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飲食店における食品衛生責任者とは?資格取得の方法から役割・メリットまで徹底解説

飲食店を開業・経営している方の中には、「食品衛生責任者は本当に必要なのか」「資格取得が面倒で後回しにしている」「どうやって取得すればいいかわからない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
食品衛生責任者は、すべての飲食店に設置が法的に義務付けられており、資格者不在での営業は重大な法律違反となります。しかし、適切な知識を持って取り組めば、単なる法的義務の枠を超えて、経営上の大きなメリットを得ることができるのです。
本記事では、食品衛生責任者の基本的な役割から、食品衛生管理者との違い、資格取得の具体的な手順まで、飲食店経営者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。さらに、経営者自身が資格を取得することで得られるメリットについても詳しくお伝えします。
最後まで読むことで、食品衛生責任者の重要性を理解し、効率的な資格取得方法と経営への活用法を習得できるでしょう。安全・安心な店舗運営の実現に向けて、ぜひご一読ください。
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飲食店における食品衛生責任者とは

食品衛生責任者は、飲食店における衛生管理のリーダーとして重要な役割を担う専門職です。
食品を扱うすべての施設において、安全で衛生的な食品提供を実現するため、法的に設置が義務付けられています。この資格保有者は、店舗の衛生状態を維持し、食中毒などの事故を未然に防ぐための管理業務を一手に担います。
設置義務と法的根拠
飲食店における食品衛生責任者の設置は、食品衛生法第48条によって明確に義務付けられています。そのため、すべての飲食店は、1店舗につき最低1名の食品衛生責任者を配置しなければなりません。
重要なポイントは、複数店舗を運営する場合でも、各店舗に専任の責任者が必要になることです。兼任は法的に認められておらず、各店舗の安全管理を徹底するための厳格なルールが設けられています。
なお、開業時に資格者の確保が間に合わない場合は、「食品衛生責任者設置誓約書」を保健所に提出することで、一時的な営業開始の猶予を受けることができます。
参考元:e-Gov 法令検索(食品衛生法)
飲食店に食品衛生責任者を設置しなかった場合
食品衛生責任者を設置せずに営業を継続した場合、段階的な処分を経て最終的には深刻な法的処罰の対象となります。
まず保健所による改善指導が行われ、それに従わない場合は行政処分として営業許可の取り消しや営業停止命令が下される可能性があります。さらに、これらの行政処分に従わずに営業を継続した場合、食品衛生法の罰則規定により拘禁刑や罰金刑が科される恐れもあるでしょう。
また、他人名義を借りた運営(名義貸し)についても同様の処分対象となるため、注意が必要です。ただし、新規開業時など特別な事情がある場合は、前述の誓約書提出により猶予期間が設けられるため、適切な手続きを踏むことで合法的な営業継続が可能になります。
食品衛生責任者と食品衛生管理者の違い

食品衛生に関わる資格として、「食品衛生責任者」と「食品衛生管理者」という2つの似た名称の資格が存在しています。しかし、これらは管轄機関、設置義務の範囲、取得条件において大きく異なる別個の資格です。
飲食店経営者にとって、この2つの違いを理解し、適切な資格取得と配置を行うことは法的義務を果たすうえで極めて重要な要素となります。
管轄と資格の種類による違い
食品衛生責任者と食品衛生管理者は、それぞれ異なる機関によって管轄されている点が最も基本的な違いといえるでしょう。
食品衛生責任者は各都道府県の保健所が管轄する公的資格であり、地域ごとに若干の運用差が見られます。一方、食品衛生管理者は厚生労働省が直接管轄する国家資格として位置づけられています。
この管轄の違いにより、資格の申込先や各種届出の提出先も異なってくるため、資格取得を検討する際は事前に確認することが大切です。
設置義務の範囲による違い
両資格の設置義務が適用される施設の範囲には、明確な違いが存在します。
食品衛生責任者は、飲食店を含む基本的にすべての食品を取り扱う施設において設置が義務付けられており、適用範囲が非常に広範囲に及んでいます。これに対して、食品衛生管理者は特定の食品に限定された設置義務となっています。具体的には、乳製品、食肉製品、食品添加物など、特に衛生上の考慮が必要とされる食品を製造・加工する施設にのみ配置が求められます。
したがって、一般的な飲食店経営においては食品衛生責任者のみが必要であり、食品衛生管理者は通常必要ないことが多いでしょう。
