コラム

避けられないグローバル環境法規制への対応

避けられないグローバル環境法規制への対応

現在、欧州でのRoHS指令やREACH規則をはじめ、世界各地で化学物質に関する環境法規制が立法化・施行されています。 こうした法規制に未対応の企業は市場参入することさえ許されないため、企業にとって含有化学物質管理は早急かつ確実な対応が求められる重要課題になっています。

しかし、設計システムと含有化学物質管理がばらばらである場合、環境法規制への対応は、製品設計が完了して生産BOMが確定する、ものづくりの終盤段階になってから、品質保証部門や環境推進部門が、製品の含有化学物質の調査や集計、法規制判定を行うことになります。しかし、設計完了後に積み上げた集計結果が法規制に対応できていなかった場合に、製品設計に戻って設計からやり直さなくてはならず、顧客への納期が守れない、市場投入が遅れるという事態を引き起こしてしまいます。

これからは、製品開発のさらなるスピードアップと環境法規制対応の徹底のため、開発プロセスの上流段階から環境法規制対応を考慮する必要があります。そのためには、設計システムと化学物質管理システムを別々にするのではなく、PLM上で製品情報と含有化学物質情報を一元管理し、各部門で情報共有することで、設計段階から含有化学物質の集計や法規制判定をしたり、最初から法規制に適合した部材選定を行うなど、環境に配慮した製品設計を促進することが可能になります。

海外分散開発における最適なデータ配置

海外分散開発における最適なデータ配置

グローバルで分散開発するには、様々な課題(きめ細かいセキュリティ設定、排他制御、インターネット経由で複数国でのデータ共有やデータ交換の仕組みなど)をITシステム設計の要件として、考慮する必要があります。加えて、ものづくりの過程で発生する図面などの大量の設計データをどこに配置するのかを検討することも重要です。特にファイル容量が大きい3Dデータなどを遠隔地に置いて処理する場合、処理レスポンスが悪く、業務効率に影響するため、3Dデータは設計者の近くに配置するなどの工夫が必要です。

さらに、現地でのローカライズ設計を推進する場合でも、本社でガバナンスを効かせて設計資産を共有したいという場合には、本社所在国に一極集中でデータを管理することが適している場合もあるでしょう。一方で、現地主体の設計を促進するために、本社のデータをレプリケーションして現地にも配置するようなアプローチもあります。

設計データをどのように分散配置するかは、現地設計のアプローチや今後の事業戦略、現地事情などにより様々です。そして、自社のグローバルIT戦略を考える上で、クラウド環境をどう活用するかも、大きなターニングポイントとなります。これからのビジネスの変化に応じて、データの最適な配置方式を適切に選択していく必要があります。