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お弁当屋さんの開業方法は?営業形態別の特徴から必要資金・資格まで徹底解説

「お弁当屋さんを開業してみたいけど、何から始めれば良いのだろう」「低コストで始められる飲食業界の新たな可能性を探している」という方も多いのではないでしょうか。

近年、中食市場は着実に成長を続けており、特にコロナ禍以降、テイクアウトやデリバリーの需要が高まっています。お弁当屋さんは飲食業界の中でも比較的参入障壁が低く、初期投資を抑えられるビジネスとして注目されています。

本記事では、お弁当屋さんの開業に必要な資格や資金、営業形態の選び方から、成功させるためのマーケティング戦略まで幅広く解説します。店舗型・宅配型・キッチンカー型など、さまざまな形態に応じた具体的な準備と運営のポイントをご紹介します。

これからお弁当屋さんの開業を考えている方はもちろん、既存の飲食店からの業態拡大を検討されている経営者の方にも役立つ情報が満載です。ぜひ最後までお読みください。

また、POSはもちろん、モバイル・セルフオーダーシステム、テイクアウトやデリバリー、ポイント管理、予約システムなど、周辺サービスとの連携を含めた飲食店のDX推進に関するご相談は下記よりお問い合わせください。

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お弁当屋さんが注目されている理由

近年、外食産業がさまざまな変化に直面する中、お弁当屋さんは多くの経営者から注目を集めています。

この背景には、消費者のライフスタイル変化や経済状況の変動に対応できる柔軟性があります。従来の飲食店とは異なる特性を持つお弁当屋さんは、新規参入者にとって魅力的な選択肢となっているのです。

ここでは具体的に、なぜ今お弁当屋さんが注目されているのか、その理由を詳しく解説していきます。

中食市場の継続的な成長

お弁当屋さんが属する「中食」市場は、ここ数年で着実に拡大しています。

日本惣菜協会のデータによると、2023年の惣菜市場は前年比4.9%増の10兆9,827億円に達し、11兆円台が目前となっています。特に弁当や惣菜は日常的な消費行動として定着しており、中食市場は内食市場の成長率(2013年比113.8%)を上回る117.6%の成長を記録しました。

参考元:PDF2024年版 惣菜白書 拡大編集版 -ダイジェスト版-|一般社団法人日本惣菜協会(PDF)

このように着実に伸びる市場に参入することは、ビジネスチャンスを掴む絶好の機会といえるでしょう。加えて、中食は地域社会における食の安全性や健康への配慮、さらには地域経済への貢献といった社会的価値も提供しています。

低コストでの開業が可能

お弁当屋さんの大きな魅力は、通常の飲食店と比較して初期投資を抑えられる点にあります。

店舗型の飲食店では客席スペースが必要ですが、お弁当屋は調理場と販売スペースのみで営業可能なため、より小さな物件で開業できるでしょう。さらに、デリバリー専門やキッチンカー形式を選べば、固定費を大幅に削減できます。また、少ないスタッフ数での運営が可能なため、人件費の節約も実現できます。

このように、限られた資金で飲食業界に参入したい方にとって、お弁当屋さんは理想的な選択肢となっているのです。

軽減税率の対象となる経済的メリット

2019年10月の消費税率引き上げに伴い導入された軽減税率制度も、お弁当屋さんにとって大きなメリットとなっています。

テイクアウトや宅配形式のお弁当は、店内飲食の外食と異なり軽減税率(8%)の対象となるため、10%の消費税が適用される外食に比べて価格競争力を持つことができます。この2%の差は、消費者の購買意欲に影響を与えるだけでなく、経営者にとっても安定した利益を確保する助けとなっています。

また、軽減税率の適用により「お弁当の方がお得」というイメージが定着しつつあることから、消費者の選択肢として中食が選ばれる機会が増えています。この軽減税率によるアドバンテージは、飲食ビジネスを続けるうえで重要な要素となっているのです。

環境変化に強いビジネスモデル

コロナ禍を経験した現在、「環境変化に強いビジネス」の価値が再認識されています。お弁当屋さんは、緊急事態宣言下でも営業を継続できた数少ない業態の一つです。

一般的な飲食店が営業時間短縮や休業を余儀なくされる中、弁当屋は「持ち帰り」や「宅配」という特性を活かすことで営業を継続することができました。このように、外部環境の急変にも柔軟に対応できる事業モデルは、不確実性の高い現代において大きな強みとなります。

