Japan
サイト内の現在位置

「SE(システムエンジニア)時代に学んだことは、今も、仕事をする上でのベースになっています」──NECでCorporate SEVP 兼 Co-COO(Chief Operating Officer)を務める堺 和宏は、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーとして長年最前線で活躍し、現在はITサービスセグメントの責任者としてNECグループのITサービス事業を束ねています。その堺がぶれずにキーワードに挙げるのは”お客さま”。2025中期経営計画の最終年度に入る今、堺がめざすNECグループのこれからを尋ねました。
トラブルを経て「プロジェクトリーダーは堺さんで」
── SEとして、長くキャリアを築いてきました。
1988年にNECに入社し、15年ほどお客さまのところに常駐しながらシステム開発の仕事を担当していました。営業も経験しましたが、役員になるまでの28年間のキャリアは、現在のOMCS・通信キャリアソリューション事業部門で重ねたものです。
印象に残っているのは主任時代の出来事です。ある重大システム障害の復旧のために休日のマシンセンターで作業をしていると、お客さまの役員の方が様子を見にいらっしゃいました。正式な報告や謝罪は翌日に予定していましたが、最新の対応状況を自分なりに説明したところ、以降、頻繁にシステムに関連する質問や相談をいただくようになったのです。その方が、後日行われた商談コンペの場で「NECさんにお願いしたい。プロジェクトリーダーは堺さんで」と指名してくださったことは今も忘れられません。
── トラブルをきっかけに信頼を得たのですね。
トラブル対応に最も重要なのは、お客さまの提供サービスの詳細とそのサービスの影響範囲をしっかり踏まえることです。ただ単に復旧させれば良いというものではなく、対応のレベルがお客さまの困りごとにマッチしていて初めて信頼を得ることができる。SE時代に学んだことは、それ以降、私が仕事をする上でのベースになっています。
好調なITサービス事業 「BluStellar」で順調に利益
── 2025中期経営計画は最終年度に入ります。ITサービスセグメントの手ごたえは。
2024年に発表したお客さまを未来に導く価値提供モデル「BluStellar」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する「コアDX事業」を再定義したもので、この領域で順調に売上と利益を伸ばしています。
それ以外の「ベース事業」についても、ITサービス需要の上昇を受け、既存システムのモダナイゼーションなど、もともとの強みを活かせる領域を大きく伸ばし、2025中期経営計画で掲げた目標を達成できる見通しです。
もちろん、一朝一夕でこの状況を実現できたわけではありません。1つ前の中期経営計画の期間中に、近い将来、クラウド化が進むことを想定し、AWS(Amazon Web Services)と提携して技術者を育成したり、エンタープライズ領域では、お客さまごとに個別に開発・提供してきたSI(システムインテグレーション)をパターン化し「SIモデル」という形でスピーディかつリピータブルにバリューとして提供できる取り組みを始めたりと、成長と利益率の向上を図ってきました。
この取り組みをパブリックなど他の領域にも横展開することで、現在、市場の伸びをうまく捉えることができています。デジタルガバメント・デジタルファイナンス領域や海外のITサービス領域についてもさらなる成長を目指します。

── お客さまを軸とした取り組みが強化されている印象です。
信頼を得るために、NECとして出来うる最大限のことを最速で行い、お客さまが必要としていることのプラスアルファをプロフェッショナルの力で実現する。この意識は私の駆け出しのころから変わっていません。今はその取り組みを加速させています。
ビジネスは「人」ありき DX人材1万2500人で成長実現
── まさに駆け出しのころ、今のようなかじ取り役となる想像はしていましたか。
まったく想像していなかったです。お客様のプロジェクト拠点常駐でほとんど会社に行っていなかったのですが、上司からは「お前みたいなやつを野放しにするととんでもないことになる」と言われていました(笑)。ある日その上司から、本社での会議に毎週出席するよう命じられたのですが、出てみると気づきが多かったです。
NECグループには、かつての私のようにお客さま先に常駐している社員も数多くいます。ずっと社外で仕事をしていると、NECグループの社員だというアイデンティティを感じにくくなるものです。そこで大切になるのがNEC WayやPurposeといった、NECグループとしての一体感が感じられる“拠り所”だと思っています。

── マネジメントもビジネスも、根底には「人」があります。
ビジネス成長のカギは、市場にマッチした能力・スキルを持つ“適切な人材”を増やすことです。2025中期経営計画で掲げた「2025年度までにDX人材を1万人にする」という目標は1年前倒して2024年に達成し、今は1万2500人を目標に取り組んでいます。人材をアサインする「場」も必要なので、少し先の事業規模見込みと必要な人材の数を数値化し、計画的に人材の育成・獲得を図っています。
── 2025中期経営計画には「先」があります。
ITサービス事業を担当するCo-COOとしては、2025中期経営計画の目標達成に向けてある程度の手ごたえを感じています。一方で、われわれを取り巻く環境をふまえるとプラスになるのはある意味で当たり前とも言えます。
現在掲げている目標は最低ラインであり、2025年は通過点です。お客さまの信頼を得て、お客さまに新たな価値を提供する。この原点に何度でも立ち返って、NECグループをより一層、社会の役に立つ、社会価値のある会社にしていきます。