ファイルサーバをNetAppに統合し、高速なファイルアクセス環境を実現
分散していたファイルサーバをNetAppに統合し、情報システム部門がまとめて管理できる環境を整備。さらにレプリケーション機能を使って遠隔地にデータを転送し、BCP対策も万全に
利用頻度の低いファイルを自動的にクラウドへ退避させ、ファイルサーバ容量のひっ迫を防止
ファイルサーバ統合管理ソフトウェア「NEC Information Assessment System」 (以下、NIAS)でファイルの利用状況を可視化し、1年間、未更新・未参照のファイルは自動的にクラウドへ退避させデータ増加によるNetAppの容量ひっ迫を防止
クラウドストレージの利用により容量の柔軟性を確保し、手間とコストを削減
安価で高い拡張性を備えたAmazon Simple Storage Service(以下、Amazon S3)を退避用のストレージとして利用することで増設に伴う管理の手間とコストを削減。
NECデータセンターにNetAppを導入しファイルサーバを統合。統合したファイルは、NIASの機能を使って利用状況やアクセス権を可視化し、情報システム部門がまとめて管理。使用頻度の低いファイルは、NIASに設定した任意のルールによりAWS Storage Gatewayを通してAmazon S3へ退避し、安全かつ効率的な運用を実現。さらに、BCP対策としてNetAppのレプリケーション機能により遠隔地のデータセンターでバックアップ。
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全国7カ所にファイルサーバが分散、ファイルの管理が煩雑化
住友ベークライト様は、日本初のプラスチック製造をおこなった会社を起源にもち、「プラスチックのパイオニア」として、グローバル規模で事業を展開。自動車・車両・航空機、エレクトロニクス・電機、土木・建築・住宅、産業資材、医療、バイオ、農業、機能包装、店舗装飾など幅広い用途に、さまざまな機能を持つプラスチックを提供しています。
同社が抱えていた課題は、全国の拠点ごとに設置されているファイルサーバの利用状況を把握できていないために重複ファイルや未利用ファイルを整理できないことと、年々増加するデータへの対応でした。
「全国7カ所にファイルサーバを設置していましたが、ここ数年でデータ量が急増していました。5年間で容量が15倍以上に増え、数年前に各拠点のファイルサーバを増強したのですが、容量不足の拠点が発生しており、このままファイルサーバを拡張し続けることにコスト面も含め限界を感じていました」と住友ベークライト 情報システム部 担当部長の松本利朗氏は説明します。
住友ベークライト様の関連会社としてシステム開発を担う住べ情報システムIT企画推進グループの北川正紀氏は「ファイルサーバは拠点ごとに管理され、ファイルの内容も数量も情報システム部門では把握できていませんでした。きちんと中身を把握できれば重複ファイルを削除するなどして容量不足を補えると考えたのですが、それも一時しのぎに過ぎず、いずれディスク容量が不足することは明らかでした」と、ファイル管理の課題を説明します。
住べ情報システムの牧田智裕氏は「以前、ファイルの利用状況を把握するため、コマンドベースでファイル名を抽出してデータベースに取り込み、整理しようと試みましたが、データ量が膨大過ぎて一覧表作成に1週間、データベース集計に3日もかかり、手作業では不可能だと判断しました」とデータ管理の困難さについて説明します。
NECにしか実現できないハイブリッドなソリューションを評価
住友ベークライト様から、容量不足という課題を解決するためクラウドへデータを退避できないかとの相談を受けたNECは、分散しているファイルサーバを統合するとともに、ファイル使用頻度に応じオンプレミスとクラウドへ適材適所にデータの配置が可能なハイブリッド・ファイルサーバソリューションを提案しました。
このソリューションの特徴は、NIASの機能を使ってすべてのファイル情報を自動的に収集して可視化するとともに、システム管理者が設定した任意のルールに基づいて、使用頻度の低いファイルは自動的にAmazon S3へ退避させられることです。これによりオンプレミスのファイルサーバの容量ひっ迫を防ぐとともに、安価で拡張性の高いAmazon S3を利用することで管理負荷低減とコスト削減を実現できます。