また、テレワーク普及により「オフィスでの昼食」という従来のスタイルが変化した今、多様な食事シーンに対応できるお弁当屋さんの重要性は一層高まっているのです。

高齢化社会・共働き世帯増加による需要拡大

日本社会の構造的変化も、お弁当屋さんへの需要を押し上げる要因となっています。

高齢化の進行に伴い、自ら調理する手間を省きたいシニア層からの需要が拡大しています。特に、バランスの取れた食事を手軽に摂りたいという高齢者のニーズは、宅配弁当などの形で着実に市場を形成しています。一方、共働き世帯の増加や労働時間の長時間化により、「時間がなくて自炊できない」という層も増加傾向にあります。

こうした社会背景から、栄養バランスに配慮しつつも手軽に食事を済ませたいというニーズが高まり、健康志向の弁当やミールキットなど、多様な中食商品が支持を集めているのです。

このように社会構造の変化に伴う需要拡大は、お弁当屋さんの将来性を一層高めています。

お弁当屋さんの営業形態

お弁当屋さんの開業を検討する際、どのような営業形態を選ぶかは事業の成否を左右する重要な決断です。現在では従来の店舗販売を含め、次のような営業スタイルが登場しており、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。

  • 店舗型
  • 宅配型
  • キッチンカー(移動販売)
  • デリバリー専門
  • ゴーストレストラン

ここでは、代表的な5つの営業形態について、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

店舗型

最もオーソドックスな営業形態が店舗型です。実店舗を構えて弁当を調理・販売するこの形態は、お客様が直接来店して商品を選ぶため、対面での接客を通じてお客様との信頼関係を築きやすいという特長があります。

店舗型は人通りの多い立地を確保できれば、安定した売上が期待できるでしょう。たとえば、オフィス街であれば平日のランチタイムを中心に会社員の需要を、住宅地であれば夕方以降の帰宅客を取り込むことが可能です。一方で、店舗の取得費や内装工事費、厨房設備費など、他の形態と比較して初期投資が大きくなる点が課題となります。また、家賃や光熱費といった毎月の固定費がかさむため、一定以上の売上を継続的に確保する必要があるでしょう。

立地選びが成功のカギを握るため、出店前の市場調査は入念に行うことがおすすめです。

宅配型

宅配型は、お弁当の調理と配達を組み合わせたビジネスモデルです。

店舗を持つものの客席スペースは不要なため、立地に縛られず比較的家賃の安い場所に出店できることが大きな利点です。また、定期契約のお客様を獲得できれば、安定した売上を見込めるという特長もあります。特に、オフィスへの一括配達や高齢者向けの配食サービスなど、特定のターゲット層に特化したサービスを展開することで差別化も図れるでしょう。

コロナ禍以降、外出を控える消費者が増えたことで宅配需要は拡大しており、この傾向は今後も続くと見られています。ただし、配達用の車両費用や人件費、ガソリン代などの経費がかかる点には注意が必要です。

効率的な配達ルートの設計や、配達エリアの適切な設定が収益性を左右する営業形態といえます。

キッチンカー(移動販売)

近年人気を集めているのがキッチンカーによる移動販売です。店舗を持たないため家賃という固定費が発生せず、車両の維持費と出店場所の使用料だけで運営できるのが最大の魅力です。

また、イベントやオフィス街、公園など、需要の高い場所を自由に選んで出店できる機動性も大きな利点といえるでしょう。売れ行きが芳しくない場所からは撤退し、新たな好立地を開拓するという柔軟な戦略も可能です。

一方で、キッチンカーの購入や改装には初期投資が必要となります。また、営業許可の取得や駐車場の確保、調理場と運転席の区切りなど、独自の規制や基準をクリアする必要があることも覚えておきましょう。

安定した出店場所を確保できるかどうかが長期的な成功につながるため、出店先との良好な関係構築も重要です。

キッチンカー(移動販売)について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
飲食店が移動販売をするのに必要な許可は?出店場所の選び方から成功のポイントまで解説

デリバリー専門

デリバリー専門型は、店舗の客席スペースを持たず、調理場と注文受付のための設備だけで運営する営業形態です。独自の電話受付やウェブサイトを通じて注文を受け付け、自社で雇用した配達スタッフが弁当を届けるのが特徴です。

店舗を持たないため、家賃の安い住宅地や郊外に構えることができ、立地選びの自由度が高い形態といえます。また、特定のエリアや顧客層に特化した地域密着型のサービスを展開しやすく、オフィスや高齢者施設など法人との定期契約による安定収入も見込めます。

