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3ヵ月で実装から運用までを実現した、V-SYSプロジェクト(ワクチン接種管理システム)。
一大プロジェクトの裏側を紐解きながら、セールス責任者である小川祐生とBPO責任者である坪昌宏が、社内外を巻き込むDXの体制づくりやマネジメント、DXの成功に必要なスキルなどについて語ります。
小川 祐生Sachio Ogawa
デジタルビジネスオファリング統括部
ディレクター
外資系SIerのセールスを経て、2019年12月にNEC入社。2020年4月より現組織の前身であるデジタルビジネスオファリング事業部長代理に。厚労省V-SYS案件では自ら顧客の最前線に立ちチームを牽引し、案件獲得、PJの成功に導いた立役者。Salesの先駆者として官公庁を中心にDXビジネスの営業活動をリードしている。BluStellar Innovators 100 Sales選出。
坪 昌宏Masahiro Tsubo
デジタルビジネスオファリング統括部
DX Offering Development & Sales
シニアプロフェッショナル
データマーケティング関連のJVの立ち上げからビジネスリードの担当を経て、2021年2月NEC入社。携わった厚労省V-SYSプロジェクトではカスタマー対応に従事。現在はそのラーニングを活かしたカスタマーインサイトに基づくBPOオファリングの開発や、DBPの主要なCapabilityを組み合せた提案による新規ディール創出にも注力している。BluStellar Innovators 100 Sales選出。
# DXプロジェクト成功の裏側
1時間ごとに状況が変わる。
求められる現場力とスピード力。
小川:
官公庁さまの場合、通常はじっくり時間をかけて仕様を決め、確実にシステムを実装するケースが多いです。しかし今回は従来の常識が全く通用しないプロジェクトでした。実装まで3ヵ月という期間では、仕様を完璧に仕上げてから動いていては到底間に合わない。しかし当然、失敗もできない。新型コロナウイルスの感染拡大という国難のなか、1日でも早く国民の皆様にワクチンを届けるため、今まで培ってきた営業力・交渉力・人間力の全てを出し切ったプロジェクトでした。
坪:
プロジェクトの現場では、1日どころか1時間ごとに状況が変わっていく。それに対してどうしていこうという打ち手を考えてスピーディーに対応しました。メンバーがここまでスピード感を持って動けた要因は、「ワクチンを早く適切に届ける」という共通のゴールを持っていたこと、またゴールに対して非常に高いモチベーションがあったことですね。
自社だけではなく、厚労省さまも同じ志を持って、一つ一つの課題に対して出来ることを対応してくださいましたよね。
小川:
本当に、厚労省さまとは、発注者や受注者の枠を超えた「戦友」でしたね。国難を乗り越えるための同志としてワンチームで動きました。今回は3ヵ月という短期間でしたが、その分達成すべきこと、ゴールが明確だった。
DXのプロジェクトでは長期的に組織のメンバーを動かしていく場合が多いと思いますが、どれだけ大きなプロジェクトになったとしても、社内外のメンバーが同じ目的を持つことは大切になってくると思います。
# 社内メンバーを巻き込む秘訣
「ちょっと空いてる?」
でメンバーを巻き込む。
小川:
セールスの責任者として意識したことは「人を巻き込む力」。自分一人が頑張ったところでその成果は限られるので、いかに社内外に仲間を増やして助けてもらう環境を作るかという点が大事です。言われたことだけやっていたらまず間に合わない。社内メンバーに対しては、重要なポイントは伝えるんですが、あとは自分で考えて動いてもらっています。
坪:
今回、私は小川さんから誘われてプロジェクトに参画したのですが、スタートは小川さんの「ちょっと空いてる?」でした。話を聞いてみると、V-SYSのプロジェクトルームに行って欲しいと。最初1ヶ月だけよろしくと言われて、気づけば1年半ぐらい経ちましたね(笑)。
小川:
そもそも坪さんは本来セールスなんですが、コミュニケーション能力の高さを買って、今回のプロジェクトではBPO*1のリーダーに任命しました。限られた時間の中で、キーとなる役割に適任者を配置する。これはお客さまに対してもそうですね。
坪:
お客さまも含めた、プロジェクトの適材適所ですよね。社外で言うと、ワンチームの中で、お客さまにしかできない役割は向こうで担っていただいて。そこが嚙み合って会話できたこともDXの成功の要因だと思います。
*1 BPO…ビジネス・プロセス・アウトソーシング。企業の業務プロセスを外部に委託すること。
# DXに必要な環境
チャレンジを許してくれる
環境で、
能動的に動く。
坪:
またDXのプロジェクトでは、チャレンジを許してくれる環境は非常に重要ですね。目の前のことに臨機応変に対応していく中で「少しも失敗できない」と考えてしまうと、どうしても保守的になってしまうのかなと。するとスピード感が失われてしまうんですね。デジタル化しなくても良かったとなりかねない。お客さま側の姿勢もそうですし、何より社内のプロジェクトリーダーが、現場のチャレンジを許してくれたことがDXの成功につながったと思います。
