2025年12月2日
日本電気株式会社

NECは、独自のAI技術「自動交渉AI」を活用し、製造業の調達業務において最良の取引条件を自律的に生成し、サプライヤと交渉する「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」を本年12月より提供開始します。本サービスは、製造業における複雑な納期・数量調整交渉を自動化することで、取引に係る交渉に費やされる膨大な時間を削減し、需要変動への迅速な対応と業務効率の大幅な向上を実現します。
NECは、2024年11月にNECグループ会社で実証実験を行い、約1,300品目の部品調達における取引先との納期・数量調整の自動化に成功しました。本実証では、購買側の担当者が介在せずAIのみで合意が達成された割合を示す「自動合意達成率」が95％に達し、取引先と同社双方にとって最適な条件で交渉が成立しました。これにより、従来数時間から数日を要していた交渉開始から完了までの調整時間をわずか約80秒に短縮できることを確認し、高い業務効率向上を実現しました。(注1)

昨今、製造業では、需要の多様化や、原材料調達から最終製品供給までのサプライチェーンが多岐にわたることで、製造業におけるステークホルダー間の交渉は複雑化しています。サプライチェーン全体のリードタイム短縮や多品種少量生産への対応が求められる中、調達業務はVUCA環境(注2)におけるリスク対応が不可欠であり、DX推進による効率化と迅速化が急務です。

しかし、多くの企業では、人材不足や業務の属人化、コスト圧力等を背景に、予期せぬ需要の増減に対して、生産体制や調達計画を迅速に最適化する対応力が不足しています。特に、部品や原材料の納期や数量調整は、生産計画に直結し、販売機会の損失にも繋がりかねない重要な業務である一方で、その複雑さと交渉に要する時間から、多くの品目について十分な調整が行き届かないという課題があります。

NECは、このような課題に対し、長年の研究で培った独自のAI技術を活用し、「自動交渉AI(注3)」を開発しました。本技術は、人間が介在することなく、システムが自律的に取引先と交渉を行い、最適な合意形成を支援します。これにより、人手では対応しきれなかった膨大な品目についても調達タイミングの調整を可能にし、過剰在庫の抑制や欠品防止、納期遅延回避を実現することで、需要変動に強いサプライチェーン体制を実現します。NECは、本サービスの提供により、複雑化するサプライチェーンにおける課題を解決し、お客さまの競争力強化に貢献します。

自動交渉AIの概要

自動交渉AIは、人間が実施している様々な調整を人間の代わりに調整・交渉するNEC独自のAI技術です。調整に際しての必須条件と望ましい条件を自動で導出し、双方にとって受け入れ可能で最適な条件を自動で提案します。AIと人間の調整・交渉だけでなく、AI間の調整・交渉も想定しています。

NECの自動交渉AIの強み

1. 独自の先進技術と圧倒的な知財ポートフォリオ

NECの自動交渉AIは、最良の合意形成を可能にするNEC独自の技術です。関連特許出願数28件(2025年2月現在)という業界最多の実績を誇ります。

2. 国内市場をリードする普及推進活動

NECは、「自律調整SCMコンソーシアム(注4)」の立ち上げを通じて、国内における調整業務の自動化と普及を強力に推進しています。技術提供に留まらず、産業全体のDXを牽引する立場から、日本の製造業の競争力強化に貢献します。

3. 国際標準化をリードするグローバルな信頼性

NECの自動交渉AI技術は、国連の標準化団体(UN/CEFACT)にてE-Negotiationの国際標準として採用されています。海外の取引先との交渉においても、国際標準に準拠した円滑な連携と合意形成を可能にし、グローバルサプライチェーンの最適化に貢献します。

本サービスの特長

1. 人手では困難な膨大な交渉業務の自動化と効率化

あらゆるオーダーの中から、在庫を最適化するための納期・数量調整が必要なオーダーを自動で検出し、交渉案を生成します。AIエージェントを介して取引先に交渉案を提示し、インタラクティブに交渉を実行することで、人手で行っていた膨大な調整業務を大幅に削減します。

2. サプライチェーン全体の最適化と機会損失の回避

自動交渉AIが取引データに基づき最適な交渉案を計算し、双方が納得するWin-Winな合意形成を支援します。これにより、欠品防止・納期遅延回避を実現し、販売機会のロスを低減します。過剰在庫の抑制にも貢献し、サプライチェーン全体のコスト最適化と柔軟性・安定性の向上を実現します。

3. 戦略的な調達業務の実現を支援

日常的な交渉業務の自動化により、調達担当者はより高度なサプライヤ戦略の策定やリスクマネジメント、新規サプライヤ開拓など、戦略的な業務に注力できるようになります。これにより、調達部門全体の生産性向上と付加価値創出に貢献します。

4. 既存システムとのシームレスな連携

ERP(注5)などの各種既存システムと連携することで、調達業務をワンストップで行えるDXを実現します。これにより、システム刷新の負担を抑えつつ、スムーズな導入と運用が可能です。

提供価格および提供目標

NECは、価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」(注6)のもと、業種横断の知見と最先端テクノロジーによりビジネスモデルを変革し、社会課題とお客さまの経営課題を解決に導きます。そのコアテクノロジーであるAIにおいては、NEC開発のAIコア技術「cotomi」(注7)を中核としたAIサービスを展開しています。今後もサービスや機能の拡充などさらなる付加価値の創出とともに、セキュアで安全・安心なAIサービスの提供を通じて、お客さまの課題解決を目指します。

以上

本サービスについて

URL：https://jpn.nec.com/ai/negotiation-ai/scm/procurement.html

本件に関するお客さまからのお問い合わせ先

NEC 調達交渉AIエージェントサービス お問合せ窓口
E-Mail：machine-customer@aiss.jp.nec.com