デリバリー専門型の独自性として、自社の配達システムを持つことで配達時間や温度管理などの品質を直接コントロールできる点が挙げられます。一方で、実店舗がないため認知度向上に工夫が必要で、天候不良時の配達リスクといった課題にも対応する必要があります。

デリバリーについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
デリバリーとは?飲食店がデリバリーサービスを始めるための方法やポイントを解説

ゴーストレストラン

ゴーストレストランは、実店舗を持たず、Uber Eatsなどのデリバリープラットフォームのみで注文を受け付けるビジネスモデルです。

クラウドキッチンやバーチャルレストランとも呼ばれ、最大の特徴は同一のキッチンから複数のブランドを展開できる点にあります。たとえば、一つの厨房で和食と洋食という全く異なるコンセプトの店舗を同時運営することが可能です。

市場の反応を見ながら迅速にメニューやコンセプトを変更できる柔軟性がありますが、デリバリープラットフォームへの依存度が高いため、手数料や仕様変更などの外部要因に影響を受けやすいという課題もあります。

成功には魅力的な商品写真や顧客レビュー管理など、デジタルマーケティングスキルが不可欠です。

ゴーストレストランについて、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
ゴーストレストランとは?開業手順から成功のためのアドバイスまで解説

お弁当屋さん開業に必要な資格・届出

お弁当屋さんの開業を考える際、営業形態に関わらず、食品を取り扱う事業として次のような資格や届出が必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 飲食店営業許可
  • 調理師免許(任意)

これらの手続きを怠ると営業できないだけでなく、罰則の対象となる可能性もあるため、事前に正しい知識を身につけておくことが重要です。許認可の取得には一定の時間がかかることも多いため、計画段階から余裕をもって準備を進めましょう。

ここでは、お弁当屋さん開業に必須の資格と届出について解説します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、食品を取り扱うすべての施設に配置が義務付けられている重要な役割です。

この資格は食品衛生法に基づくもので、施設ごとに最低1名の配置が求められています。食品衛生責任者になるためには、都道府県知事等が実施する講習会を受講する必要があります。講習会では食中毒の予防や施設の衛生管理など、食品衛生に関する基本的な知識を学びます。なお、調理師や栄養士、医師、獣医師などの資格を持っている場合は、この講習会を受けなくても食品衛生責任者になることができます。

資格取得後は、スタッフへの衛生教育や日々の衛生管理の監督を行う責任者として、安全な食品提供の要となる役割を担うことになるでしょう。

参考元:new windowe-Gov 法令検索(食品衛生法)
参考元:new window食品衛生責任者養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会

飲食店営業許可

お弁当屋さんを開業するには、「飲食店営業許可」の取得が必須となります。店舗型はもちろん、宅配型やキッチンカー、デリバリー専門型など、どのような形態であっても、この許可なしに営業することはできません。

飲食店営業許可を取得するまでの流れは次のようになります。

  1. 開業前に店舗設計図面を持って保健所に事前相談を行う
  2. 施設完成予定日の約10日前までに営業許可申請書などを提出する
  3. 現地検査が行われ、基準をクリアすれば営業許可証が交付される

許可基準には、手洗い設備の設置や給排水設備の完備、食品と生活空間の区分けなど、細かな規定があるため、事前に十分な確認が必要です。特にキッチンカーの場合は、調理場と運転席の分離、適切な容量の給排水タンクの設置など、特有の基準があることにも留意しましょう。

参考元:PDF新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ―食品関係営業許可申請の手引―|東京都(PDF)
参考元:PDF新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ―自動車関係営業許可申請等の手引―|東京都(PDF)

調理師免許は任意

お弁当屋さんを開業するにあたり、「調理師免許」の取得は法律上必須ではありません。食品衛生責任者と飲食店営業許可さえあれば、調理師免許がなくても営業が可能です。とはいえ、調理師免許を持っていることで得られるメリットも少なくありません。

まず、調理師免許があれば食品衛生責任者の講習が免除されるため、開業手続きがスムーズになります。また、料理の専門家としての知識と技術を持っていることをお客様にアピールできるため、店舗の信頼性向上にもつながるでしょう。栄養や衛生に関する専門知識を活かした商品開発も可能となり、競合店との差別化にも役立ちます。

