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国籍・地域・組織を超えたシナジーを 室岡Chief Global Strategy Officer

世界50カ国以上、284拠点に11万人の社員を抱えるNECグループ。時代の移り変わりに合わせて、グローバルに提供する製品・サービスやビジネスモデル、そして組織の構造を変えてきました。変化の荒波の中に常に身を置き、海外の第一線で汗をかいてきたのが、2024年4月からNEC Corporate SVP 兼 CGSO(Chief Global Strategy Officer)となった室岡光浩です。「海外で働く社員も日本で働く社員も同じ。ボーダーはない」との信念のもと、国籍・地域・部門組織を超えてシナジーを生み出すことを志します。彼の言葉から、NECのグローバル変革の側面がうかがえます。

──香港・中国・アメリカ・オーストラリアへの赴任など、入社以来、海外事業に従事してきました。

海外のフロントで自分の力を試したいと、上司に訴え続けてやっと海外赴任が叶いました。30歳の時のことです。任地の香港は活発なビジネス環境で、新規事業立ち上げなど多忙な8年間を過ごしました。在籍中に挑戦した経営学修士(MBA)では「やってみなければ、気づきも生まれない。気づきがなければ新しいものは生まれない」との言葉を体感しました。NECで前例のないプロジェクトに挑戦する時もありましたが、不確実な状況下でも意思決定をしなければなりません。しかし、決断してやってみることで気づきを得られますし、新たな可能性が開けます。

──創立125年を迎えるNECの歴史の中で、海外事業は変化を重ねています。

海外での歴史は約70年になります。かつては日本からの輸出型ビジネスで、社会インフラに関わる基幹システム、半導体、携帯電話などハードウェアが中心でした。世界トップ3社の一角を担う海底ケーブルの他は多くが姿を変え、現在はソフトウェアおよびデジタルサービスへと事業の軸足が移っています。一例が顔認証をはじめとする生体認証技術を活用したデジタルIDソリューションですが、テレコム部門のNetcracker、NEC Software Solutions UKやKMD、Avaloqといった政府や銀行向けデジタルサービスを提供する企業をグループに迎え入れ、事業分野が広がりました。
ICTを活用したデジタルソリューション型の事業にシフトしたことで、より現地に根差すビジネスモデルになりました。これに伴い「日本を含むグローバル」の意識のもと、グローバル化に向けた様々な変革を実行しています。例えば会社全体の事業開発拠点であるCenter of ExcellenceやAI・社会ソリューションの研究開発を推進する研究所を日本以外の国々に多数設置し、現地法人の社長や幹部にも現地出身者を多く登用しています。

──2023年度には大きな組織再編もありました。

グローバルビジネスユニットとして1つの組織だった海外事業部門を発展的に解消し、各ビジネスユニット(BU)のもとで事業を進めていくかたちに変革しました。NECでは日本を含むグローバルという新たな視点を持つマトリクス体制が始まっています。その中では時に、事業を存続するか否かのような大きな決断も求められました。痛みを伴いますが、実行しなければ利益ある事業の成長は実現できません。こうした厳しい戦略推進についてもオープンな姿勢で取り組み、社員の理解を得て浸透させることが重要だと考えています。

──多様なバックグラウンドをもつ社員の理解と、チームとして力を発揮することは難しくありませんか。

大切なことは「共感させる力」です。文化や考え方の違いを理解し、人の心や道理に配慮したうえで、いかにワクワクさせられるか。小さな例ですが、メンバーの人となりを知る、仲間同士をつなぐためにワークショップや直接対話するラウンドテーブルのような活動も数多く設けています。Do the right thing、火中の栗を拾うような難しい課題を自ら進んで取り組むことで、風通しの良い組織になれば共感が集まり、切磋琢磨する仲間を得られる。私にとって大きな糧となった経験です。

──海外事業戦略をリードするCGSOに就任しました。

長らく海外拠点の現場に身を置き、多くの困難に直面してきました。だからこそ「現場を理解しているリーダー」でありたいという思いは人一倍強いです。席は東京本社にありますが、積極的に現地に出向いてお客様を訪問しますし、海外拠点の多くの社員と直接対話を重ねています。特に構造改革や事業売却などの再編を経験した現場では社員に困難を強いました。彼らの不安を少しでも和らげたいという私の思いを直接伝えてきました。頑張っている各国の社員のことをNECグループの仲間にもっと知ってもらいたいとの思いもあります。

──NECグループは「真のグローバルカンパニー」となることを目指しています。

NECのグローバル事業は今後、BUが全社視点で戦略をとらえて全体最適で実行していきます。縦割りの「サイロ思考」から、組織横断で共創できる「オープン思考」へと変わらなければならない。ボーダレスな視点のもとでマトリクス経営を浸透させるわけです。そのためにCGSOとして常に広い視野を持ち、グローバル渉外という対外的な役割も含め、社内外の俯瞰的な立場から各事業を担う経営陣や事業部門と積極的に議論を始めています。
重要なポジションへのグローバル人材の登用や育成も進めています。地域・部門・組織を超えたマルチカルチャーな環境でシナジーを生み出すために幅広い経験を積んでほしい。そのための機会をどんどん設けて、「挑戦する人の、NEC」文化を養う。グローバル規模で進めるトランスフォーメーションの意味を理解したうえで、一人ひとりがその推進力となり、「輝く個人」になっていただきたい。

──これから世界にどんな社会価値を届けていきますか。

NECグループの事業領域は皆さんの目には見えないものばかりですが、それらは社会、政府、企業、アカデミア、更には個人に至るまで、ミッションクリティカルな基盤を支える重要なソリューションやサービスです。お客様に素晴らしいサービスを提供して体感していただき、感謝いただくことが最終的な評価=利益へと繋がります。私たちが掲げる『安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指す』とのPurpose(存在意義)。この実現のために真摯な姿勢でお客様に向き合い、信頼を構築しながら世の中へ貢献していきたい。 私たちは“A Japanese Company for Global Society”です。日本が出自のグローバルカンパニーとしての信頼感のもと、私たちにしかできない経済価値・社会価値を同時に実現し、イノベーションを生み出していく存在でありたいと思っています。