資格取得の条件と難易度による違い
資格取得の条件と難易度においても、両資格には大きな差が見られます。
食品衛生責任者は17歳以上(自治体によっては15歳以上)であれば、学歴や経歴に関係なく誰でも1日間の講習会受講によって取得可能な資格です。受講料も1万円程度と比較的手頃で、確認テストも講習内容をしっかり聞いていれば合格できる水準となっています。
対照的に、食品衛生管理者は医師、薬剤師、獣医師、または特定の学部(医学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学)の卒業者などに受験資格が限定された国家資格です。このように、この2つの資格の取得難易度には大きな開きがあります。
お互いの資格の関係
食品衛生責任者と食品衛生管理者の関係性について理解しておくことは、将来的な事業展開を考えるうえで重要です。
食品衛生管理者の資格を持つ人は、食品衛生責任者を兼任することが法的に認められています。これは、より高度な国家資格である食品衛生管理者が、食品衛生責任者の職務をカバーできると判断されるためです。
しかし、その逆は成り立ちません。つまり、食品衛生責任者の資格だけでは食品衛生管理者の職務を担うことはできないのです。したがって、飲食業界でのキャリア形成を考える場合、まず食品衛生責任者を取得し、必要に応じて段階的に食品衛生管理者の取得を検討するのが効果的でしょう。
食品衛生責任者の役割

食品衛生責任者の役割は多岐にわたり、店舗の安全性を支える重要な基盤として機能しています。その主な役割は次のとおりです。
- 衛生管理と危害の防止
- スタッフ教育と健康管理
- 最新知識の習得と法令遵守
これらの責務を適切に遂行することで、食中毒事故の予防と店舗の信頼性向上を実現できるでしょう。
衛生管理と危害の防止
食品衛生責任者の中核的な役割として、施設全体の衛生状態を維持し、食中毒などの健康被害を未然に防ぐことが挙げられます。
具体的には、調理器具や手洗い場の清掃・消毒を徹底し、原材料の品質チェックから適切な保存方法まで包括的に管理する必要があります。夏場のO157やサルモネラ菌といった細菌性食中毒、冬場のノロウイルス、さらに魚介類に潜むアニサキスなど寄生虫による被害防止策を季節に応じて実施することが求められるのです。
また、万が一問題を発見した場合は、営業者に対して改善提案を行い、迅速な対策実施を促進する責任も担っています。このような予防的アプローチにより、お客様の安全確保と事業リスクの最小化を両立させることができます。
スタッフ教育と健康管理
食品衛生責任者は、店舗で働くすべてのスタッフに対する教育指導の責任を負っています。
手洗い・消毒の正しい方法から調理器具の適切な取り扱い、食材の保存・調理手順まで、衛生管理の重要性を理解させることが重要な業務となります。特に新人スタッフに対しては、基本的な衛生概念から実践的な技術まで体系的に指導し、店舗全体の衛生レベルを向上させなければなりません。
さらに、スタッフの健康状態を日常的に観察し、体調不良者に対しては適切な休養を指示するなど、感染症拡大の防止にも配慮が必要です。このような人的管理により、ヒューマンエラーによる衛生事故を大幅に減らすことができ、結果として顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
最新知識の習得と法令遵守
食品衛生責任者には、常に最新の食品衛生知識と法令情報を習得し続ける学習義務が課せられています。
都道府県知事等が実施する講習会や認定講習会への定期的な参加を通じて、新しい衛生管理技術や規制変更への対応力を維持しなければなりません。2020年から本格導入されたHACCP(ハサップ)システムなど、国際的な食品安全基準への適応も重要な責務の一つです。
また、食品関連法令の改廃を把握し、店舗運営が法的要件を満たしているかを確認する役割も担っています。これらの知識を活かして、店舗の衛生管理システムを常に最適化していくことが大切です。
参考元:食品衛生責任者について(現行の取扱い)|厚生労働省(PDF)
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食品衛生責任者の資格を取得するメリット

食品衛生責任者の資格を経営者自らが取得することで、法的義務の充足だけではなく、次のようなメリットを得ることができます。
- 経営判断の質が向上する
- コストを最適化できる
- リスク管理が適切に行える
- 充実した人材育成が行える
- ブランド価値が向上する
この資格によって得られるこれらの価値を理解し活用することで、競合との差別化を図れるでしょう。
経営判断の質が向上する
