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Orchestrating a brighter world
デジタル産業革命が、あなたのビジネスを変える。
展示会報告 2016年11⽉1⽇・2⽇、「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016」が、東京国際フォーラムで開催されました。テーマは「Orchestrating a brighter world 〜デジタル産業⾰命が、あなたのビジネスを変える。〜」社会課題に対し、ICTの⼒、特にAIやIoTといったデジタル技術を最⼤限活⽤したNECの広範な取り組みを展⽰とセミナーで紹介しました。
概要
C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2016は、「Orchestrating a brighter world〜デジタル産業革命が、あなたのビジネスを変える。〜」をテーマに、11月1日と2日の2日間にわたって開催されました。
講演やセミナーのほか、展示会場では、「AI・IoTがデジタル産業革命を引き起こす!」「デジタルビジネスを加速する先端テクノロジー」「AI・IoTが『a brighter world』の実現を加速する」の3つのコーナーを設け、約70の展示をステージやプレゼンテーションを交えて紹介しました。
NECは、7月19日に自社の最先端のAI技術群を総称して「NEC the WISE」と名付け、ブランド化することを発表しました。
今後、ますます複雑化・高度化する社会やビジネスの課題に対し、人とAIが高度な叡智で解決することを目指すという思いを宣言しています。初日の基調講演でも新野隆代表取締役 執行役員社長がその事に関して、「デジタル産業革命を支えるNECとして社会課題に対し、ICTの力、特にAI・IoTといったデジタル技術を最大限活用し、7つの社会価値創造のテーマを基に取り組みます」と表明しました。今回の展示やプレゼンテーションも、この基調講演に沿った内容が多数紹介されました。
AI・IoTがデジタル産業革命を引き起こす!
このコーナーは、近年、目ざましいスピードでデジタル産業革命が進展するなか、特にAI・IoTがそれを加速させるデジタル技術として注目されていることや、今後の社会課題解決に人とAIが協調し、より確実で納得できる解を速く導くことで、ワンランク上の社会価値創出の実現につながることが紹介されました。
また、AI・IoTを導入したいがどのように活用すれば良いのか分からない、というお客様に、「NEC the WISE IoT Platform」を活用したIoTの導入効果などを、デモンストレーション展示やプレゼンテーションを用いて紹介しました。
NEC the WISEを活用した IoT プラットフォーム
来場者の関心の多くは、先進技術であるAIやIoTを自社の事業にどう活用したら良いかにあり、その疑問に応える展示が「NEC the WISE」を活用したIoTプラットフォームのソリューション紹介です。IoTによりモノの状態が把握できるようになると、例えば、工場のラインや物流機器の状態が見える化されます。これにより、稼働率の把握と安全性向上、トラブルを未然に防ぐことも可能となります。
NECはこれまでに600件以上の事例を手がけ、さまざまな経営指標で高実績を重ね、その知見からこのソリューションを開発しました。
AIとの対話を用いた業務革新(自動応答ソリューション)
コールセンターなどに寄せられるユーザーからの多様な問合せ内容の意味を理解し、いかに効率的かつ的確な回答をするかが現場の課題になっています。展示では課題解決として、「自動応答ソリューション」が紹介されました。これは、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の分析エンジン「テキスト含意認識技術」を活用することで、ユーザーからの問合せ内容の意味を理解して、最適な回答案を、大量のQ&Aデータから高精度に抽出し自動回答します。また、オペレーターへの回答支援も行います。この技術は、文中にある単語の重要性や、主語・述語などの構造を考慮して文の意味を理解するNEC独自の技術で、米国国立標準技術研究所(NIST)主催の評価タスクで、第1位(2012年)の評価を獲得しています。
AI活用味覚予測サービス
マーケティング分野でのAI活用方法を体験型で紹介したのが、「AI活用味覚予測サービス」です。今回の展示では、数問のアンケートに回答することで、回答者がもつ味覚の好みをAIが予測し、その人に合ったお菓子をプレゼントするという演出で来場者を楽しませていました。身近な応用例を示すことで、ターゲットの興味や購買意向、価値観に合う商品開発や販売戦略の立案にも応用できることも紹介されました。
RAPID機械学習の事例
ディープラーニング(深層学習)を用いた「NEC the WISE」の分析エンジン「RAPID機械学習」の事例も紹介されました(写真1)。その一つは、街頭や店頭の監視カメラで、二人乗りバイクを検知してアラートを出すという海外での導入事例です。これは二人乗りバイクが、ひったくり犯や強盗などの犯罪につながることが多いことへの対策として考えられたシステムであり、導入により実際に犯罪件数が減少したことが報告されました。ディープラーニングの技術は、囲碁名人との対決で世界的にも話題にもなりましたが、NECの「RAPID機械学習」技術は、上記の例の他にも不良品検知システムや人材マッチング、交通監視などにも用いられている事例も紹介されました。また、「RAPID機械学習」は、MM総研大賞2016 スマートソリューション部門AI分野で最優秀賞の評価を獲得しています。