将来的にメニュー開発に力を入れたい、より専門性の高いお弁当屋さんを目指したいという場合には、調理師免許の取得も視野に入れるといいでしょう。

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お弁当屋さん開業に必要な資金

お弁当屋さんの開業に必要な資金は、選択する営業形態によって大きく異なります。

開業に必要な資金を大まかな表にすると次のように比較できます。

  店舗型 宅配型 キッチンカー型 デリバリー専門型 ゴーストレストラン型
初期投資の総額 高額 中程度 比較的低額 比較的低額 最も低額
物件費用 高額 中程度 不要 少額 少額
設備投資費 大規模 中規模 車両に集中 中規模 最小限
配達費用 不要 高額 少額 必要 外注前提
広告費 中程度 中程度 中程度 高額 高額

ここでは、営業形態別に必要な開業資金について詳しく解説していきます。

店舗型の開業資金

店舗型のお弁当屋さんでは、売上に直結する立地選びが最重要ポイントとなります。

人通りの多い駅前やオフィス街など好立地を選ぶと、それだけ物件契約費や家賃も高額になる傾向があります。初期費用としては、敷金・礼金などの物件契約費、店内装飾や厨房設置などの内装・外装費、冷蔵庫や調理台などの厨房設備費、オープン告知などの広告費、そして数カ月分の運転資金が必要です。

開業コストを抑えるなら、以前飲食店が営業していた居抜き物件の活用がおすすめです。厨房設備や内装が既に整っているため、大幅なコスト削減が可能です。また中古の厨房機器を導入することも効果的な節約法となります。

宅配型の開業資金

宅配型の弁当屋は、店内で食事をするスペースが不要なため、店舗面積を小さくすることが可能です。また立地についても、来店客を見込む必要がないため、家賃の安い場所を選択できます。そのため、店舗型と比較すると物件費用を抑えることができるでしょう。

一方で配達用の車両を確保する費用が新たに必要となります。軽自動車やバイクなど、配達エリアや注文量によって適切な車両と台数を選定することが重要です。そのため、配達車両の数が増えるほど初期費用も増加します。また、配達管理システムの導入や保険料なども考慮すべき費用です。

配達エリアを適切に設定し、効率的な配達ルートを計画することが経営のカギとなります。

キッチンカー型の開業資金

キッチンカー型の弁当屋は店舗を持たないため、物件契約費や高額な内装費が不要となり、初期費用を大幅に抑えられます。

主な費用はキッチンカーの購入と改装費用で、これに調理機器などの設備費、営業許可取得費用、車体デザインなどの広告宣伝費、そして運転資金が加わります。特に車両費用は予算全体の中で大きな比重を占めるため、新車ではなく中古車両を活用することで、大幅なコスト削減が可能です。また固定の店舗を持たないため、家賃という毎月の固定費がかからない点も大きなメリットです。

一方で、出店場所の確保や駐車場代、イベント出店料などの変動費用がかかることも考慮しておく必要があります。

デリバリー専門型(無店舗型)の開業資金

デリバリー専門型は、店舗スペースを持たず調理場のみで運営するため、店舗型よりも大幅に初期費用を抑えられます。物件も来客スペースが不要なため比較的小規模で済み、立地についても人通りの少ない場所でも問題ありません。

さらにコストを削減したい場合は、シェアキッチンを活用するという選択肢もあります。また配達についても、自社で車両やスタッフを用意する代わりに、Uber Eatsなどの外部配達サービスを利用することで初期投資を抑制できます。

一方で、店舗型と違って目に見える存在ではないため、ウェブサイトの制作やSNS広告など、オンラインでの集客に投資する必要があります。

実店舗を持たない分、デジタルマーケティングに力を入れることが成功のカギとなるでしょう。

ゴーストレストラン型の開業資金

ゴーストレストラン型は開業資金の点でみると最も効率的な選択肢といえます。デリバリー専門型と比較して特に開業資金面で異なるのは、「必要最低限のキッチンスペース」と「時間単位のキッチン利用」という点です。

店舗設備投資については、調理に必要な厨房設備のみで済むため、物件費は調理スペースだけに限定できます。特に、デリバリー専門型が常時営業するための専用キッチンを確保することが多いのに対し、ゴーストレストランではレンタルキッチンを週数日や時間単位で借りる運営方法が一般的です。

また、デリバリー専門型では自社の配達システム構築費用が発生することがありますが、ゴーストレストラン型ではデリバリープラットフォームに完全依存するビジネスモデルのため、その費用が不要です。その代わり、プラットフォーム内での視認性向上のためのデジタルマーケティング費用の比重が高くなります。