食品衛生に関する専門知識を身につけることで、店舗の衛生管理システム構築に関する判断が飛躍的に向上します。単に「清潔にしよう」という表面的な理解ではなく、科学的根拠に基づいた効果的な衛生対策を設計できるようになるのです。
たとえば、HACCPに則った運営方針を自ら設計・導入できる場合、どの工程が重要管理点となるかを正確に判断し、適切な監視方法を確立できます。また、厨房設備の新規導入や改装時においても、衛生管理の観点から最適な配置や仕様を選択できるため、無駄な投資を避けながら効果的な衛生環境を構築することが可能になります。
このような知識に裏打ちされた経営判断により、長期的な事業の安定性と成長性を確保できるようになるでしょう。
コストを最適化できる
経営者自身が食品衛生責任者の資格を持つことで、人員配置の柔軟性が大幅に向上し、結果として人件費の最適化を実現できます。スタッフに完全に依存するのではなく、自身が「食品衛生の最終責任者」として機能できるため、専任スタッフの採用コストを抑制しながら法的要件を満たすことができるのです。
さらに、衛生管理に関する無駄な支出を見極める能力が身につき、本当に効果のある投資箇所を正確に判断できるようになります。たとえば、過剰な消毒剤の購入や不必要な清掃機器への投資を避け、代わりにスタッフ教育や効果的な衛生設備に予算を集中させることができます。
このような適切なコスト配分により、限られた経営資源を最大限に活用し、収益性の向上を図ることが可能となるでしょう。
リスク管理が適切に行える
食品衛生に関する専門知識を持つことで、食中毒などの衛生上の事故発生時に経営者として適切な初動対応を行えるようになります。
事故が起きてもパニックに陥ることなく、冷静に原因を特定し、被害拡大を防ぐための具体的な対策を迅速に実施できるでしょう。また、保健所の立入検査に対しても、専門知識を持って的確に対応できるため、指摘事項を最小限に抑え、営業への影響を軽減することができます。
さらに重要なのは、法的要件の変更に関する情報をいち早く把握し、事前に対策を講じることで経営リスクを回避できる点です。たとえば、新しい衛生基準の施行前に準備を整えることで、競合他社がコンプライアンス対応に追われている間に、スムーズな運営継続によってお客様からの信頼を獲得することが可能になります。
充実した人材育成が行える
経営者自身が食品衛生の専門知識を持つことで、スタッフ教育を直接実施できるようになり、店舗全体の衛生意識を効果的に高めることができます。外部講師に依存することなく、自店の実情に合わせてカスタマイズした教育プログラムを設計し、実践的な指導を継続的に行えるようになります。
また、スタッフの成長段階に応じた段階的な教育計画も立てやすくなり、新人からベテランまで各レベルに適した知識とスキルを効率よく身につけさせることができるでしょう。さらに、経営者自身が率先して資格を取得し、継続的な学習に取り組む姿勢を示すことで、スタッフにとって理想的なロールモデルとなることもできます。
このような経営者の主体的な取り組みが組織全体の学習意欲を刺激し、結果として店舗の総合的なサービス品質向上につながるでしょう。
ブランド価値が向上する
経営者自身が衛生管理に真摯に取り組む姿勢を対外的に示すことで、お客様からの信頼獲得と長期的なブランド価値の向上を実現できます。
食の安全に対する高い意識をマーケティングのアピールポイントとして活用し、競合店との差別化要素として訴求することが可能になるでしょう。特に、食品安全への関心が高まる現代において、経営者の専門的な取り組みはお客様の安心感を大きく向上させます。
さらに、万が一の事故発生時においても、専門知識を持った経営者として誠実かつ的確な説明責任を果たすことができ、信頼関係の維持・回復を図ることができるでしょう。また、スタッフや取引先に対しても、食品安全に対する真剣な取り組み姿勢を示すことで、より良好な関係性を構築し、事業運営全体の円滑化を促進することができます。
食品衛生責任者の資格取得手順

食品衛生責任者の資格取得は、飲食店の開業に向けた重要なステップの一つです。取得のための適切な手順を理解し、早めの準備を進めることで、円滑な開業スケジュールを確保できます。
ここでは、資格を取るための基本ルートから、具体的な資格取得手順まで詳しく解説していきます。
資格取得の基本ルート
食品衛生責任者になるためには、主に2つの方法が用意されています。
第一の方法は、調理師や栄養士などの特定資格を既に保有している場合の免除ルートです。これらの資格保有者は、食品衛生に関する十分な知識を有していると判断されるため、講習会受講を免除されます。
第二の方法は、各都道府県の食品衛生協会等が実施する養成講習会を受講するルートです。この講習会は約6時間の学習プログラムで構成されており、17歳以上であれば学歴や経歴に関係なく誰でも受講可能となっています。
