2025年12月3日
日本電気株式会社

NECは厳格な本人確認が求められるシーンでも、手ぶらで立ち止まることなくストレスフリーに認証を行う、ウォークスルー型の顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を世界で初めて開発しました(注1)。
本技術は、世界No.1の認証精度を有するNECの顔認証技術と虹彩認証技術(注2)を組み合わせ、歩いている利用者(注3)を屋内外問わず高精度かつ高速に認証します。これにより、利用者は手ぶらで歩きながら本人確認ができる利便性を享受できるとともに、施設側は混雑を緩和しつつ、セキュリティ向上を実現します。
NECは、2026年度中に本技術を活用した実証実験を行い、2027年度の実用化を目指します。本技術を国境審査や空港、金融、決済といった厳格な本人確認が求められるシーンへの活用を進め、安全・安心な社会の実現に貢献します。

近年、厳格な本人確認が求められる国境審査や空港、決済などのシーンにおいても、生体認証の活用が広がっています。しかし、従来は、生体認証に加えて、カードの提示やパスワード入力を組み合わせた二要素認証が主流であり、そのプロセスに時間を要することで施設内の混雑が発生するという課題がありました。また、カードやパスワードは紛失・盗難・失念などの懸念があり、これらに依存せず、よりセキュアかつ簡便に本人確認を実施したいという需要が高まっています。
今回NECは、長年培ってきた生体認証技術と最先端のAI技術を活用し、利用者の利便性とセキュリティ向上を実現する生体認証技術を開発しました。

本技術の特長

1. 世界最高水準の顔・虹彩認証技術の組み合わせで、厳格な本人確認を実現

米国国立標準技術研究所(以下 NIST)のベンチマークテストで複数回No.1を獲得した顔認証技術と、同じくNISTのベンチマークテストで第1位を獲得した虹彩認証技術を組み合わせました。これにより、単一の生体認証を上回る精度を発揮するだけでなく、1億人以上の登録者の中から、歩いている利用者を瞬時に識別し、厳格な本人確認を可能にします。

2. NEC独自のAI技術である基盤モデル学習を活用した頑健な認証

自己教師による基盤モデル学習を虹彩認証に適用したNEC独自のAI技術により、移動によるブレやよそ見、眼鏡の有無など、通常は認証を妨げるような悪条件下でも、生体の特徴を正確に捉えることができます。そのため、利用者は装置の前で立ち止まったり、覗き込むなどの必要が無く、3メートル離れていても、自然な速度で歩いている間に、認証を完了できます。

3. 容易な構築により、多様な環境に柔軟対応

本技術は、小型カメラ、赤外線ライト、処理用プロセッサー、結果表示ディスプレイといった最小構成で導入が可能です。また、屋外や逆光、暗所、遮光による陰影がついた状況など様々な環境下でも高い認証精度を維持できるため、既存の入口やゲートなど場所を問わずシステムを組み込むことができ、特別な設備工事や大掛かりな環境整備は不要です。

NECはDXに関して、ビジネスモデル、テクノロジー、組織・人材の3軸で、戦略構想コンサルティングから実装に導くオファリングなど、End to Endのサービスを提供しています。さらに、従来型のSIerから「Value Driver」への進化を目指し、その価値創造モデルを「BluStellar(ブルーステラ、注4)」として体系整理しました。生体認証技術はBluStellarのコアテクノロジーの1つであり、今後も業種横断の先進的な知見と研ぎ澄まされた最先端テクノロジーによりビジネスモデルを変革し、社会課題とお客さまの経営課題を解決に導きます。

以上

本技術について

顔・虹彩マルチモーダル生体認証
URL：https://jpn.nec.com/rd/technologies/202406/index.html

本件に関するお客さまからのお問い合わせ先

NEC　グローバルイノベーション戦略統括部