プラント故障予兆監視ソリューション
プラント異常の早期発見による稼働率の向上や、運転の高度化、点検の効率化を検討されている運用者様向けの展示として、「プラント故障予兆監視ソリューション」が紹介されました。このソリューションはプラントの平常値と実測値を「NEC the WISE」の分析エンジン「インバリアント分析技術」で比較分析し専門家でも気付きにくい「いつもと違う」動きを早期に検知することで、保全コスト効率化や安全性を高める取り組みに寄与します。
ヒアラブルデバイス
NECが持つOnly1の技術であるヒアラブルデバイス(イヤホン型端末)向けのアプリケーションを紹介する展示もありました。
展示ではセンサーなどを組み込んだイヤホンを装着することで、耳穴の形状によりイヤホンからの送信音に対する反響音に個人差があることを利用した個人認証や、地磁気情報を利用してユーザーの屋内での測位を可能にすることが紹介されました(写真2)。この技術の活用例としては、オンラインテストの本人認証や、長距離運転手のモニタリングなどがあり、今後も進展が期待されます。
デジタルビジネスを加速する先端テクノロジー
初日の基調講演で新野隆代表取締役 執行役員社長は、「2020年には世界の人口は77億人に増え、インターネットにつながるモノは530億個にものぼる」という推定値を紹介しました。このコーナーでは急速に進むIoT化への対応と、それに伴うセキュリティ面などの懸念に応えるNECの技術を中心に紹介されました。
今ある機器を安全にIoT化する「エッジゲートウェイ」
現場にあるネットワーク非対応機器の機器状況を正確に把握し、管理したいお客様向けに、NECの製品である「エッジゲートウェイ」が紹介されました。
エッジコンピューティングは、サーバを集約するクラウド型と異なり、端末(端=エッジ)近くに配置して分散処理する方式のため、処理速度が速く、ビッグデータ処理に向いています。
また、本製品は多種多様なインタフェースによりネットワーク非対応機器や各種センサーなどと接続が可能です。これにより、今ある機器を活用して新たなIoTサービスを創出するとともに、分散処理によって仕様の異なる多くのデバイスデータでも機器のリアルタイムな制御や、クラウド連携時におけるネットワーク負荷軽減が可能です。
不正通信の遮断を自動化し、情報漏えいリスクを低減
サイバー攻撃により被害を受けたインシデントの報告件数は、2011年と比較して2013年では、3倍以上の増大を見せています。
セキュリティ事故が発生した場合、企業が受ける損害は計り知れません。そこで展示では「サイバー攻撃自動防御ソリューション」が紹介されました。NECのSDN製品による動的なネットワーク制御とセキュリティ製品を連携することで、サイバー攻撃に対する検知と初動対応におけるネットワーク遮断の設定作業を自動化し、被害拡大のリスクを低減させます。
AIを活用した未知のサイバー攻撃対策
日常化するサイバー攻撃では常に新しい手口が用いられ、発見されているマルウェアは3億種類で、毎月1,000万種も新しく開発されるといわれています。
そのため、システムのセキュリティ対策が間に合わない場合があります。この脅威を防御する仕組みが、「AIを活用した未知のサイバー攻撃対策」で、システム全体の平常動作を継続的に把握することで、それとは異なる動作を迅速に検知して、異常の影響範囲を自動計算して隔離します。
従来の対策の多くが既知の攻撃とパターンマッチングする方法であったのに比べ、人手作業の約10分の1という時間で、被害の拡大を最小限に抑えることができます。
AI・IoTが『a brighter world』の実現を加速する
このコーナーでは、AIやIoTを使った様々な応用事例が紹介されており、IoTと製造業、AI・IoTによるスマートシティ、顧客接点作りなど、豊富で多彩な実績や未来に向けた提案がされました。また、NECがお客様企業と一緒になって事業や製品開発を行う「共創」への取り組み紹介とワークショップも、多くの来場者の注目を集めていました。
仮想空間を活用したバーチャルリアリティ・リテールソリューション
この展示では話題になっている最新技術とAIによる分析技術を融合した製品を紹介する出展がいくつかありました。
その一つがVR(Virtual Reality)技術で、ゴーグル越しの仮想空間でさまざまな疑似体験ができます(写真3)。紹介されていたのは、梱包作業のシミュレーションや台所空間のウォークスルーでしたが、単なる体験・体感だけでなく、その動作を評価・分析する「体感分析エンジン」を組み込んでいるため、工程検証や教育、開発品の分析など多方面の応用が期待できます。
画像認識による種類・個数の物品識別システム
生産現場の作業効率を上げるために、NECの画像認識技術を活用したシステムが紹介されました(写真4)。本システムは、生産ラインを流れる商品の種類や個数を瞬時に識別することができます。そのため、今まで人手で識別し検品していた作業が自動化され、生産現場の生産・出荷プロセスの最適化・効率化を実現することができます。
AIによる“お客様の声”分析ソリューション
コンタクトセンターの高度化を実現するために、NECが独自に開発した3種類のAI技術(テキスト含意認識技術、音声認識技術、感情認識技術)を活用して、大量のお客様の意見をグルーピング、抽出、分析し、企業活動に迅速に反映させるソリューションが紹介されました。
