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栃木県医師会様
進化するクラウド型サービスID-Linkと完全非公開型SNS MedicalCareStationを連携
主治医が橋渡しすることで在宅現場・診療所・中核病院における双方向の情報共有を実現
- 業種:
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- 医療・ヘルスケア
- 業務:
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- その他業務
- 製品:
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- その他
- ソリューション・サービス:
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- ネットワーク/ネットワークサービス
- クラウド
事例の概要
課題背景
- 地域医療連携ネットワーク「とちまるネット」の運用により、中核病院から診療所への情報公開は実現したが、在宅現場・診療所などから中核病院への双方向情報連携ニーズが高まってきた
- 地域医療構想、地域包括ケアの推進により、医療と介護の情報連携は不可欠であるが、連携のために必要な共有情報の質・内容・関係性が異なるため、「とちまるネット」だけで実現することは困難である
- 完全非公開型SNSを使った「どこでも連絡帳」を通して得られた情報には、医療において重要な情報がある一方で、専門性が異なる膨大な情報の中から、医師が必要な情報を探し出すことが困難である
成果
ID-Linkの機能強化により、診療所電子カルテとの双方向情報連携を実現
「ストアクライアント」機能により、ID-Linkアプライアンスを未設置の施設もデータ公開が可能に。さらに、新たにストレージサーバを設置することなく、ID-Linkサービスとしてデータを保管委託するストレージサービスを利用することで情報共有が可能になった
ID-Linkにない機能は連携パートナーのサービスと組み合わせ可能
診療情報共有以外の機能については、連携パートナーの最適なものと組み合わせることで実現
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主治医の橋渡し・通訳による情報連携
主治医は、「どこでも連絡帳」から医師が必要な情報を選択し、「とちまるネット」にアップロードする。これにより、医師が必要な情報だけを「とちまるネット」で共有することが可能になった
導入ソリューション
栃木県医師会では、県全域をカバーする地域医療連携ネットワークとして、NECのID-Linkなどを活用した「とちまるネット」を2013年から導入。また、在宅医療と介護の多職種連携ネットワークとして、完全非公開型のSNSである MedicalCareStationを使った「どこでも連絡帳」を2016年より導入しました。さらに、これからの地域包括ケアをいっそう円滑に推し進めるために、この2つのネットワークを主治医が橋渡しして、医療・介護に携わる多職種の人たちがつながる「地域医療構想とちぎモデル」をスタート。いつでもどこでもコミュニケーションができることで、患者に切れ目のない質の高いサービスを提供できるように前進しています。
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事例の詳細
導入前の背景や課題
地域医療連携ネットワークと医介連携ネットワークを構築
栃木県では地域医療構想の一環として、それぞれの病院・診療所が患者に最適な医療を提供できる体制づくりを行っています。そのため、病状に合わせて急性期対応の中核病院から慢性期対応の診療所、さらに在宅医療へと移っていく患者のためには、病院間・病診間の垂直連携が重要になってきます。
そこで、栃木県医師会では2013年よりID-Linkなどを活用した地域医療連携ネットワーク「とちまるネット」を構築。地域の中核病院の患者情報を、他の病院・診療所からも閲覧できるようになりました。
一方で、地域包括ケアの推進に伴い、医療・介護・予防・生活支援などさまざまな職種の人たちが一体となって、一人ひとりの患者にサービスを提供していく必要性が増しています。それに応えるには、多職種が別々の場所にいながら、水平方向の連携を図っていく必要があり、病院や診療所、地域に散らばる医療・介護従事者が一体となって連携していくことがきわめて重要になっていきます。
そこで、2016年より、無料でありながらセキュリティにも配慮した非公開型SNSであるMedicalCareStationを医介連携サービスとして採用。「どこでも連絡帳」という愛称で活用しています。
2つの連携ネットワークを併用しながらつなぐ
この「とちまるネット」と「どこでも連絡帳」の2つの連携ネットワークの構築を主導してきた栃木県医師会常任理事である長島公之氏はこう話します。
「次の課題は、地域包括ケアの推進で加速する垂直方向の医療連携ネットワークと、水平方向の医介連携ネットワークをどうつなぐかということです。医療と介護では専門領域が大きく異なりますから、お互いの情報をそのまま共有しようとしても理解できなかったり、誤解を与えたりします。また、患者の機微情報が守られるかというセキュリティ上の不安もあります。そこで考えたのが、『とちまるネット』と『どこでも連絡帳』の両方の情報にアクセスしている主治医が、『とちまるネット』の医療情報の中から、介護に携わる人たちに必要と思える情報を翻訳して『どこでも連絡帳』へ書き込む。逆に、『どこでも連絡帳』の投稿の中から『とちまるネット』に記録しておきたい情報を取り込むという方法です」
医師にとってはID-Linkなどによる医療連携ネットワークが必要であるし、医療・介護に携わる多職種の人たちはSNS型のコミュニケーション・ツールが便利。「それぞれの目的に合った2つの連携ネットワークを併用しながら、主治医がその橋渡しをすることで、お互いに円滑なコミュニケーションが図れます。今後、医療・介護の現場が連携していけるよう、どんどん使ってもらいたいと思います」と長島氏は付け加えます。