受講料は地域によって異なりますが、概ね1万円前後に設定されているのが一般的です。講習会終了後に実施される確認テストに合格すれば、その場で食品衛生責任者手帳が交付され、資格取得が完了します。
免除要件を満たす場合
特定の資格を既に保有している場合、食品衛生責任者養成講習会の受講が免除される制度があります。この免除制度を活用することで、時間とコストを大幅に節約しながら資格取得を実現できるのです。
免除対象者は申請手続きのみで食品衛生責任者の資格を取得できるため、効率的な取得ルートといえるでしょう。
対象となる資格・条件
免除対象となる資格は、食品衛生に関する専門知識を有すると認められる資格に限定されています。
具体的には、調理師、製菓衛生師、栄養士、船舶料理士、食鳥処理衛生管理者が主要な対象資格です。また、と畜場法に規定する衛生管理責任者や作業衛生責任者の資格保有者も免除対象に含まれます。さらに高度な資格として、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師などの医療関連資格や、食品衛生管理者、食品衛生監視員の資格要件を満たす者も対象となります。
学歴では、大学で医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の課程を修了した卒業者が該当します。加えて、平成9年以降に他の都道府県で食品衛生責任者養成講習会を修了している場合も免除対象となるため、転居による開業時には確認が重要です。
参考元:・食品衛生法施行規則(◆昭和23年07月13日厚生省令第23号)
免除者の手続き方法
免除対象資格を保有している場合の手続きは比較的簡単ですが、地域によって手続き方法が異なるため事前の確認が重要です。
まず、各都道府県の食品衛生協会または管轄保健所に連絡し、必要書類と手続きの流れを確認します。一般的には、保有資格を証明する免許証や修了証の原本またはコピーの提示が求められることが多いでしょう。
その後、申請書に必要事項を記入し、身分証明書とともに提出することになります。手数料や申請から食品衛生責任者手帳発行までの期間については、各自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。
なお、他県で取得した食品衛生責任者資格については、転居先での手続きが必要な場合があるため、こちらも事前に確認することが重要です。手帳発行後は、営業許可申請時に提示する必要があるため、大切に保管しておきましょう。
参考元:確認書交付|食品衛生責任者養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会
食品衛生責任者講習会を受講する場合
免除対象資格を持たない場合は、食品衛生責任者養成講習会の受講が必要になります。
この講習会は全国各地で定期的に開催されており、比較的取得しやすい資格として多くの飲食業関係者に利用されています。ただし、人気の高い講習会のため、余裕を持って計画的に申込むことが大切です。
ここからは、主に東京都食品衛生協会の講習会を中心に詳細を解説していきます。そのため、東京都以外で取得を検討している方は、必ず所在地の食品衛生協会での情報を確認するようにしてください。
参考元:食品衛生責任者養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会
受講資格
食品衛生責任者養成講習会は、17歳以上であれば基本的に誰でも受講可能です。学歴や職歴、経験年数などの制限は設けられていません。ただし、現役高校生については受講を制限している地域があるため、事前確認が必要でしょう。
外国人の場合は、在留カードまたは特別永住者証明書の提示が求められ、講習内容を理解できる日本語能力が必要とされています。
申込み方法
講習会の申込み方法は地域によって異なりますが、多くの場合、インターネット、電話、郵送、窓口での直接申込みが可能です。東京や大阪などの都市部では、申込み開始から数日で定員に達することも珍しくないため、早めの手続きが重要になります。
申込み時には、希望する受講日と会場を第3希望まで記入できる場合が多く、柔軟なスケジュール調整が可能です。受講料は当日現金で支払うのが一般的ですが、地域によって異なる場合があります。
申込み後の流れ
申込みが受理されると、食品衛生協会から受講票または受付票が郵送されます。この受講票には、受講日時、会場、持参物などの重要な情報が記載されているため、紛失しないよう注意が必要です。
受講日の変更やキャンセルについては、各協会の規定に従って手続きを行います。当日は受講票を必ず持参し、指定された時間までに会場に到着するようにしましょう。遅刻した場合はキャンセル扱いとなることが多いため、余裕を持った到着が大切です。
講習会の受講の流れ
講習会は通常1日で完結するプログラムとして設計されており、朝から夕方まで約6時間の集中学習が行われます。