このソリューションの特長は、テキストの「文意」を迅速に分析できること、応対者の主観によるばらつきや取りこぼしを無くせること、内容把握の作業時間を約6割も削減できることです。これによって、不満や問題の早期発見や、対応の効率化、応対品質の向上が図れます。
中堅企業向けIoTソリューション
IoT活用をより有効とするために、企業単体だけではなく企業間を連携することで、強力なサプライチェーンの構築が可能となります。
この展示では、自社のみではIoTの導入が難しい企業へ向けた「中堅企業向けIoTソリューション」が紹介されました。
製造・物流・販売の企業がそれぞれに管理しているIoT情報を、リアルタイムにつなぐことで、サプライチェーン全体の「見える化」や最適化が行われ、それぞれに作業時間や引き取りのタイミング、在庫や生産状況も分かり、配送時間や保管計画も立て易くなるなどのメリットが生まれます。
NECは、このサプライチェーン・マネジメント改革にも豊富な実績があり、使いやすいアプリケーションが充実していることが紹介されました。
IoT時代のものづくりに“NEC Industrial IoT”~実証から実装へ~
NECは、2012年以来、製造業の支援プログラム「ものづくり共創プログラム」を展開しており、現在では1,100社以上が会員として参加しています。また2015年6月には「NEC Industrial IoT」を発表し、IoTを活用した次世代ものづくりにおいて、各工場の生産ラインにて収集・分析したデータを自律的制御につなげ、世界中の工場で最適な生産を実現する「つながる工場」と、IoT技術を製品に埋め込むことで、製品の新たな使い方やサービスを提供し、付加価値を高める「つながる製品」の2つの領域に取り組み、製造業の競争力強化を図っています。
展示では、IoT化を検討するお客様向けに「ものづくりIoTスターターキット」も紹介されました。
顔認証決済サービス
NECが誇る顔認証エンジン「NeoFace」を決済に応用したサービスも展示されていました。
物品購入時にカメラ前に立つだけで本人確認ができるため、現金もカードもいらずに商品の決済が完了できるという便利なものです。AI・IoTと金融決済技術が融合したFinTech(Financial Technology)の事例として紹介されました。
新たなFinTechサービス「brees」
新たなFinTechサービスとして、2017年春にサービス開始予定の「brees(ブリース)」が注目を集めていました(写真5)。これは、NECと三井住友銀行が設立した新たな決済サービスです。
従来、公共料金などは紙の通知書を使い支払いを行っていましたが、今回のサービスでは、スマートフォンに送られるバーコードを、コンビニのPOSレジでスキャンしてもらい、代金を支払えば決済が完了します。
breesは、請求事業者に代わってその通知バーコードを発行する役割を果たします。利用者としては振り込み忘れや、通知書紛失の心配が無くなり、請求事業者にとっては、払込票の印刷・郵送コストの軽減や、費用回収までの期間を短縮できるメリットがあります。
警備支援ソリューション
東京で開催されたマラソン大会で「ランニングポリス」として話題になったのが、警備支援ソリューションでした。これは警備員が装着したウェアラブルカメラから現場のライブ映像を本部へ配信することで、現場の状況をリアルタイムに共有しながら的確な警備指示につなげるもので、実際のデモンストレーションを交えて紹介されました。
スムーズな入退管理を実現する
世界No.1*の認証精度を誇るNECの顔認証技術を利用した実績事例の出展が多くありました。
大勢の人が集まるイベント会場で、多数の人の顔を瞬時に認証する技術や顔認証とIDカードを組み合わせ、セキュリティを高めながらスムーズな入退管理を実現する事例が紹介されました(写真6)。これは「第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)」のJAPAN HOUSEの記者会見会場における入退管理で利用されました。
それに空港でのチェックインや、病院での顔写真付き診察券による受け付けなどにも応用できます。また、対象者の年齢、国籍、身長、障害の有無などに応じて最適な認証方法を提示する「バリアフリー認証」も紹介されました。
- *米国国立標準技術研究所(NIST)主催の評価タスクで3回連続第1位
スマートシティが連携する「CCOC」
今後、都市化問題が深刻になると予測されています。そこで展示では、社会課題に対し、NECの認証技術を用いた「街中監視システム」による犯罪抑止の事例などが紹介されました。また、スマートシティ化を世界の各都市が情報共有しながら連携して進める取り組みとして、「CCOC(Cloud City Operations Center)」についても紹介されました。
共創プラグラムによる価値創造
NECはお客様とともに新規事業や社会価値創造につながる活動を積極的に進めています。
2016年10月にGEデジタル社とIoT分野で包括的な提携を締結したことが発表されましたが、展示でも衣料メーカーとの共創により開発されたものとして、生体情報を計測できる衣料型ウェアラブルシステムや、食品メーカーとの共創による農場管理などの事例が紹介されました。また、この展示の一角には広い「共創ゾーン」が設けられ、テーマを深掘りしながら進めるワークショップコーナーに多くの来場者を集め、賑わっていました。
- *本誌に掲載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。