イベントレポート
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C&Cユーザフォーラム & iExpo2018
NEC DX
Factoryの示すもの
先進技術の統合と共創
2018.12.26
文:株式会社ウフル Creative Director 田中 正宏
IoTを標榜する同社において、データの可視化プロジェクトを率いるプランナー。最近ではスマートシティプロジェクトなどにも関与。
はじめに
NECは11/8-11/9の二日間に渡り、東京国際フォーラムにおいて「C&Cユーザフォーラム & iExpo2018」を開催した。入場に顔認証を用いるなど、NECの持つ最新のテクノロジーをふんだんに盛り込んだ技術見本市だ。
本稿が掲載される「ものづくりの未来」の運営母体である、ものづくりソリューション本部も「NEC DX Factory」コーナーを展開し「人とAIが協調した未来のものづくり」をテーマとして来場者向けのセミナーを開催すると共に、実際の製造ラインのサンプルや複数のソリューションに関する展示を行った。中でも大きなスペースを取って展示された製造ラインは、玉川事業場に開設されている「NEC DX Factory共創スペース」に設置されているものの最新版だ。
数多の先進技術が盛り込まれた製造ライン
この製造ラインは「部品投入」「加工・搭載」「組立」「検査」の4つの工程で構成され、次世代ものづくりに向けたAI・IoTといった先進技術やソリューションが統合されている。以下の図に示す通り、今回の展示では15の技術やソリューションが含まれているわけだが、多岐に渡ったソリューションが一度に体験できる展示となっていた。
AGV(無人搬送車)の動きの最適化から始まり、物体指紋認証によるトレーサビリティや品質管理への活用、AIによる外観検査といったファクトリー・オートメーションを推し進める様々な技術を展開。同会場を象徴する技術となっていた顔認証を用い、スキル保有者かどうかを判定する「顔認証なりすまし防止ソリューション」といった不正防止など、多様な課題への対応が含まれていた。NECの自社製品・技術に限らず、パートナー企業・団体のロボット・デバイスが惜しげもなく組み込まれているのも特徴だ。「共創型」たる所以だろう。
デジタルツインを形作るソリューション群も
個々のソリューションの紹介はIndustrial IoTでのイベントレポートに譲るとして、この製造ラインのもう一つの特徴は、データを統合して活用するための基盤が組み込まれている点が挙げられる。下図にあるように、フィジカル(OT)の実績データを吸い上げ、サイバー(IT)環境の各種ツール・プラットフォームにて再現する仕組みだ。
様々な稼働データが可視化され、分析されることで、すべての製造工程をシミュレーションし最適化していくことが可能となる。所謂「デジタルツイン」の世界だ。
バーチャルな環境におけるシミュレーションとなるため、失敗のリスクを恐れる必要もなく、実際のデータを元に繰り返し調整を行える。デジタルツインがものづくり革新を加速する仕組みと言われるのは、正にこの点が大きい。
私も仕事柄、データの可視化や分析に関わることが多いが、正しく抽出されたデータを用いることで可能となる事象の幅は広い。状況把握や予測モデルの構築といったものから、運用に落とし込むことで現場体験を向上させることも可能となる。機器の最適化だけではなく、人の最適化が可能になるのだ。より楽しく、より快適に。IoTの世界はテクノロジーの側面ばかりが注目されがちだが、人のモチベーションコントロールにも良い効果をもたらすことができる点を付記させていただきたい。今回展示された15のソリューションに、「感情分析ソリューション」が組み込まれているのもこういった側面の一つの現れだろう。
日々進化するNEC DX Factory
先に紹介した通り、このNEC DX Factoryは共創スペースとして同社の玉川事業場にて顧客に向けて公開されている。「ものづくり研究グループ」の活動と共に、共創をテーマに展開されるこういった取り組み故、アイデア創出は様々な角度から展開され、検証もまたスピーディに展開される。
2019年にも引き続き各種展示会にて出張展示が予定されているとのことだが、次の展示でも早くも新たな検証結果が反映された進化形が見られるかもしれない。今回の展示を逃した方はもちろんのこと、iExpo2018での展示をご覧になった皆さまにも、引き続き注目していただきたい。単体ではそれほど注目を浴びなかった技術も、異なる視点や異なる技術の組み合わせの中で、それまで気付かなかった輝きを放つということはよくある話しだ。
そして、多くの人に見守られ、新たな意見や疑問を得ることもまた、新たな発展の重要なキッカケとなるのだから。
-編集部より- 今回の展示に引き続き、2019/2/6-8に開催の設計・製造ソリューション展(DMS)でもNEC DX Factoryの出展が決まりました。皆さまのご来場、心よりお待ち申し上げます。
【関連リンク】

「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2018」展示会レポート」
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