さらに、複数ブランドを同時運営するという特性上、ブランドごとの写真やメニュー設計への投資が必須となります。

お弁当屋さんを成功させるコツ

お弁当屋さんの開業にあたって必要な資格や資金の準備ができたとしても、事業を軌道に乗せ成功に導くには戦略的な運営が不可欠です。特に重要なポイントとして次のようなものが挙げられます。

  • 独自のコンセプトと看板メニューを開発する
  • 立地選定は慎重に行う
  • ターゲット層に合わせた商品展開を行う
  • 集客活動に力を入れる
  • 適切な価格設定を心がける
  • 効率的な注文・決済システムを導入する

ここではこれらについて詳しく解説していきます。

独自のコンセプトと看板メニューを開発する

お弁当屋さんを開業する際、まず取り組むべきは明確なコンセプトと他店と差別化できる看板メニューの開発です。

市場には大手チェーン店から個人店まで数多くの競合が存在するため、「なぜこのお店で買うのか」という理由をお客様に提示する必要があります。たとえば、地元食材にこだわった「地産地消弁当」や、糖質制限に対応した「ヘルシー弁当」など、特定のテーマに沿ったコンセプトが効果的でしょう。

看板メニューは、そのコンセプトを具現化した商品であり、他店では味わえない独自性を持つことが重要です。たとえば、オリジナルのタレを使った唐揚げや、珍しい食材を使った惣菜など、一度食べたらまた食べたくなるような味わいを追求しましょう。このような看板メニューは、口コミやSNSでの拡散にもつながり、新規顧客の獲得にも効果的です。

仕込み方法や調理工程を標準化し、お客様の期待を裏切らない一貫した味を提供することが、リピーターの獲得につながります。

立地選定は慎重に行う

お弁当屋さんの成功を左右する最も重要な要素の一つが立地です。特に店舗型の場合、どれだけ優れた商品を提供しても、立地が悪ければ十分な顧客数を確保できません。

理想的な立地を選ぶためには、いくつかの要素を考慮する必要があります。まず、ターゲットとする顧客層が多く集まる場所を選びましょう。たとえば、オフィス街なら会社員、学校の近くなら学生、住宅地なら主婦や高齢者がメインターゲットとなります。

次に、競合店の状況を調査することも重要です。同じような価格帯・コンセプトのお弁当屋さんが近隣に多数存在する場合、差別化が難しくなります。一方で、飲食店が集まるエリアは集客力が高いため、独自性を打ち出せれば有利に働くケースもあるでしょう。

さらに、通行量や時間帯別の人の流れ、駐車場の有無なども確認すべきポイントです。実際に候補地へ足を運び、朝・昼・夕方と時間帯を変えて人の流れを観察しましょう。

将来的な開発計画や人口動態の変化なども視野に入れ、長期的な視点で立地を評価することが大切です。

ターゲット層に合わせた商品展開を行う

お弁当屋さんの成功には、ターゲット層のニーズを的確に捉えた商品展開が不可欠です。

たとえば、会社員がメインターゲットであれば、短時間で食べられる手軽さと栄養バランスを両立させた弁当が求められます。学生向けなら、ボリュームがあってリーズナブルな価格設定が重要です。また、高齢者をターゲットにするなら、塩分控えめで食べやすい柔らかさに配慮した商品が喜ばれるでしょう。

ターゲット層の特性を理解するためには、日々の接客からのフィードバックも貴重な情報源となります。直接お客様と対話したり、アンケートを実施したりすることで、潜在的なニーズを発見できることも少なくありません。

また、季節変動や曜日ごとの需要の差も意識した商品ラインナップを心がけたり、ベジタリアンやアレルギーに対応したりするなど、多様な食のニーズに応える選択肢を用意することで、顧客層の拡大も期待できるでしょう。

集客活動に力を入れる

どれだけ優れた商品を提供していても、その存在を知ってもらわなければ売上につながりません。そのため、開業前から計画的に集客活動を行うことが、成功への近道です。

まず、オープン前には周辺企業や住宅へのチラシ配布や、地域情報誌への広告掲載などで認知度を高めましょう。プレオープン期間を設けて、特別価格や試食会を実施することも初期集客に効果的です。

開業後は、InstagramやXなどのSNSを活用した情報発信が欠かせません。毎日の弁当の写真や季節限定メニューの紹介など、魅力的なコンテンツを定期的に投稿することで、フォロワーの増加とそれに伴う口コミ効果が期待できます。

