より、20年以上に渡って、製造業:特に設計を主体としたエンジニアリングチェーン領域におけるデジタル技術を活用した業務革新(PLM/BOM/コンカレントエンジニアリング/原価企画等)支援に従事。製造業を中心とするお客様に対して、設計開発プロセスにおける業務コンサルティングを手がけている。

執筆者

2026/8/27

3.品番の呪縛とは?

前回までで、品番が抱える課題とは、大きく、
 【1】桁数破綻課題
 【2】管理品番レス課題
の2つが、それぞれ、
 【1】事業拡大
 【2】情報管理精度向上要求
に合わせて、課題化してきたことを説明してきました。

品番が抱える課題と発生源の関係

図1:品番が抱える課題と発生源の関係

そしてそれが、事業オペレーションを阻害しはじめているのであれば、単純には(論理的には)新しい品番体系に刷新すれば良いではないか?と思うと思います。しかし、品番には呪縛があり、そうそう簡単に体系更新することはできません。
今回は、その品番の呪縛について説明していきたいと思います。

この呪縛も大きく2つの視点で見ていきます。
ひとつが「IT(情報システム)」の視点、そしてもうひとつが「業務(オペレーション)」の視点です。

まず、わかりやすいIT(情報システム)の視点から見ていきましょう。
そもそも品番は、その番号を持つ物理的なモノを管理するための番号です。
そしてその管理は通常、情報システムで管理されています。
例えば、実際にあった製造業の在庫管理システムを例にみていきましょう。

A社の国内X工場では、部品の在庫管理において、姿・形・機能・性能・品質全て同じ部品でも、X工場で製造する製品組立に払い出される在庫と、海外Y工場に送る在庫(ノックダウン部品と言います)で別品番で管理している事例がありました。
旧来の品番体系のある桁が、「0」なら自社工場組立部品、同じ桁が「1」ならノックダウン部品という具合です。
こうなると、ひとつのモノに2つの品番が振られている状態であり、望ましくありません。
もし今、X工場ではその部品が不足している状態かつ、ノックダウン部品なら沢山在庫があるという状況において、通常オペレーションでは、X工場の組立ラインにノックダウン部品を払い出すことはできないからです。
このケースでの論理的な解決策は、品番のある桁を使って自社工場組立部品とノックダウン部品を分けるのではなく、品番は同じ番号とし、在庫管理番号として、別々の番号で管理することです。そうすることで、絶対的原則としての情物一致がなされると共に、先ほどのケースにおいても通常オペレーションで部品の振向けが可能となります。
しかし、この変更を行おうとすると、在庫管理システムの改修が必要となります。

今回の変更点は、
『品番のある桁の意味を排除する(ある桁が「0」なら自社工場組立部品、同じ桁が「1」ならノックダウン部品という意味)』です。

ここまでは在庫管理システムを例に、システムへの影響を説明してきましたが、この品番桁の意味を前提に作られたシステム(の機能・プログラム)が他にどれだけあるのか、網羅的に調査・チェックする必要が出てきます。
例えばそれが、国内X工場の在庫管理システムだけと特定されれば、その改修見積だけでROIを試算することができますが、そうではなく、国内X工場では5システムに影響、加えて現場のマテハンの制御プログラムにも影響、更には、国内Y工場の3システム、Z工場の2システムでも改修が必要、となった際は、それら全てのシステムの改修見積をROIの前提としなければなりません。
ひとつのシステム改修に1,000万円掛かるとすると、1億1千万円もの改修費用が発生する、となってしまい、その品番体系改修にはSTOPが掛かってしまうという状況を生み出してしまっています。

この例は、あくまで部分的な例であって、このような事象が既存品番の各桁に対して検討された結果、投資の試算結果がびっくりするほどのシステム改修費用が発生する、となってしまい、企画倒れとなってしまっているケースが多々ある認識です。

次に、「業務(オペレーション)」の視点で見ていきましょう。
品番課題の大きな問題点は、
 【1】桁数破綻課題
 【2】管理品番レス課題
でした。 参考)PLMコラム 品番連載シリーズ第1回
【2】管理品番レス課題の解決のためには、品番体系への新ルール追加が必要となります。
また、【1】桁数破綻課題解決のためには、言わずもがなですが、新ルール追加、または、新品番体系への移行が必要となります。

私の感覚では、2015年くらいまでは上記の解決のために、世のコンサルタントは「完全無意味品番」を提案していることが多かったと思います。
その理屈としては、
  ①意味有桁数破綻を起こしている桁を排除しても、いずれまた破綻する
  ②然るに根本的解決策は、桁に意味を持たないことだ
  ③その番号のモノが何を表しているか(意味)を属性に持てば、システムをたたいて確認できる
ということでした。

完全無意味品番化のイメージ

図2:完全無意味品番化のイメージ

この理屈の①②は正しい、というか正論として正しいのですが、③に業務(オペレーション)上の難がありました。

まず、現場ではわざわざシステムをたたかない、という、現場を知っていれば当たり前のことです。
現品票を見て、現品票内の(意味有り=材質桁の)品番を確認して、その部品の材質が何かを確認する、など、現場では瞬時の判断に品番の意味有り桁を活用してきました。
もちろん、この例で、例えばモノの色を見て材質がわかれば問題は無いのですが、同じ色形で材質だけ違うモノがあった場合、現場は確認のためにわざわざシステムをたたくでしょうか?

また、社外ではシステムをたたけないという問題もありました。
長年お付き合いのあるサプライヤーや外注先が、やりとりのメールや注文書などで無意味品番を見ても、何が何だか分からないという問題です。

これらの問題の解決策として、当時、実際に品番体系の無意味化を検討した際には、現場帳票に(品番だけでなく)その意味を持たせた属性も出力しよう、という解決策が示されていました。
しかし、そうなると、今度は、「IT(情報システム)」の視点の呪縛が発生します。
つまり、帳票を出力しているシステムが余りに多過ぎて、それら全てのシステム※を改修する必要が出てくることとなりました。 ※ 実際には全てではなく、必要なすべてのシステム。

私の経験では、それなりの歴史を持つ相応の規模の企業様で、品番体系を完全無意味連番に置き換えた事例は聞いたことがありませんので、検討は進めたが、上記の呪縛で品番課題については曖昧なまま現在に至っている企業様が多いとみています。

本件は本当に悩ましい問題なのですが、私は、それでも品番改革(抜本的外科手術)が必要な場合と、そうでない(経過観察がベターな)場合があると考えています。
次回は、その考え方について述べたいと思います。


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