効率的に食品衛生の基礎知識を習得できるよう、実践的な内容に重点を置いた構成となっています。また、講習終了後には確認テストと修了証の交付が行われます。
講習内容
講習会は3つの主要科目で構成されています。
「食品衛生学」では約2.5時間をかけて、主要な食中毒の種類と原因、健康被害の防止方法、食品の適切な取り扱い方法について詳しく学習します。夏場の細菌性食中毒、冬場のウイルス性食中毒、寄生虫による被害など、季節ごとの特徴的なリスクと対策方法が重要なポイントです。
「食品衛生法」では約3時間をかけて、食品衛生法の全体像、営業規制、自主的な衛生管理、自主回収報告制度など、法的要件について包括的に学びます。
「公衆衛生学」では約30分間で、環境衛生や労働衛生の基礎知識を習得します。
講習では具体的な事例を知ることもでき、実践的な理解を深められるよう工夫されています。各科目とも、店舗運営に直結する内容が中心となっているため、経営に役立つ知識を効率的に身につけることができます。
確認テストと修了証
講習会の最後には、学習内容の理解度を確認するためのテストが実施されます。このテストは選択式で出題され、講習中の説明を聞いていれば十分に解答可能な内容となっています。そのため、事前の特別な勉強や準備は必要なく、講習をしっかりと受けることでほとんどの場合は合格できるでしょう。
テスト終了後、その場で「食品衛生責任者手帳」(受講修了証)が交付されます。この手帳は営業許可申請時や保健所の検査時に必要となる重要な書類のため、大切に保管する必要があります。
また、多くの協会では食品衛生責任者プレートの販売も行っており、店舗内の見やすい場所に責任者名を掲示することで、お客様やスタッフへの信頼感向上に役立てることができます。
万が一手帳を紛失した場合は、受講番号を控えておくことで再発行が可能ですが、手数料が発生する場合があるため注意しましょう。
eラーニング方式の講習会
近年、多くの自治体でeラーニング方式による食品衛生責任者養成講習会が導入されており、より柔軟な受講スタイルが選択できるようになりました。
日本食品衛生協会が提供するeラーニングシステムを利用し、パソコン、タブレット、スマートフォンから24時間いつでも受講可能です。働きながら資格取得を目指す方や、遠方で会場に通うのが困難な方にとって非常に便利な選択肢といえるでしょう。ただし、受講条件は地域によって異なり、たとえば東京都では都内在住または都内の食品関連施設勤務者のみが対象となっています。
eラーニング受講中は、カメラによる本人確認や理解度チェックが行われるため、集中して取り組む必要があります。受講期間内にすべてのカリキュラムを修了し、最終テストに合格すれば、従来の会場型講習会と同等の修了証が発行されます。
参考元:e-ラーニング型養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会
資格取得後のポイント
食品衛生責任者の資格には有効期限がなく、一度取得すれば全国どこでも生涯にわたって有効な資格として活用できます。ただし、食品衛生に関する法令や技術は常に進歩しているため、継続的な学習が重要になります。
営業許可申請時には修了証の提示が必要となるほか、店舗内での責任者名の掲示も求められることが一般的です。また、地域によっては実務講習会への参加が義務または推奨されている場合があるため、管轄保健所や食品衛生協会に確認しておくことが重要でしょう。
さらに、HACCPシステムの導入義務化など、食品衛生に関する新しい制度への対応も継続的に求められるため、業界動向への注意を怠らないことが成功へのカギとなります。
資格取得は飲食店経営のスタートラインに過ぎず、実際の店舗運営では日々の衛生管理実践が最も重要な要素となることを念頭に置いて活用していきましょう。
食品衛生責任者の資格取得で安全・安心の店舗運営を実現しましょう

食品衛生責任者の資格取得は、飲食店経営における基盤となる重要な第一歩です。
適切な衛生管理によりお客様の信頼を獲得し、事故リスクを最小化することで、安定した事業運営を実現できます。さらに、経営者自身が専門知識を身につけることで、より質の高い経営判断と効果的なスタッフ教育が可能になり、競合との差別化にもつながるでしょう。
安全・安心な店舗運営をさらに効率化するために、NECが提供するサブスクリプション型POSシステム「NECモバイルPOS」は、売上管理や在庫管理などの機能を連携により統合し、衛生管理と並行した総合的な店舗運営をサポートします。
NECモバイルPOSは、24時間365日のサポート体制により、導入後も安心してご利用いただけるシステムです。まずはお気軽にお問い合わせください。
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