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AIによる社会価値創造特集によせて

執行役員常務 兼 CTO
江村 克己
社会価値創造型企業としてNECは、食糧・エネルギー・水といった資源問題、地球温暖化、自然災害、社会インフラの老朽化などのグローバルに解くべき課題に取り組むとともに、日本の競争力強化にも産業横断で取り組むべく積極的に事業を進めています。その目指すところは安全・安心・効率・公平な社会の実現です。
私たちが今日解くべき課題の多くは、多数の要因がお互いに影響しあう複雑な問題になっています。このような問題を解くうえで大きな力を発揮するのがAI(Artificial Intelligence:人工知能)です。NECではAIを“機械学習を活用して人間の知的活動をコンピュータ化した技術”と定義しています。その核となるのは、高度な「見える化」「分析」「制御・誘導」の各技術です。NECはこれらAI関連技術の研究開発に半世紀を超えて取り組んでいます。NEC技報が最初にAI特集を組んだのが今からちょうど30年前の1986年です。このような長い研究開発の実績をベースに、NECでは「見える化」「分析」「制御・誘導」の各領域で、世界初(Only 1)や世界最高水準(No.1)の技術を種々保有するに至っており、これらのAI技術群に「NEC the WISE」と命名しました(巻末参照)。解きたい課題に対し、NEC the WISEの中から最適なAI技術を組み合わせることで付加価値の高いソリューションを提供します。AIの性能を最大限に引き出すためのプラットフォームをあわせて提供することができるのが、コンピュータ、ネットワーク、そしてセキュリティの領域でも強い技術を併せ持つNECのもう1つの特長です。使える電力に制限があるなどの制約条件の下でも、十分に高い性能のソリューションをセキュアに提供することができます。
NECではこれまでに世界No.1精度の顔認証技術を活用した入国管理システムや、人には察知できない微かな変化を発見するプラント故障予兆検知システム、高精度な需要予測に基づく小売業の発注システムなど、さまざまな分野で付加価値の高いソリューションを実現しています。NECが提供するソリューションは「見える化」「分析」「制御・誘導」に関するAI技術を適宜組み合わせながら、その提供価値を監視→分析→予測→対処・予防へと進化させていきます。これがまさにお客様との価値共創であり、お客様の元で価値増幅を実現していくことになります。AIを活用したソリューション創出には、優れたAI技術に加え多種多様なデータの活用が必要になります。その意味でもオープンイノベーションは必須であり、NECは、お客様との共創はもちろん大学や研究機関、ベンチャーとの戦略的な連携を積極的に推進します。
プラントなどの安定的なオペレーションやスマートシティの実現といったゴールが定まった問題に対しては、NECは既に多くのソリューションを実現しています。AIを導入することにより、これまでと比べ圧倒的な効率化が達成されています。これからは人間らしい創造的活動や経営判断のようなゴールの定まらない問題に対し、AIがどのような貢献ができるかを検討することが重要になります。人とAIの協調により、これからの人間中心社会をより良くしていくというチャレンジであり、技術のみならず多くの観点を取り入れた新しい取り組みが必要になると考えています。
今回の「AIによる社会価値創造特集」では、NECが提供するAIによる社会価値創造、社会ソリューションのビジョン、それを支えるAI技術群をご紹介します。NECがAIの領域で進める大型連携については、連携先のキーパーソンとNECの研究者が対談を通してこれから取り組むべき技術のビジョンを提示します。技術論文とあわせてご参照ください。
本特集をぜひご一読賜りますとともに、引き続き、皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
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