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PoCで見えた、価格最適化が“現場で効く”商品と効かない商品の違い
価格運用コラムvol.1AIによる価格最適化は、小売現場の利益改善に大きな可能性をもたらします。しかし、PoC(概念実証)を実施すると、多くの企業が必ず直面する事実があります。それは、「すべての商品に同じように効果が現れるわけではない」ということです。
同じアルゴリズム、同じ販売期間、同じ店舗条件で試しても、売上・粗利が大きく改善する商品群と、ほとんど変化の出ない商品群に明確に分かれるのです。
本コラムでは、その“差”を生む構造的な理由を紐解き、PoCや本番導入の成功率を高めるためのポイントを整理します。
1. 価格最適化が“効く”商品の共通点

① 需要が安定している商品
データに基づくAI最適化において、最も重要なのは「予測しやすさ」です。
販売数が日ごとに大きくブレる商品は、需要予測の精度が下がり、最適価格のインパクトが読み取りにくくなります。
逆に、普段から一定量が売れる定番商品・日用品・ベーシックカテゴリは、AIが精度高く需要を捉えやすく、価格変更が利益改善につながりやすい傾向があります。
② 価格弾力性が安定している商品
"価格を変えたときの販売数の変化が安定している"商品は、最適化の効果が最も出やすいグループです。
AIは過去販売データから価格反応度(弾力性)を抽出し、売上と粗利の双方を最大化する価格帯を提示します。
弾力性が明確な商品ほど、AI提案の効果がダイレクトに表れます。
③ カテゴリ全体で最適化したほうが価値が出る商品
単品単位で価格を最適化するよりも、カテゴリー全体で価格整合性を取ることで、購買導線が整理され、売上・粗利が同時に最大化しやすい商品群です。カテゴリー構造をふまえた最適化により、より大きな経営インパクトが期待できます。
2. 価格最適化が“効きにくい”商品の特徴

① データ量が少なく、予測が安定しない商品
年間販売数が極端に少ない商品や、限られたシーズンでしか販売しない商品は、予測精度が上がりません。需要が読めないため、価格変更による改善効果も見えづらくなります。
② 外部要因が売れ行きを左右する商品
天候・流行・メディア露出・一時的な特需など、価格以外の要素で売上が動く商品は、価格最適化ではなく別のアプローチが必要なことがあります。特に季節商品、限定商品、PB新商品などは、AIが学習すべきデータが不足しがちです。
③ 賞味期限が極端に短い、生鮮・惣菜系の商品
これらは通常の価格最適化よりも ダイナミックプライシング が適した領域です。AI最適化ロジックとは使うデータ粒度も判断スピードも異なるため、PoCでは効果が測りにくいケースがあります。
3. 価格最適化の効果を左右する「商品選定」の重要性

国内PoCでは、推奨価格を適用した結果、売上約3%増・粗利約6%増 を示したカテゴリが確認できました。
一方、同じ条件で検証しても、効果がそれほど大きくなかったカテゴリも存在します。
その差を生む要因は、以下の3つに整理できます。
- データの「質と量」:予測モデルが安定して学習できるか
- 価格弾力性:価格変更が売れ行きに影響する構造か
- 外的要因の影響:価格以外の要素が影響するか
4. “効く商品”を見極めることでPoC成功率は劇的に上がる
PoCで多くの企業がつまずくポイントは、「すべてのSKUに適用しようとする」ことです。 しかし最適化の世界では、適用すべき商品を事前にスクリーニングし、効く領域から着手することが成功の鍵になります。
NECのBPOチームでは、PoC開始前に以下のような分析を行い、「効く可能性が高い商品」をリストアップします。
- 過去販売データの安定性
- 価格弾力性(反応度)の傾向
- カテゴリ構成と役割
これにより、PoCの成果を最大化する商品群に優先的に適用でき、PoC成功率が大きく向上します。
SKU: Stock Keeping Unit
5. 価格最適化を“現場で使えるもの”にするには
AIの推奨価格は、現場運用まで落とし込んで初めて価値を生みます。
NECのBPOは、バイヤー・店頭・経営の三者が迷わずに動けるよう、以下の運用を支援しています。
- 価格案・根拠の説明
- 実績分析(売上・粗利・離反など)
- 次サイクルへの改善提案
- 将来的な内製化に向けたナレッジ移転
この伴走により、企業は 属人化した値付けから脱却し、データ起点の価格戦略を継続的に回す体制 を構築できます。
まとめ
価格最適化は“魔法のツール”ではありません。しかし、効く商品/効かない商品の違いを理解し、適切な領域に適用することで、利益改善効果は確実に現れます。
PoCはその見極めの場であり、正しく設計すれば「売上と利益を両立する価格戦略」の実現に大きく近づきます。
この視点を踏まえてPoCを計画することで、価格最適化の成果は最大化され、企業全体の収益構造を変革する一歩となるでしょう。