CFOメッセージ
2015年3月期の業績について
当年度の売上高は、2兆9,355億円と前年度に比べ1,076億円(3.5%)減少しました。これは、パブリック事業が増収となったものの、その他の事業がインターネット・サービス事業や携帯電話販売事業の非連結化などにより減収となったことに加え、システムプラットフォーム事業が減収となったことなどによるものです。収益面では、営業利益は前年度に比べ219億円改善し、1,281億円となりました。これは、パブリック事業の売上が増加したことや携帯電話端末事業の改善などによるものです。当期純利益は、関係会社株式売却益の減少があったものの、営業利益の改善に加え、持分法による投資損益や為替差損益の改善などによる営業外損益の改善、およびNECフィールディング(株)の完全子会社化に伴う少数株主持分の取り込みなどもあり、前年度に比べ236億円改善し、573億円となりました。この結果、自己資本利益率(ROE)は7.5%と、前年度に比べ2.7ポイント改善しました。
配当・株主還元について
配当については、急激に変動する昨今の経済状況など事業環境の変化に柔軟に対応する必要があることから、各年度の利益状況、次年度以降の見通し、配当性向、設備投資などの内部資金需要等を基準として決定しています。当年度の年間配当金は、営業利益、当期純利益ともに期初計画を達成したことにより、期初にお約束した1株につき4円を実現しました。次年度については、1株につき6円(中間配当金は1株につき0円)を予定しています。
(億円) | 2014年3月期 | 2015年3月期 | |
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実績 | 期初計画 | 実績 | |
売上高 | 30,431 | 30,000 | 29,355 |
海外売上高 | 5,692 | 5,868 | |
海外売上高比率 | 18.7% | 20.0% | |
営業利益 | 1,062 | 1,200 | 1,281 |
売上高営業利益率 | 3.5% | 4.0% | 4.4% |
当期純利益 | 337 | 350 | 573 |
自己資本利益率(ROE) | 4.8% | 7.5% |
当年度末の財政状態について



当年度末の総資産は、2兆6,207億円と前年度末に比べ1,153億円増加しました。流動資産は、売掛債権の増加などにより前年度末に比べ739億円増加し、1兆5,768億円となりました。固定資産は、退職給付に係る資産の増加などにより前年度末に比べ414億円増加し、1兆439億円となりました。
負債は、1兆7,365億円と前年度末に比べ12億円減少しました。有利子負債残高は、前年度末に比べ544億円減少の5,208億円となり、デッド・エクイティ・レシオは0.63倍(前年度末比0.20ポイント改善)となりました。また、有利子負債残高から現金および現金同等物の残高を控除した有利子負債残高(NETベース)は、前年度末に比べ289億円減少の3,396億円となり、デッド・エクイティ・レシオ(NETベース)は0.41倍(前年度末比0.12ポイント改善)となりました。
純資産は、当期純利益を計上したことや退職給付に係る調整累計額が増加したことなどにより、前年度末に比べ1,165億円増加し、8,842億円となりました。
この結果、自己資本は8,237億円となり、自己資本比率は31.4%(前年度末比3.6ポイント改善)となりました。
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは879億円の収入で、運転資本が増加したことなどにより、前年度に比べ62億円減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは475億円の支出で、前年度に比べ86億円支出額が増加しました。これは、前年度に玉川事業場内の土地建物に設定された信託受益権の取得による支出があったものの、関係会社株式の売却などによる収入があったことに対し、当年度は事業買収に伴う支出などが増加したことなどによるものです。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは404億円の収入となり、前年度に比べ148億円減少しました。
次年度の取り組みについて
当社は当年度を含めて、期初に計画した営業利益、当期純利益を3年連続で達成し、社会ソリューション事業に注力するとともに、安定した利益が計上できる体制になりつつあります。「2015中期経営計画」の最終年度にあたる次年度の事業計画には、当社を成長軌道に乗せるため、戦略投資を積極的に織り込みました。これにより、注力領域や海外での売上・利益拡大を中心に、成長性・収益性の向上やキャッシュ・フローの改善など、バランスのとれた事業成長の実現を目指します。なお、NECグループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上などを目的とし、2017年3月期からの国際財務報告基準(IFRS)任意適用に向けた準備を進めます。
次年度も期初の目標を達成し、「成長の年」に相応しい業績を残すため、財務面からの取り組みを引き続き強化し、企業価値の継続的な向上をはかっていきます。