変わっていく課題に対して、その内容を汲み取って自分が何をすべきかいうのを考えながら「やってみる」。チャレンジを積み重ねると、小さな失敗というのはどうしても付いてきてしまう。失敗は失敗で終わらせず、次はどう改善していけばいいか、PDCAを回しながらプロジェクトを進めていきました。
# 成功に不可欠な「ハイヤーマネジメント」
「使えるカード」を見極め、
上司を動かす。
小川:
大きなプロジェクトを進めるとき、上司の協力をいかに得るかが凄く重要だと考えています。上司はそれぞれの権限によって“使えるカード”が違いますし、上司を巻き込めば使える力が増えます。その点で今回はプロジェクトの最高責任者である吉崎さん(=NEC執行役員常務)にサポートしていただきました。吉崎さんには、プロジェクトルームに2~3週間常駐していただいて。
坪:
吉崎さんが現場を見ていたことは非常に大きかったですね。プロジェクトルームから離れられたあとも、適切なアドバイスを貰えました。「プロジェクトの責任者が最前線の状況を理解している」というのは現場側から見ると非常に重要だと思います。
小川:
サービスデスクのフロアとか、ふらふらしてたよね。わざとかな(笑)。
坪:
そうですね(笑)。吉崎さんからはプロジェクトの先を見据えたアドバイスなんかも貰えたりして、今回のプロジェクトが終わっても、会社として今回得られたナレッジを溜めていかないといけないなと感じました。
# セールスに求められる交渉スキル
お客さまに配慮しながら、
互いに言い合える環境を作る。
小川:
セールスとして社外交渉に当たる際は、①お客さまの気持ちも含めつつ②現場の立場も主張する。この二つを意識します。お互い譲歩しながらも、「出来ること」「出来ないこと」「頑張れること」の三つを率直に話していく。そういう会話ができる関係性の構築も非常に重要ですね。
「お客さまに尽くす」という言葉がありますが、お客さまのために自社側が多大な負担を強いられるプロジェクトは健全ではないと私は考えます。社員の頑張りが報われないと社内のモチベーションも下がってしまい、結果的にプロジェクトが悪い方向へ向かってしまう。いつ言うべきか、どう言うべきかは営業として非常に意識しながらも、今回も伝えるべき内容は伝えていきました。
坪:
本当にお客さまとは同志のような感覚ですね。今回のプロジェクトで記憶に残っているのが、普段はきちっとスーツを着た先方の担当者さまが、可愛らしいTシャツで(NECに)来たことですね。和やかな雰囲気のなか、会議室で課題を整理しました。本当にワンチームというか、一つのゴールに向けてお互いが最大限に力を発揮している環境は、メンバーのモチベーションが上がりましたし、DXの成果にも繋がったと思います。
# DXの本質と価値提供
DXを前に進めるために、
泥臭いことに目を向ける。
小川:
DXというと、割ときらびやかなイメージで語られることも多いかもしれないけれど、実際の現場は非常に泥臭いことも多いですね。例えば、DXを前に進めるための課題がたくさんある中で、「利用者側のITリテラシーの問題」などはもっとフォーカスが当たっても良いのかなと。
坪:
今回のプロジェクトで言うと、ワクチン接種管理システムを動かすためには、10万人を超える接種関係者にログインしてもらう必要がありました。自治体・医療従事者・卸業者ごとに最適なマニュアルを作成し、ITリテラシーの問題に対しては電話対応で一つ一つ解決していきました。
小川:
DXはシステムの構築が取り上げられることも多いですが、
今後、日本国内でDXを進める上では「運用面、プロセスをどう回していくか」のBPOの部分が非常に重要になるんじゃないかなと思っています。
坪:
利用者と向き合って、利用者から得られたインサイトを開発に伝えて、さらなるテクノロジーを開発する。世の中ではDevOps*2と言われる領域ですけど、それを実現できるテクノロジーとサポートが備わっていて、共にPDCAを回していける体制こそが、利用者への価値提供につながってくると思います。
*2 DevOps…開発担当者と運用担当者が協力し、システムを柔軟かつ迅速にアップデートしていく手法のこと。
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AI・アナリティクス事業部 兼
データサイエンス研究所 シニアデータアナリスト -
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顔認証を世界に通用する「サイエンス」にする。
今岡 仁
NEC フェロー
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孝忠 大輔
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NECアカデミー for AI学長 -
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受発注の壁を超えワンチームで進む。
小川 祐生
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デジタルビジネスオファリング統括部
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