また、ポイントカードやスタンプカードの導入もリピーター獲得に有効です。たとえば、10回購入で1回無料や、誕生月には特別メニューをプレゼントするなど、顧客満足度を高める工夫が求められます。さらに、地域のイベントやオフィスでの試食会に出展するなど、積極的な営業活動も検討すべきでしょう。

こうした多角的な集客戦略により、安定した顧客基盤の構築が可能となります。

適切な価格設定を心がける

お弁当屋さんの価格設定をする際は、利益確保と顧客満足のバランスを取ることが重要です。低すぎる価格では原価や人件費を賄えず、高すぎれば顧客離れを招きかねません。

適切な価格を決定するには、まず原価率の把握が基本となります。一般的に、弁当屋さんの原価率は30~40%程度が目安とされています。つまり、500円の弁当なら食材費は150~200円に抑える必要があるわけです。

また、競合店の価格帯のリサーチも欠かせません。同じエリアの類似店と比較して著しく価格が高い場合、明確な付加価値がなければお客様は競合店を選びがちです。一方で、闇雲に価格を下げる戦略は長期的には得策ではありません。むしろ、品質の高さや独自性を訴求し、適正な価格での販売を目指すべきでしょう。

さらに、ランチタイム限定セットや曜日限定の特別価格など、戦略的な価格設定も効果的です。また、原材料の仕入れルートの見直しや大量発注によるコスト削減など、原価を抑える工夫も併せて行うことで、お客様にとって魅力的な価格と事業の収益性を両立させることが可能となります。

効率的な注文・決済システムを導入する

お弁当屋さんの運営において、注文の受付から決済までのプロセスを効率化することは、顧客満足度向上と業務効率化の両面で大きなメリットをもたらします。特にランチタイムの混雑時には、スムーズな対応がリピート率に直結します。

まず検討したいのが事前注文システムの導入です。たとえば、ウェブサイトやアプリを通じて前日や当日朝に注文を受け付けることで、調理の計画が立てやすくなり、食材ロスの削減にもつながります。

また、キャッシュレス決済の導入も現代のお弁当屋さんには必須といえるでしょう。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などを導入することで、会計時間の短縮や衛生面の向上が図れます。日本政策金融公庫の調査によると、飲食店でキャッシュレス決済を積極的に利用したい消費者は51.9%に上り、この傾向は今後も拡大すると予測されています。

参考元:PDF飲食店でキャッシュレス決済を積極的に利用したい消費者が5割|日本政策金融公庫(PDF)

さらに、POSシステムを活用することで、売上や在庫の管理も効率化できます。商品ごとの販売数や時間帯別の売上傾向を分析することで、効果的な仕入れ計画や人員配置が可能になるでしょう。初期投資は必要ですが、NECモバイルPOSなどのサブスクリプション型のPOSシステムなら比較的低コストで導入できます。

こうしたテクノロジーを積極的に取り入れることで、顧客体験の向上と経営の効率化を同時に実現できるのです。

お弁当屋、中食チェーンのPOSシステム導入事例

お弁当、中食チェーンではPOSシステムの導入により課題解決に至った事例も多くあります。POSシステム、DX推進を進めた2社の導入事例もご参照下さい。

〇株式会社プレナス様「Hotto Motto」
https://jpn.nec.com/mobile-pos/case/plenus.html

〇日本一ホールディングス株式会社様「日本一」
https://jpn.nec.com/mobile-pos/case/nihonichi.html

低コストで開業できるお弁当屋さんで成功を目指しましょう

お弁当屋さん開業は、他の飲食業態と比較して初期投資を抑えられるビジネスモデルです。特に無店舗型やキッチンカー型なら物件費用がかからず始められるため、小さく始めて徐々に拡大していく戦略が有効です。

開業にあたっては、食品衛生責任者の資格取得と営業許可の申請を忘れずに行いましょう。また、独自のコンセプトや看板メニューの開発、ターゲットに合わせた商品展開と価格設定が成功のカギとなります。

NECが提供するサブスクリプション型POSシステム「NECモバイルPOS」は、株式会社プレナスや日本一ホールディングス株式会社などの中食業界大手にも導入実績があり、お弁当業界特有の課題に対応する強みを持っています。注文・在庫・売上管理を一元化することで業務効率化と売上向上を同時に実現し、キャッシュレス決済への対応により繁忙時間帯のスムーズな会計処理を可能にするため、顧客満足度の向上にも貢献します。

限られた人員でも効率的な運営ができるNECモバイルPOSで、低コストでのお弁当屋さん経営を実現しませんか。まずはお気軽にお問い合わせください。

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