• facebook
  • twitter

デジタルトランスフォーメーションが変える「ものづくりの未来」 製造業向けお役立ち技術情報サイト

イベントレポート
定期的に行われているイベントを、
独自の目線で徹底レポート

ITmedia Virtual EXPO 2021 Liveセッションレポート

New Normal 社会における
NECが考えるスマートファクトリー

Webセミナーレポート

2021.03.17

スマートファクトリー

New Normal社会となって、工場における働き方改革や、サプライチェーンの強化、市場や需要の変動への対応などの課題があらためて浮き彫りとなっています。こうした課題を解決するスマートファクトリーの在り方について、社内外のスマートファクトリー化を推進してきた高村氏が国内最大級のバーチャル展示会「ITmedia Virtual EXPO 2021 春」において、2021年2月25日にオンラインで講演いたしました。その概要をご紹介します。
本記事末尾よりお申込みいただくと、本講演のオンデマンド配信をご視聴いただけます。


日本電気株式会社 スマートインダストリー本部主席事業主幹 高村啓司

製造現場の課題と解決の方向性

New Normal社会において、製造業にはどういった変化や課題があり、どのように解決していったらよいのでしょうか。

まず、一つ目の課題は、工場に行けない、行けたとしても3密を避けながらの作業を強いられるといったように「工場での働き方が変わる」ということです。この課題を解決する方向性としては、5GやIoTを活用して、遠隔地から人や設備への指示や操作を行うことが考えられます。また、人の五感データをデジタル化して健康管理を行うことや、音声による作業指示や実績収集により作業効率を改善することも可能です。

二つ目の課題は、パンデミックや自然災害でサプライヤが被災したり、物流網が途切れてサプライヤの変更を余儀なくされることを想定しておく必要があることです。これに対しては、サプライチェーン上の企業間でデータ連携を行うことで、サプライチェーンの再編成をスピーディーに行えるようにできると考えています。

また、マスクなどの例でもわかるように、物品の需要が予想外に激しく変動したり、市場ニーズがより多様化していくことも課題です。これには、サプライチェーン全体の在庫の見える化や分析・対処、さらに、AIを活用した需要予測といった手段で講じていけるでしょう。

一方、New Normal社会として新たなビジネスチャンスが生じることで、ニーズにあった新製品をタイムリーに市場投入することが求められます。そのためには、サプライチェーンとエンジニアリングチェーンをデジタルにつなぎ、設計変更や生産ライン立ち上げをスピーディーに実現させる必要があります。

New Normal社会における方向性

NECが考えるスマートファクトリーとは

以上のように、さまざまな変化に臨機応変に対応できるスマートファクトリーが求められています。 NECが考えるスマートファクトリーとは、IoTを用いてサプライチェーンやエンジニアリングチェーンからデータを収集・蓄積し、生産現場の「見える化」→「分析」→「対処」、というQCD改善サイクルを高速に回し、次の2つのしくみを実現させるものです。

①過去・現在のデータから、生産性や変動対応力が高い多品種少量生産やマスカスタマイズ対応などの未来のものづくりを迅速に創り出すしくみ

②人が活き活きと働ける環境を創り出すしくみ

また、スマートファクトリー実現には、工場内のスマート化とバリューチェーンのスマート化という2つの方向性があると考えています。

工場内のスマート化にはステップがあり、まずはデジタルデータ活用によるQCD改善の高速化・自律化からです。次のステップでライン自働化や自律制御に進み、最後に製造間接業務の自働化・リモート化を実現します。
さらに、バリューチェーン全体をデータで繋げることにより、在庫やトレーサビリティの見える化・最適化を行い、バリューチェーンのスマート化を図ることができます。

スマートファクトリーの方向性

「自律改善」「自働化」「リモート」「つながる」

次に、スマートファクトリー実現に不可欠な4つのキーワードについて説明します。

① 自律改善
自律改善とは、IoTを活用して現場データを自動的に収集し、KPIに照らして問題点を見つけ、その原因をAIと人で高度に分析し、必要な対処を行うという改善サイクルを自律的に行うことです。
デジタルデータ活用による自律改善は、生産性向上や原価低減をもたらし、会社の収益改善に繋げることができます。NECグループ全体では、生産性の50%向上を実現させることができました(2014年度比)。
こうした社内に蓄積されたノウハウを元に、NECでは自律改善のための方向性、材料、手順、コツを課題ごとに「改善レシピ」としてまとめました。この改善レシピを活用することで、改善が自律的に進んでいき、改善を定着化・高速化できるようになります。

製造業NECで革新を推進してきた実装効果

② 自働化
例えば、労働力不足の時代にますます期待が高まるAGV(無人搬送ロボット)には、多種多様な複数台のAGVの運用効率向上のための集中制御と一元管理が求められます。NECは、そのためのソフトウェア「NEC マルチロボットコントローラ―」を開発。製造現場の変動に対応する最適経路生成や多様なロボットの制御、WMSやMESなどの上位システムと連動によるロボットの管理・制御機能の提供を実現させています。
また、NECプラットフォームズでは、量子コンピューティング技術により生産計画立案の自働化を行い、約1時間要していた立案時間を10分に短縮。スキルフリー化も実現させています。

