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未来を創る -次世代が拓く研究:野寄 修平
2026年3月27日
看護学とAIの知識から、独自の医療AI研究を目指す

バイオメトリクス研究所
主任
野寄 修平
健康科学・看護学の博士課程修了後、2021年4月にNECへ入社。看護師。医療・ヘルスケア分野の人工知能技術の研究開発に携わる。「データ分析遊び」ではなく、未来へ資する新しい示唆を道き出すことがモットー。既存データの分析における限界を自覚しながら、分析結果をもとに何ができるかを実務家(者)と一緒に考えて解決策を実装することに注力している。

工学から看護学へ
私はもともと中学時代にロボコンに取り組んでいたこともあり、大学入学時には工学系の学部に進学しました。しかし、進級時の学科選択の際に聞いた看護学の先生の講義が面白くて忘れられず、健康科学や看護学の道に進むことを決意しました。すこし変わった道だとは思いますが、この選択が結果として看護学と工学を組み合わせるという独自の研究スタンスを築き上げることにつながったと思います。
博士まで進み、医学と工学の横断領域である医工学の看護学版のような研究の開拓をめざす教授のもとで研究していたのですが、技術の社会実装には、企業による資本や販路、開発ノウハウが必要だと実感するようになり、いつしか企業研究者を目指すようになりました。また、安定した金銭や身分を得ることも大きな理由だったことも事実です。
企業のなかでもNECを選んだきっかけは、インターンでの経験でした。博士課程在籍時に、NECの研究所のインターンに参加していたのです。大学で、当時隆盛していたデータサイエンスのコンペが開催されており、そこで出会ったデータサイエンス研究所(当時)の方からお誘いいただいて参加しました。
このときに体験した研究所の雰囲気が大学の研究室に似ていて、「昨夜は論文の投稿で夜遅くなったから」と先輩が遅めに出社してくるなど、スーパーフレックス制(注1)ならではの自由さがあって良い環境だなと思っていたのです。
さらに、当時NECは医療・ヘルスケア分野を成長領域と位置付けて本格的に力を入れ始めていました。定款変更もかけて医療機器製造販売の免許も取得していたこともあり、これまでの自分の研究に近いことができると思って志望しました。
ちなみに、入社面接にあたっては大学との兼業が可能か打診のうえで採用ステップに進みました。大学院修了後も、当時の研究を継続したかったからです。幸いNECには同様に大学との兼業をしている方も多いとのことで、問題なく採用していただくことができました。現在も客員研究員や非常勤講師として大学でも研究を続けています。

「データ分析遊び」で終わらない研究を目指す
入社後に取り組んだのは、姿勢評価に関する画像認識AIの開発でした。東京医科歯科大学(現:東京科学大学)との共同研究です。スマートフォンやタブレットPCのカメラで前屈・後屈・回旋の様子を撮影するだけで一人ひとりの姿勢を評価するというシステムの開発に携わりました。開発にあたっては、事業部と協力しながら「NECカラダケア」という実店舗を立ち上げ、プロトタイプを運用してフィードバックを得ながら、より実用的なものに改善していきました。本システムは、テレビのバラエティ番組でも取り上げていただいたこともありました。
研究で大切にしているのは「データ分析遊び」で終わらないということです。分析者からすると、既存データの分析は、ともするとそれだけで楽しく感じてしまうものです。しかし、過去のデータを見ているだけで何か新しい事業への示唆が得られるかというと、そのようなことはありません。有名なデータ分析の逸話で、購買履歴の大規模データからオムツとビールが同時に買われるという発見があったというような話もありますが、そのような例は稀です。当たり前ですが、過去のデータには、これまでやってきたことしか存在しません。無条件に未来につながる知見が得られるものではないのです。データと分析結果をもとに、実務を担う現場の方と「この先、何をしたらいいか」を一緒に考えることこそが、社会に実装する技術を生み出すために重要だと思っています。どんなに精度が良い分析技術を生み出しても、それをどう使うかという視点や仕組みが構成できなければ役に立たないことと同じです。
こうした視点に立って、現在は電子カルテの情報をもとに患者さんの状態評価を支援するAIの開発を進めています。病院の現場で働く医療従事者の方々と連携しつつ、新しい示唆を与え得るシステムを研究中です。

若手から上司への提案を促進する仕組み
NECは福利厚生が充実していて働きやすい環境だと思いますが、キャリア採用で入社された方たちからよく聞くのは「下から上に提言しやすい空気がある」ということです。「あり得ないレベルだ」という話さえ聞きます。確かに、上司への新しい研究テーマや事業の提案は会社的にも奨励されていて、行動評価における1つのポイントにもなっています。また、それだけにとどまらず、研究所内にはこれまで事業開発の第一線で活躍してきたプロフェッショナルが在籍していて、若手が相談しにいくと、サーベイのやり方から事業開発のフローまでを丁寧に教えてくれます。壁打ち的にやり取りをして、上司へ提案するためのロジック構築をサポートしてくれるので、事業化の知識が無くても一から学ぶことができるのです。研究開発から事業化への流れを加速させようとする会社の風土を感じさせる仕組みだと思います。
また、NECの研究所には多彩な人材がいることも特長です。私自身も看護師資格をもっていますし、理学療法士の資格・経験をもった研究者もいます。これは、個人のポテンシャルを見て採用している結果であるかもしれません。NECには入社時まではAIもコーディングもまったく知らないけれども、数学や物理学などの1点の専門分野が非常に秀でている点を評価して、多くの研究者を採用してきた実績があります。実際、そのような基礎科学出身の方々がたくさん活躍しています。多様な方に広く門戸が開かれた、面白い職場だと思います。
私の一日ご紹介


学生時代の自分へ

休みの日、何してる?
妻と2人の子どもとの時間を過ごしています。水族館の近くにある公園によく行くのですが、気まぐれな「水族館に行きたい!」の声に応えるために、年間パスを購入しました。また、雨の日など外に行けない日は、クッキーづくりに挑戦しています。レシピに書かれた砂糖の量に驚いてこっそり減らしながらも、子どもと一緒につくって楽しんでいます。

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