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インターン体験記インタビュー:キッティサレス サリン

2024年4月10日

インターン時の研究が国際学会採択論文へ発展

キッティサレス サリン

ビジュアルインテリジェンス研究所
研究員
キッティサレス サリン

タイ出身。2023 年に日本の大学院で博士課程修了後、NECへ入社。学生時代は機械工学を専攻し、高齢者・障がい者の身体の動きを支援するパワードスーツの研究を進めていたが、入社後はAIを活用したロボットの遠隔制御技術を中心に研究を進めている。

機械工学の知見を広めるためにAI制御のインターンへ

NECのインターンに応募したのは、参加していた卓越大学院プログラムがきっかけです。修了のためには2つのインターンに参加する必要があったので、その1つとしていくつかのプログラムの中からNECを選んだのです。当時私が応募したテーマは、AIによるロボット制御でした。もともと私もロボットの研究をしていましたが、当時の専門はパワードスーツなどのハードウェアが中心です。AIやプログラミングは大学の授業で学習した程度でしたが、知見を広げられる良い機会だと感じて挑戦することにしました。

インターン前には、社員の方と話し合ってどんなテーマに取り組むか決めていきました。AIを使った制御という軸は決まっていましたが、AGV(無人搬送車)やドローン、油圧ショベルなどの複数アプリケーションから一つを選ぶというかたちでした。私はその中から倉庫などで活用されているAGVを選んで研究に取り組んでいきました。

インターンの期間は2カ月程度で、出社する日は10時くらいに出社して16時半くらいに帰宅するという感じでしたね(注1)。テレワークも可能でしたが、実験からデータを取得する必要があったので、出社の機会も多かったです。実験で得られたデータを分析するときには自宅で作業をしていました。だいたい出社とテレワークが半々くらいだったと思います。

  • 注1
    インターンの就業時間は個々人の通勤事情など個別の状況をふまえて調整することが可能です。
    留学生のため1週間に28時間の職業時間の制限があります。

インターン終了後も、アルバイトとして共同研究に参加

インターン時に関わった研究は、現在プレスリリースもされているリスクセンシティブ確率制御技術です。この技術では制御時の誤差を予測するモデルが使われているのですが、私はこのモデルの研究に携わりました。まずゲームパッドを使ってロボットを制御するプログラム書き、次にゲームパッドを使ってロボットにさまざまな命令を送り、理想的な経路と実際の経路の比較を繰り返す実験を行いました。この実験から、キャスターホイールの角度がロボットの動きに非常に大きな影響を与えることがわかったので、ここに注目して誤差を高精度に予測するモデルをつくっていきました。

インターン期間中にモデルをつくるところまでできましたが道半ば、という状態だったところ、チームのリーダーから、継続して論文を書き上げるところまでやらないか、と声をかけてもらえたので、時期を改めて再開することにしました。再開する時は、作業するうえでNECのデータにアクセスする必要があったため、アルバイトの雇用契約を締結して実施しています。ここで書き上げた論文は、自動制御分野で最大規模の国際会議IFAC 2023で採択されました(注2)。

  • 注2
    S.Kittisares, S. Yasuda, T. Kumagai, and H. Yoshida, ‘Error Prediction of a Differential Drive Wheeled Robot with a Swivel Caster Wheel’, IFAC-PapersOnLine, vol. 56, no. 2, pp. 6813–6819, Jan. 2023, doi: 10.1016/j.ifacol.2023.10.394.

インターン期間中のある1日をご紹介(テレワークの日)

9:00
始業
データの分析
会議の発表資料の作成
論文を書く
12:00
ランチ(自分で作る)
13:00
(1~2週に1回)進捗報告と相談
13:30
データの分析
会議の発表資料の作成
論文を書く
15:15
チャットでの進捗報告
先輩研究者と相談
15:30
終業

インターン期間中のある1日をご紹介(出社の日)

10:00
KBIC (研究室)に出社
プログラミング
実験
データ収集
先輩研究者と相談
12:00
食堂でランチ
13:00
プログラミング
実験
データ収集
先輩研究者と相談
16:15
チャットでの進捗報告
先輩研究者と相談
16:30
帰宅

信頼できる研究環境から自分の目標をめざす

もともと博士課程修了後には企業へ就職することを考えていたのですが、そろそろ就職活動を始めようかというときにインターン時の上司からNECで選考が始まることを聞きました。当時取り組んでいた研究について情報交換したあとすぐに応募したところ、非常にスピーディに選考が進み、内定の連絡を受けましたので喜んでNECに入社することに決めました。

インターン時からNECではテーマを明確に設定して取り組むことができましたし、メンターがついて毎日ケアをしてくださいました。NECのしっかりとした企業風土には好感を持っていましたし、周りの方が親切で、リラックスできる雰囲気があるというのも大事な点でしたね。

また、私は日本の大学院に通っていたので社内のコミュニケーションも基本的には日本語で行っていますが、研究者の方とは英語でコミュニケーションすることもできます。今も少し日本語では表現が難しいなと感じたら英語で議論していますし、言語面で困ることはまずありません。

私の目標は、高齢者の方が健康に生き生きと暮らすことができる社会をつくることです。移動を支援したり、工場や倉庫での作業負荷を軽減させたりすることができればいいですね。歳をとってから歩くのが不自由になってしまった母を助けたいというのが、私の研究の出発点です。タイでも日本と同じように高齢化が進んでいます。私のロボット技術が、高齢者の暮らしに少しでも役に立てればいいなと考えています。

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