「NIASを使いオンプレミスとクラウドのストレージを融合するソリューションはNECにしか実現できないプランでしたし、ファイルサーバの容量不足という喫緊の問題を解決するだけではなく、将来的にデータ量が増えてもコストや手間を抑えて適切にファイルを管理し続けられることを評価し、導入しました」と松本氏は、NECのソリューションを採用した理由を話します。
「NIASにはアクセス権が不適切なファイルを特定し一括修正する機能もあるのでコンプライアンスの強化も期待できます。サポートに関してもクラウドも含めて窓口がNECに一本化されているので、安心して運用できます」と北川氏は、NECの提案力とサポート体制を評価します。
将来的なデータ増にも対応できるファイルサーバ環境を構築
NIASの機能を使い、既存ファイルサーバの状況を分析した結果、過去1年間に未参照、未更新のファイルが70%以上あることが判明しました。この結果を受けてファイルサーバ統合後は、1年間未参照・未更新のファイルを自動的にAmazon S3へ移動するルールを設定しました。退避したファイルのショートカットをファイルサーバに残すことで、ユーザはクラウド環境を意識することなくすべてのファイルを利用できます。これにより、使用頻度の高いファイルのアクセス性能は保ちつつ、容量の柔軟性とコスト削減を実現します。
今回のソリューションはAmazon S3を退避先として使うことにより、すべてのファイルをNetAppに格納し、ハードウェアを増設した場合の費用と比較して、5年間で約60%の運用コスト削減効果が見込まれます※。
「今まではファイルサーバ更改時に5年後を見据えて大容量のファイルサーバを導入してきましたが、今回は利用頻度の低いファイルを安価なクラウドへ移動できるので、ファイルサーバは必要最低限の容量で済みました。ハイブリッドなソリューションを導入したことで将来的にデータ量が増大してハードウェア増設の必要性がなく、管理するファイル数も少なくて済むことは、大きな導入効果だと思っています」と松本氏はソリューションの導入効果を話します。
「導入前の段階で、NECは社内に弊社と同じ環境を構築して懸念点を洗い出し、詳細な事前検証をしていただいたので、導入は非常にスムーズでした」と牧田氏は導入時のNECの対応を評価します。
オンプレミスとクラウドのストレージにNIASを組み合わせるハイブリッド・ファイルサーバソリューションは、多くの企業が抱えるデータ量増大の悩みを解消する有効な対策となっています。
年々増加するデータ容量に対して、管理工数やコストがかかるという課題をどのように解決できるのか─。その答えを導き出すのに最も苦労しました。当初はオンプレ案やオールクラウド案も検討しましたが、いずれもお客様の要望を網羅するものではありませんでした。何度も内部検討を重ね、NECの総合力を生かした構成案を組み上げました。しかし弊社内でも前例がなかったため、関連部門と密に連携しながら事前検証を行いました。さらに、実現に向けてお客様の不安要素を取り除いた上で、プロジェクトを進められたことが成功につながったと考えています。
昨今、ハイブリッドなデータ管理を選択されるお客様が増えつつある中で、データの置き場所となるオンプレストレージ、クラウドと合わせてそれらを管理するツール含めたトータルなご提案ができました。システム構築においては、オンプレ・クラウド間でシームレスにデータの最適配置を実現できることが大きなポイントでした。同じような課題をお持ちのお客様が今後も増えてくることが予測されます。今後は様々なクラウドに対しても、弊社で対応できるよう、提案内容・製品の改善を進めていきたいと考えております。
設立 | 1955年 |
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資本金 | 37,143百万円(2019年3月31日) |
所在地 | 東京都品川区東品川二丁目5番8号 天王洲パークサイドビル |
従業員数 | 単独 1,632名/連結 5,896名(同上) |
概要 | 日本初のプラスチック製造をおこなった会社を起源にもち、「プラスチックのパイオニア」として、グローバル規模で事業を展開。自動車・車両・航空機、エレクトロニクス・電機、土木・建築・住宅、産業資材、医療、バイオ、農業、機能包装、店舗装飾など幅広い用途に、さまざまな機能を持つプラスチックを提供しています。 |
URL | https://www.sumibe.co.jp/ |
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(2019年9月25日)