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コラム
Snowflake Intelligence 活用例~自然言語で導き出す業務ナレッジ~
- 2025年12月に正式ローンチされたSnowflake Intelligenceは、データ分析の新たな可能性を切り開く画期的なサービスです。今回はその活用例として、NEC発のAI技術であるdotDataにより抽出した特徴量を元に、Snowflake Intelligenceを通してデータに隠された業務ナレッジを発見するユースケースを作成しました。その概要と手順をご覧ください。
Snowflake Intelligenceとは
- Snowflake Intelligenceは、Snowflakeが提供するAIデータエージェントです。構造化データと非構造化データの両方に対し、スケーラブルな処理と検索を可能としています。
<主な特長>
・すぐに実行可能な対話型AIのアプリケーション:UI開発不要のチャットインターフェイス
・自然言語でのクエリ実行 (Cortex Analyst):高精度のText-To-SQL を搭載
・非構造化データの検索 (Cortex Search):ベクトル検索とキーワード検索手法、リランキングモデルのアンサンブル、カスタマイズ可能なスコアリングを組み合わせて利用可能
・Snowflake ガバナンスとアクセス制御と統合

dotDataとは
- dotDataは、企業内に蓄積されたテキストやセンサーデータなどの非構造化データを含む企業データから、AI-Readyデータ、すなわち知識(企業ナレッジ)を自動生成することができるNEC発のAIです。
AI時代の今、企業が蓄積した膨大なデータをビジネス課題の解決に活用するためには、単なるデータの蓄積にとどまらず、そこから有用なナレッジを抽出し「知識化」すること 、すなわち「AI-Ready」なデータへと変換することが不可欠です。
dotDataにより得られた知識は、AI-Readyデータとしてさまざまなユースケースに共通して活用が可能です。これにより、アジャイルなデータ利活用が可能となり、企業が持つビジネスユースケースの迅速な業務適用を実現します。
dotData on Snowpark Container Servicesとは
- Snowpark Container Services上で、dotData Feature Factoryを動作させることができます。Snowflake内で完結して、外部サービスへのデータの移動なく、特徴量を生成し活用することができるようになります。
想定するユースケース
- 今回のユースケースでは、以下のような実際のビジネスシーンを想定しました。
- 「スーパーマーケットチェーンのバイヤーが、店舗の業績データから洞察を得て、特定商品の購入客のペルソナを考える」
このようなシナリオは、小売業界では日常的に発生する課題であり、データドリブンな意思決定が求められる典型的な場面です。
従来の課題
従来のBIツールの限界
管理指標のモニタリングはできるものの、指標が改善・悪化した要因については明確な答えを得られない
属人的な分析
勘と経験に基づいて仮説を立てて探索するしかなく、分析結果が担当者のスキルに大きく依存する
隠れた知見の見落とし
データに潜む重要なパターンや関係性を発見できずにいる
解決策:Snowflake Intelligenceによるチャット UI 形式でのナレッジ活用
これらの課題を解決するため、Snowflake Intelligence によるチャット UI 形式でのナレッジ活用ソリューションを構築しました。

拡大するこのソリューションは、以下の 3 ステップからなります。
実装ステップ1: 特徴量の抽出
構造化データに隠された統計的な相関関係をdotDataにより抽出し、意味のある特徴量を生成します。dotDataの機械学習技術により、数千万通りの変数間の組み合わせを網羅的に探索し、人間では気づきにくいデータ間の関係性や重要なパターンを自動的に発見できます。
詳細はこちら:https://jpn.nec.com/solution/dotdata/feature/index.html
ここでは、スーパーマーケットチェーンにて、酒類を購入する顧客の特徴を、特徴量としてdotDataにより抽出し、Snowflake上のテーブルに蓄えておきます。構造化データに隠された因果関係を特徴量という形で形式知化することで、業務ナレッジとして活用できるようになります。
実装ステップ2:Cortex Agentsの設定
組織内の構造化データに対して、Semantic ViewとCortex Analystを定義し、自然言語でのダッシュボード描画や知識抽出を可能にします。これにより、複雑なクエリを書くことがなく自然言語での問い合わせが可能となります。前Stepで作成した特徴量テーブルに対しても、Semantic ViewとCortex Analystを定義することで、自然言語で特徴量を問い合わせて活用することが可能となります。また、組織内の非構造化データ、例えば過去のキャンペーンの報告書を、ベクトルDBに取り組み、Cortex Searchから検索可能にします。
Cortex Analyst とCortex Searchを組み合わせたCortex Agentを作成し、構造化データと非構造化データの双方から業務ナレッジを取り出すことができるようになります。

拡大する
拡大する実装ステップ3:Snowflake Intelligenceの利用
ステップ2で定義したAgentを利用して、Snowflake Intelligenceで対話的に分析を進めます。取り出した業務ナレッジを基に、購入客のペルソナを具体的に描き出します。

拡大するユースケースで分かった重要な発見
- 今回作成したSnowflake Intelligenceのユースケースを通して、以下のような知見が得られました。
優れた開発者体験
- Snowflakeにデータを蓄積した後、外部のアプリに頼ることなくデータの準備から生成AIでの活用まで完結できることは、アプリ開発者/分析者/エンドユーザーにとって大きなメリットです。異なるSaaSサービスを連携させる労力や、利用開始までのリードタイム、セキュリティ面での課題を大幅に軽減できます。
高精度なText-To-SQL機能
- SnowflakeのText-To-SQLは想像以上の精度を提供してくれました。複雑なプロンプトチューニングを必要とせず、やりたいことをシンプルに日本語で問い合わせるだけで、適切なグラフの描画や業務ナレッジの取得が可能でした。
生成AIとの高い親和性
- dotDataで算出した特徴量の活用と生成AIによる対話的な分析は非常に相性が良く、専門知識を持たないユーザーでも業務ナレッジを効果的に活用できることが確認できました。
まとめ:データドリブンによる意思決定の新たな段階へ
- 今回Snowflake Intelligenceがリリースされたことで、これまで生成・活用が難しかった組織ナレッジを分析者のみならず、エンドユーザーでも簡単に利用することが可能になりました。
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dotDataとSnowflake Intelligenceを組み合わせることにより、組織内に蓄積された構造化データ・非構造化データから貴重な業務ナレッジを抽出し、それを誰もが活用できる形で提供することが可能になります。これは、データドリブンな意思決定を促進し、組織としてのデータ活用を新たなレベルに押し上げます。 -
データ加工や分析の専門知識の壁を無くし、業務ナレッジを導き出す強力なツールを是非お試しください。

