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アーメダバード市 事例
アーメダバードスマートシティがIoTを活用したバスを導入
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はじめに
アーメダバード市はインドでも特に成長が著しく、科学と産業のハブ機能を担う都市であり、政府が掲げるスマートシティ計画に向けた最初の20候補に選ばれています。アーメダバードスマートシティ開発公社(Smart City Ahmedabad Development Limited、以下SCADL)は効率的な公共交通の重要性を認識し、NECとのパートナーシップのもと、手動で運営されてきた不安定なアーメダバード市のバス輸送インフラを、シームレスで安全かつ信頼性のある高度交通運用管理システムにアップグレードしました。同市では、IoTとビッグデータ分析の高度な応用により、利用者の増加に応じて柔軟に計画、統合、拡張できるスマートバスシステムの構築を実現しています。
課題
従来のバスサービスの問題点と非効率性を解決
「公共交通の改善はスマートシティの成功に不可欠です。実施にコストはかかりますが、乗客を魅力的な価格で輸送することで教育と雇用を可能にし、そして結局は安全な移動に繋がるのです」と、SCADLのラケシュ・シャンカールCEOは語ります。
アーメダバード市の2つの主要バスサービス、バス高速輸送システム(Bus Rapid Transit、以下BRT)と市バスのAMTSは毎日市内で1000台のバスを運行し、80万人の乗客を輸送しています。料金は魅力的でしたが、品質に対する懸念からバスサービスは十分に活用されていませんでした。手動で運用されてきた従来のシステムは、ルート計画の不備、バス運行時刻の非開示、バス渋滞、長すぎる待ち時間、乱暴な運転、停留所の通過、不便で一貫性に欠ける現金収受など、さまざまな課題を抱えていました。透明性の欠如による運用コストの増大と乗客の不満も問題でした。
市当局は、ICTを活用したキャッシュレスで先進的なバスサービスシステムへのアップグレードに前向きに取り組み、コストの削減と問題への対応時間の短縮を目指しました。
「スマート交通機関は乗客にとって使いやすく、サービスの透明性と計画を策定するための機能を備えていなくてはなりません。私たちは、適切なリソースを展開し、新しい車両を投入し、シームレスな交通サービスを開発するために、ルート全体と乗客の動きを把握する必要がありました」
ソリューション
IoTを活用した交通運用管理システムが発展するスマートシティを支える
SCADLはNECとのパートナーシップのもと、高度交通運用管理システム(以下ITMS)を導入し、キャッシュレスのオープンループ型カードシステムを採用してBRTとAMTSバスサービスの効率向上に取り組みました。自動料金収受に加え、IoTを活用したワンストップのシステムがバスの車両運用やメンテナンス、交通情報、乗務員を管理し、さらにデータの収集と分析を通じてリソースの最適化とチケット販売強化を支援します。
「システムを総合的に展開することで市民への情報提供が促進され、公共交通利用時の混雑と使いにくさが緩和されます」とNEC Technologies Indiaの交通事業部 部門長の藤井俊平は説明します。
ITMSは5つのスマート交通サブシステムから構成されています。
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自動料金収受システム(Automated Fare Collection Service、AFCS):
プリペイド式RuPayカードまたはスマートフォン経由で、素早くセキュアなキャッシュレス支払いを実現。利便性と乗客の安全を高め、利用者を可視化しています。 -
バス位置情報管理システム(Automatic Vehicle Location System、AVLS):
搭載したGPS経由で車両の位置をリアルタイムに可視化することで、バス到着時刻の予測や中央指令センターからのバスの定時運行支援を実現しています。 -
乗客向け情報提供システム(Passenger Information System、PIS):
バス情報をモバイルアプリやウェブサイト、バス停に設置されたボード経由でリアルタイムに提供。乗客による経路の計画、待ち時間や到着時間の予測を実現しています。車内ディスプレイとアナウンスでも、ルートとバス停に関する情報を提供します。 -
車両運行計画システム(Vehicle Planning Schedule and Dispatch System、VPSD):
運行状況と交通量の分析により、バスのルートと運行スケジュールを最適化しています。 -
営業所管理システム(Depot Management System、DMS):
車両、燃料、在庫、人員、車両メンテナンスの管理を自動化して、乗務員とバス運行全般の配置と最適化を実施します。
各サービスのデータは収集され、指令管理センター内で主要業績評価指数(KPI)と照らし合わせて一元的に分析されます。これにより、さらに効率的でスムーズなバスの運行と、発券からバス停、車内までスマートかつ安全に乗車できるサービスの提供を目指しています。
「この総合的なシステムは、バス運行事業者にPDCA最適化サイクルを提供し、特定の計画の実施はもちろん、運行パフォーマンスの可視化によって計画の評価も可能にしています。走行中のバスと料金収益がリアルタイムに可視化されるので、事業者は異常事態を簡単に検知して速やかに対処できます」と藤井は説明します。
また、インシデント管理システムによって、設備の故障やバスの事故といったインシデントの全体像を追跡できます。
シャンカール氏は語ります。「インフラの発達とそこで得られる情報の価値は素晴らしいものです。人手を介さないワンタッチ式発券システムは乗客にとって使いやすく、私たちも利用者数、適切なサービス提供、迅速な管理、ルート利用者数に応じたバス配置などについて貴重な情報を得られます。このシステムの成功はインド国内で高い評価を受けています。今回のパートナーシップはすべての関係者に付加価値をもたらしています」
成果
アーメダバード市でのITMSの成功は、スマートシティの模範
2017年にスタートしたITMSは、バス交通サービスの効率化と利便性向上に貢献し、アーメダバード市を世界有数のスマートシティに変貌させています。
「このソフトウェアベースのシステムにより、総走行距離や運転手の態度、運転の安全性、ルート順守といった明確なパラメーターに基づいてサービス請負業者に委託料金を支払えるようになりました。新しい運行予定システムは、すでに大幅な月間コスト削減を実現しています」とシャンカール氏は語ります。
現在SCADLは、BRT、地下鉄、鉄道、モノレール、タクシーなどに対応する複合モデルの交通サービス開発を検討しており、運行と発券の統合プラットフォームを基盤とするシームレスなサービス提供を目指しています。シャンカール氏は確信しています。
「NECは東京をはじめ諸都市で複雑なプロジェクトを実施してきたことから、優れた交通システムを提供でき、経験が豊富です。インドの他のスマートシティ候補99都市を招いてアーメダバード市ITMSの成功例を実際に見せ、それらの都市にも展開することができることでしょう」
藤井は、「NEC Technologies Indiaはこのプロジェクトを世界中のベンダーやパートナー20社と協力して達成しました。私たちの一番のモチベーションはシナジーを創造し、当社の幅広い交通ソリューションとICTを活用して優れた社会インフラを構築し、インド社会の向上に貢献することです」と語ります。
シャンカール氏はこう語ります。「システムが整備された結果、市民が個性を発揮して生き生きと生活できるようになりました。このようなシステムを運用していることを誇りに思います」
Smart Transportation ~インド アーメダバード事例~ [02:55]
2018年9月27日