選択のポイント
オープン化が進んだID-Linkの選択により医療連携と医介連携の接続を実現
「とちまるネット」は医療連携からスタートしました。病院では情報システムの普及率が高く、採用する医療連携ネットワークは自分たちで選択したいという声が多かったので、ID-Linkともう1社の2つのサービスが選択されました。特にID-Linkは、さまざまなベンダーの電子カルテとの連携実績や、標準技術への対応が進んでいる点が評価され、NEC以外の電子カルテシステムを採用している病院からも選択されました。
一方、医介連携においては、各施設における情報システムの普及率が低く、また、水平方向・面の連携を重視するという観点から、県医師会内に「医介連携ネットワークシステム構築研究会」を設置。各職種の代表が集まって検討した結果、2014年4月よりモデル事業として、壬生町において医介連携ネットワーク「どこでも連絡帳」の実証実験を開始することになりました。
その結果、多職種間の情報共有によるサービスの充実にきわめて有用であることが確認されたため、研究会において、「どこでも連絡帳」を県統一の医介連携ネットワークとして採用し、県内での普及推進に努めることになりました。
今回、医療連携と医介連携をつなぐにあたっては、ID-Linkのオープン化が進んでいたため、「とちまるネット」と「どこでも連絡帳」との接続を実現することができたと、長島氏は振り返ります。
導入後の成果
ID-Link導入による双方向連携の促進
「ID-Linkは、『ストアクライアント』機能を使うことで、ID-Linkアプライアンスを設置していない診療所の電子カルテからも必要な情報を選んでアップロードできます。これにより、当初は中核病院から診療所などの閲覧施設への一方向だった情報提供が、閲覧施設側からも可能となりました。アップロードされた情報は、情報提供病院のデータと同一の患者カレンダー上に表示されますから、患者が医療機関を移っても切れ目なく継続して情報を見ることができ大変便利です。標準技術を採用しているID-Linkは、データのアップロードに対応している電子カルテの種類が非常に多く、病院~診療所の双方向連携がしやすいことも大きなポイントですね」と長島氏は言います。
ID-Linkの進化がいっそうの使いやすさを実現
またID-Linkでは、診療所の電子カルテからアップロードする患者データを保管するために、各施設に5GBまでは無料スペースを提供するストレージサービスを用意。「診療所の情報を保管するだけなら5GBは充分なスペースです。今までは閲覧するだけだった施設側からも情報発信をしやすくするこうしたサービスを無料で提供してくれるのはありがたいですね」と長島氏。さらに、問い合わせ用の専用サポート窓口があるのも他社にないID-Linkの大きなメリットと語ります。
ICTを活用した医介連携のモデルケースとして各地への拡がりを期待
栃木県における完全非公開型SNS MedicalCareStationを活用した医介連携サービスは壬生町から試験運用が始まりました。同町ではもともと医療・介護に関わる多職種の人たちが定例会を開くなど、積極的なコミュニケーションをとっていたのでモデル地区として最適でした。多職種連携に必要なツールは、単に記録をやり取りするのではなく、人と人をつなぐコミュニケーションを育むものでなければならないと長島氏は考えたからです。
「要介護の在宅患者を入れ替わりで訪問する多職種の人たちが、訪問のたびに状態を投稿したり、質問や要望、提案を書き込んだりできるので、メンバー全員がどこからでも参加できるカンファレンスをつねに行っているようなものです。電話や対面では1対1でしか伝わりませんが、SNSなら全員同時に届くし、画像を添付すれば一目瞭然に伝わるので、医療・介護サービスの質と安全性が飛躍的に高まります」と長島氏は述べます。
また、「どこでも連絡帳」のグループ機能を使えば、地域内の参加者同士が掲示板のように情報の交換や共有を行うこともできます。「例えば、災害が発生した時に必要となる緊急連絡網も、平時に使ったことがないサービスだと、災害時にいきなり使えないことが多いものです。災害弱者である在宅患者の安否確認や救援を行うには、『どこでも連絡帳』のように普段から使い慣れているサービスが威力を発揮するのです」(長島氏)
このように、ID-Linkと完全非公開型SNSのMedicalCareStationは、連携することを前提につくられたクラウド型サービスなので、栃木県で展開している医介連携の事例は、他の地域でも同じくシームレスな連携を構築・運用していけるはずと長島氏は言います。 「実際、この2つの連携サービスの組み合わせはデファクトスタンダードとして全国に拡がりつつあります。これからも講演会やセミナーの機会をつくり、医介連携の大切さをたくさんの人たちに理解していただき、全国の患者と医療・介護従事者の方々にいっそう役立てていただけるよう努めていきたいと思います」と長島氏は最後に今後の期待を語ってくださいました。
- ※「どこでも連絡帳」が採用しているMedicalCareStationのSNSは、平成26・27年度医療IT委員会答申「新たな日医IT化宣言」「医療・介護における多職種連携のあり方」において「3.3.2. パブリックSNSとプライベートSNS」「3.3.3. SNSの利用端末とセキュリティ」の要件を満たしているものです。
お客様プロフィール
一般社団法人 栃木県医師会
所在地 | 栃木県宇都宮市駒生町3337-1 とちぎ健康の森4階 |
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代表者 | 太田照男 |
URL | http://www.tochigi-med.or.jp/ |
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