③ リモート
柔らかいもののピッキングなど自動化が難しい工程や危険な作業においては、ロボットを遠隔操作できるようにすることで安全で快適な場所からフレキシブルに勤務することが可能になります。
NECプラットフォームズ甲府事業所では、超低遅延が特徴のローカル5Gを用いて、ロボットを遠隔操作したり、ウェアラブルカメラを用いて離れた場所から作業者に作業指示を行うなどの実証を行っており、生産性の向上や人材育成時間短縮、働き方改革、作業品質向上を目指しています。

NECにおけるローカル5Gを活用した遠隔作業実証

④ つながる
自社だけでなく、バリューチェーン全体をデジタルにつなげて、市場の売れ行きや在庫状況、計画進捗を企業間で共有し、生産の加速や抑制をコントロールすれば、適正在庫水準を改善・最適化でき、コストダウンを実現できます。
また、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンをBOM(製品構成情報)/BOP(工程設計情報)でデジタルにつなぐことで、生産ラインを迅速に立ち上げることができ、製品のタイムリーな市場投入が可能となります。NECでは豊富な実績を持つPLM製品「Obbligato」によって、コンカレントエンジニアリングを実現します。
さらに、サプライヤとメーカー、顧客を品質データ基盤につなげば、品質異常が生じた際のトレーサビリティを実現させ、品質保証や信頼性向上に役立てることができます。

NECは、川崎市にあるNEC 玉川事業場内に「DX Factory共創スペース」と「ローカル5Gラボ」を設け、ご来場いただいたお客様に実機を使ったソリューションを体感していただきながら、目指すべきスマートファクトリーの方向性について活発なディスカッションをしています。




【Q&Aコーナー】

ご聴講いただいたお客様からの質問に対する回答をご紹介いたします。

Q1:  (NECは)工場の生産性を50%改善したとのことだが、事前に効果は得られると見込まれていたのか?

A1:  NECグループの経営課題に生産性向上があり、3~5年の中期経営計画の目標として50%改善(注1)を掲げました。モデルのラインを決め、1年目は10%、2年目は20%と段階的な目標を定めて取り組みを始めました。90年代から生産革新に取り組んでいたことで、ムダがない状態からのスタートとなり、デジタル化でどこまで改善できるか半信半疑のところもありましたが、実際にデータを見るとそれまで気付かなかった改善課題に気づくことができ、結果的に目標達成に繋がりました。このように、大きな目標を掲げ、現場にブレイクダウンして1つずつ効果を追求していくアプローチが奏功したと考えています。
(注1)当初の目標は30%改善でしたが、想定より早く達成できたため、途中で目標を上方修正しています。

Q2:  「人の五感データをデジタル化し」とあるが、どのようなデータなのか?

A2:  NEC DX Factoryでは、音声認識/ヒアラブルを活用した人作業ナビゲーションやAIを活用した映像作業解析、感情分析による健康管理といったソリューションを用意しています。
健康管理においては、ウェアラブルで脈拍などのデータを収集・分析し、疲れているようであれば休憩を促したり、ストレスを感じているようであれば配置換えを行うといった施策に繋げています。

Q3:  ローカル5Gは多額の初期費用が導入の障害になっている?

A3:  ローカル5G以外にも、WiFi6やプライベートLTEといった無線方式があります。ローカル5Gに限定せず、これらの方式を適材適所に組み合わせることで、コストを抑制することが可能です。

Q4:  AGVを活用する際のマップ生成はどのように行えばよいのか?

A4:  AGVの最適なルートを生成するには、現場の状況を把握することが必要です。「NECマルチロボットコントローラ」は、AGVに取り付けたカメラやセンサからのデータでマップを生成し、人が通ったりモノが置かれている状況をリアルタイムで把握して障害物をよけつつ最適なルートで運搬することができます。

Q5:  (音声による作業指示および音声データ蓄積による作業改善における)音声データは、どのように蓄積されるのか?

A5:  音声をテキストデータ化し、CSVのような形で蓄積します。現在は日本語のみですが、将来は英語や中国語にも広げていく予定です。また、タイムスタンプも併せて蓄積するので、音声による作業指示と作業完了報告の時間を追うことで、作業のバラつきや遅延を分析し改善に繋げることができます。

Q6:  古い設備をスマートファクトリーに組み込む方法とは?

A6:  スマートファクトリーの基盤である「NEC Industrial IoT Platform」には様々なインターフェースが用意されているので、何らかのデータがあれば活用可能です。設備自体にデータがなくても、紙の形ででもあれば、そのデジタル化するだけでもデータによる気づきを得て改善に繋げていくことができます。

Q7:  スマートファクトリー化に比例してセンサやカメラの必要台数も増えるのか?それらの保守コストも増えることが懸念される。

A7:  スマートファクトリー化による現場改善がどう全体の収益改善・向上に繋がるかという視点で費用対効果を見ることが大切です。保守に関しては、自動化ソリューションを活用すればコストを抑えることも可能でしょう。



※本講演は、2021年6月末まで、オンデマンド配信でご視聴いただけます。
こちらの登録フォームよりお申込みください。

【関連リンク】

NEC DX Factory

ものづくりの未来を体現する
NEC DX Factory

NEC DX Factoryとは、設計~製造~出荷~物流までのすべてのプロセスにおいて、すべてのモノ(人・モノ・設備)をデジタル化。バーチャルでシミュレーションを行い、フィジカルにフィードバックし、ヒトと協調しながらロボット・生産設備を自律制御することで、ものづくりの革新を実現するというコンセプトです。

本WEBサイトは製造業でお困りの皆さまに、最新の技術で改善に導くための情報まとめサイトです。

Escキーで閉じる 閉じる