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コラム

第3回 「EMC対策とは?」(2)

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EMC対策の方法の種類

EMC対策部品(コンデンサやシールド)でEMC対策する

これまでの説明にあったようにノイズ障害は、ノイズの加害者から被害者へ伝達経路やアンテナを伝ってノイズが伝搬することで発生します。
そのためそれらの伝搬経路でノイズを遮断する対策がとられています。
ノイズの伝導には空間伝導と導体伝導の2種類がありますが、主に空間伝導にはシールドが、導体伝導にはフィルタが使われます。

シールドとは、対象物を金属などの板で囲うことで周囲から電磁界を遮蔽することを指します。通常の電子機器のノイズ対策では、アルミ箔などのごく薄い金属板でも十分に大きな効果が得られます。

フィルタとは、導体を流れる電流の必要な成分だけを通し、不要な成分を除去する部品を指します。電子機器のノイズは比較的高周波域に偏在していますので、フィルタには高周波成分を除去するローパスフィルタを用います。
このローパスフィルタには、インダクタ(コイル)や抵抗、コンデンサなどの汎用部品が使われています。
また、シールドやフィルタを有効に働かせるためには、安定したグランドに接続させることが必要です。

シミュレーターでEMC対策する

各種のEMC試験に適合させるためには、EMC対策を施した試作基板を作成し、EMC試験を行います。ここでEMCの問題が発見された場合、再度設計からやり直したり、多くの対策部品を実装させたりする必要があります。これにより設計者の工数が膨らみ、設計期間を長引かせる要因となってしまうと共に、対策部品の費用がかさむことで原価を膨らませてしまいます。

そこで、CADによる設計段階において、EMCのシミュレーションを行うことで、これらのコストや設計リードタイムを削減する方法が取られています。
ノイズ対策シミュレーションツールの代表的なものとしてNECの「DEMITASNX」があります。ここでは、その主な機能を紹介しておきます。

(1)EMIチェック機能

EMIの原因となる部品配置や配線、プレーンを抽出し、その対策案を示します。DEMITASNXで行うEMIチェック項目はNECの研究所と国内外の大学で検証されたEMIとの関連が理論的に裏付けられた項目を厳選して採用されています。また、EMIチェックの結果、多くの対策が必要となった場合、DEMITASNXがスクリーニングを行い、ノイズ低減に効果的な箇所を絞りこむことができます。更にノイズ対策が必要な箇所をCADの図面上に表示すると共に、その対策方法のアドバイスも提示されます。

(2)電源・グランドプレーン共振解析機能

EMIの大きな要因となる電源プレーンとグランドプレーンの共振を解析します。解析結果は周波数特性と電圧分布で確認できます。解析結果は周波数特性と電圧分布で確認できます。周波数特性では、危険な周波数と共振電圧の大きさを確認できます。電圧分布表示では共振電圧の大きい箇所を暖色系の色で表示するため、対策部品の配置箇所が容易に判断できます。またキャパシタ自動配置機能により、適切な箇所に最適な容量のキャパシタを自動で配置します。

(3)ESDチェック機能(オプション)

プリント基板上でESDノイズを受けやすい箇所を検出し修正アドバイスを行います。

(4)PIチェック機能(オプション)

パワーインテグリティーの解析機能です。LSIが誤動作しないためのキャパシタの位置、値を検討することができます。

シミュレーター「DEMITASNX」を使ったEMC対策例

制御盤のEMC対策例

制御盤の頭脳部となるPLC(Programable Logic Controller)といったシーケンサにおいては、入力となる各種センサー情報を処理し、フェーズに応じて次の動作命令を出します。
通常センサー情報は電圧に変換されていて、他の回路からのノイズの影響を受けないような設計が求められます。
また、情報処理部は高速な処理が求められ、ノイズを出しやすい状況になっているため、特にセンサー部へ影響を与えないようにしながら高速な処理をする設計が求められます。さらに、出力となる動作命令もノイズによる影響が無いことも求められます。デジタル・アナログ回路が混在した基板では、プレーンが必然的に分割され、リターンパスの分断も起きやすくなりルールチェッカによるノイズ対策が求められています。

スマホのEMC対策例

小型化・省電力化・高速処理に加えて、軽量化・耐水・防塵が性能として求められます。
また、通信機能として920MHz、2.4GHzなどを利用しているためその特定周波数へのノイズ対策は不可欠です。特に小型化のために対策部品が使えず、基板上のパターン・ヴィアによる対策が求められます。これらの対策は手作業によるチェックでは難しく、特に特定周波数帯に対するルールチェックによる対策が必須になっています。

車載のEMC対策例

自動車にはECU(Electric Control Unit)と呼ばれる電子制御ユニットが1台の自動車に数百個も装備されていて、自動運転・運転アシスト、空調・ドア開閉・シート調整・音響・各種部品の故障前検知など安全・快適性を実現する機能が実装されています。車載ECUでは、低消費電力・小型化以外にも安全性を最優先にしたフェールセーフ性能も求められます。

低周波数帯で動作するユニットが多いものの、低い周波数帯でも特にAM・FM帯といった1~100MHz付近のノイズ対策も強く求められ、かつ近くにある高速周波数帯を使ったユニットからのイミュニティ耐性も求められます。このような周波数帯域では大部分が電動ノイズで対策部品の適切な配置が求められます。

これらの問題を解決するためには、一般的には回路シミュレーターが用いられますが、回路図レベルの解析ではパターン幅やヴィアの数など銅箔情報をモデル化できない問題があり、最終的な判断には利用できない欠点があります。

また、電磁界シミュレーターを使う方法もありますが、もともと数十GHzといった高周波数帯域まで解析できるようなモデル化が行われるため設定・解析の時間がかかってしまいます。

DEMITASNX / PIStreamでは数GHzまでに適した解析モデルを生成して解析するため効率的な解析ができ、さらに対策部品の位置や定数を簡単に編集でき、プレーン・ヴィアといったパターン編集による効果も確認できるようになっています。

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