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PLMコラム ~品番連載シリーズ~

<執筆者>
NEC マネジメントコンサルティング統括部
ECMグループ ディレクター 杢田竜太
2002年より、20年以上に渡って、製造業:特に設計を主体としたエンジニアリングチェーン領域におけるデジタル技術を活用した業務革新(PLM/BOM/コンカレントエンジニアリング/原価企画等)支援に従事。製造業を中心とするお客様に対して、設計開発プロセスにおける業務コンサルティングを手がけている。

執筆者

2026/6/22

1.品番が抱える課題とは?

さて今回から、いよいよ「品番」について解説していきます。
まず、PLMやERP、その他業務ITソリューションに関わっている人なら当たり前のように「品番(ヒンバン)」という言葉を使ってしまいますが、今でも「品番」と言う言葉が社内で使われていない企業が多くある、というのが実態です。
例えば、NECのPLMソリューション:Obbligatoでも、標準では「品目番号(品番)」ではなく、「部品番号」と呼んでいます。

では、何故「品目番号(品番)」という呼び方をするのでしょうか?
また、そもそも「品目」とは何を指すのでしょうか?

Wikipediaで「アイテム」の欄に、以下の記載があります。
 英語の「item」(物品、条項、品目、などの意味)に由来する言葉 (後略)
消費者庁のページでは、例えば、下記ページが存在します。
 家庭用品品質表示法の「対象品目一覧」
Oracle Help Centerには、「品目とは何ですか?」と英語を機械翻訳されたページがあり、
品目は、販売または取引する製品とサービス、および製品とサービスを構成するコンポーネントを表すために使用されます。
と書かれています。

私は、元々在庫管理やMRPで管理すべきモノの対象を、「item」と呼んでおり、その日本語訳を「品目」としていたのが、元々の成り立ちなのだと理解しています。
つまり、「品番」とは、管理すべきモノを特定する番号なのです。

さて、それでは、品番が抱える課題とは何なのでしょうか?
結論から申し上げますと、下記2つとなります。
  1.(自社の)意味有品番体系が破綻してしまっている
  2.(管理すべき)モノを特定する品番がない(=採られていない)

品番シリーズ第1回(本稿)では、この2つの課題とは何か?について解説し、「なぜこのような課題がうまれてしまったのか?」の分析結果・考察について解説していくことにします。

【1】(自社の)意味有品番体系が破綻してしまっている

よくある品番の例を図1に示します。

品番の例

図1:品番の例

この場合、例えば、1桁目(①)が数字のみ利用可能だとすると、事業の種類は0~9の10種類しか設定することが出来ません。こういう品番体系のケースは、通常、①に「事業共通」という意味(例えば、”0”)も付与していますから、実際は1~9の9種類の事業しか設定できません。一方で、M&Aや組織再編によって、10以上の事業が出来た際には、この1桁目の意味は破綻している状態にあると言えます。

あるいは、2桁目(②)に「電子部品」という大分類が設定されていた場合はどうでしょうか?
数字とアルファベットをフルに使えるとして、3桁目(③)で数字10種類とアルファベット26種類で合計36種類の電子部品の分類を設定することができます。(実際には、1と間違えやすいIや、0と間違えやすいOは使わず、24種類としている企業も多いです。)
当初は、「事業共通の電子部品であるコンデンサ」と定義していた「コンデンサ」の部分を、「セラミックコンデンサ」と「電解コンデンサ」と、「フィルムコンデンサ」、「その他コンデンサ」に分けようとしたら、それだけで小分類③の36種類の内4種類を使ってしまうことになり、現実的にはそのような分類は設定できない、と言うことになります。

後者の場合は、例えば品番体系の1~3桁目(①~③)としては、「事業共通の電子部品であるコンデンサ」のままとし、
   A:4桁目(④)で「セラミックコンデンサ」と「電解コンデンサ」と、「フィルムコンデンサ」、「その他コンデンサ」
に分けて管理しているケース
   B:電子部品データベースを別に作成し、「セラミックコンデンサ」、「電解コンデンサ」、「フィルムコンデンサ」、「その他コンデンサ」と言った細かな部品分類をそのデータベースで管理しているケース
   C:AとBの両方で管理しているケース
のように、企業によって対応は様々です。
この場合、Aのケースにおいては、品番体系の規程上は、「④~⑦は、①~③毎の連番」と規程されたままとなっているケースがあり、4~7桁目が破綻していると言えます。

このように、品番は事業拡大や管理するモノの種類が増えた際に破綻しがちなのですが、その都度、品番体系の規程を見直している企業はまだ軽傷です。規程を見れば、「いつ、なぜ、品番がどのように変化していったか」を追うことができ、今後の破綻リスク最小化のための検討がしやすい状態にあるからです。

重症なのは、現場で規程と異なる意味での運用がまかり通っている場合です。
この場合、ITシステムもその現場の意味を踏襲してプログラムが組まれていることが多々あり、そうなってしまうと、その最新運用の調査だけで、1年から数年単位で実施する必要が出てきます。

【2】(管理すべき)モノを特定する品番がない(=採られていない)

組立製造業での組立順のイメージを図2に示します。
このケースにおいて、購入品は品番A,B,C、総組後の製品は品番Xと、品番があるのですが、部組後の「B+C」に品番が振られていないケースがあります。
この様なケースは、図番を品番のように使う文化があり、図番でモノを購入したり、図番で組立指示をしたりする場合に多く発生しています。
実際のモノとしては「B+C」のモノがあるのに、それを表す品番が無いので、例えば棚卸の際には、B:何個、C:何個と、BとCそれぞれで何個あるかを計上したりしています。原価計算上も、B+Cの部組をした際の加工費は無かったことになってしまいますので、番号がないだけで、在庫管理上も原価管理上も、情報とモノ、カネが一致しないこととなります。
※この問題は、品番の問題とみなすこともできますし、M-BOMの問題とみなすこともできます。
 品番体系とその採番・運用ルール及び、M-BOMの扱い全体について再検討する必要があります。

組立製造業での組立順のイメージ

図2:組立製造業での組立順のイメージ

さて、この記事を執筆しているのは2026年5月なのですが、その際に改めて、自分が7年前(2019年)に書いたBOM/BOPのホワイトペーパーを読み直してみました。
そこには、CPS(Cyber Physical System)概念として、図3のイメージと共に、フィジカル空間とサイバー空間を行き来してカイゼンを進める概念が書かれていました。

CPS(Cyber Physical System)概念のイメージ

図3:CPS(Cyber Physical System)概念のイメージ

しかし、図2のように、部組「B+C」の番号が無いケースにおいて、この様なCPSは成立するのでしょうか?
今回のケースは、部組「B+C」が無いだけのシンプルなケースで説明しましたが、製品を構成する部品が数万点以上になり、そのあちこちでこのように番号が無いモノが存在しているケースを想像してみてください。
CPSを考えたり、その最初の第一歩としてIoTでの見える化に取り組むのは重要ですが、それ以前に、品番の取り方について考慮が必要なケースが多数あるのが実態です。


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