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飲食店の打刻忘れはどうすればいい?原因から対応策、法的リスクまで徹底解説

飲食店の経営者や運営側の方の中には、「スタッフの打刻忘れが多くて給与計算が大変」「残業代未払いのリスクが心配」「タイムカードの打刻忘れにどう対応すべきか悩んでいる」といった悩みを抱えているケースが珍しくありません。
特に繁忙期や人手不足の状況では、スタッフが打刻を忘れるケースが増え、適切な労務管理が難しくなります。
打刻忘れは単なる事務手続きの問題ではなく、労働時間の正確な把握ができなくなることで、労働基準法違反のリスクを高めたり、スタッフとの信頼関係を損なったりする可能性があります。
本記事では、タイムカードの打刻忘れが起こる理由から、法的リスク、スタッフへの対応方法、そして具体的な防止策まで詳しく解説します。
これらの対策を実践することで、打刻忘れによるトラブルを減らし、効率的な店舗運営を実現できるでしょう。飲食店の労務管理を改善したい経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。
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タイムカードの打刻忘れの理由

飲食店における打刻忘れは珍しくない問題です。シフト制で働くスタッフが多く、忙しい時間帯が多い飲食業では、打刻忘れが頻発しやすい環境にあります。
適切な勤怠管理を行うためには、なぜ打刻忘れが起きるのかを理解することが重要です。主な原因は次のようなものが考えられます。
- 出退勤時の打刻が習慣になっていない
- 打刻機の設置場所に問題がある
- 業務が忙しく打刻を行う余裕がない
- シフト制による勤務時間のバラつき
- 打刻に手間がかかる
打刻忘れの主な原因を把握し、それぞれに適した対策を講じることで、スタッフの勤怠管理をスムーズに行えるようになるでしょう。
出退勤時の打刻が習慣になっていない
飲食店では多くのアルバイトやパートタイムスタッフが働いており、彼らにとって出退勤時の打刻が日常的な習慣として定着していないことがあります。特に新入スタッフは打刻の重要性を十分理解していないため、打刻を忘れてしまうケースが多いでしょう。
出勤したときにまず打刻する、退勤する前に必ず打刻するという行動が自然な流れになっていなければ、ついうっかり忘れてしまいます。また、打刻の重要性についての教育が不足していると、「あとでもいいだろう」という意識が生まれ、結果的に忘れてしまうことも増えるでしょう。
打刻は単なる事務作業ではなく、適正な賃金支払いのために欠かせない業務の一つであることを理解させることが大切です。
打刻機の設置場所に問題がある
打刻忘れが頻発する大きな原因の一つに、タイムレコーダーの設置場所の問題があります。
飲食店の奥まった場所や事務所内など、スタッフの出退勤時の動線から外れた場所にタイムレコーダーが設置されていると、目に入りにくいため打刻を忘れやすくなります。また、出入口から離れた場所に設置されていると、出勤時はまず厨房や売場の状況を確認したいという思いから、打刻をあとに回してしまい、結果的に忘れてしまうこともあります。
退勤時も同様に、タイムレコーダーが目につきにくい場所にあると、疲れて早く帰りたいという気持ちから打刻を省略してしまう可能性が高まります。
そのため、スタッフが自然と目にする場所、特に出入口付近など必ず通る場所に設置することが重要です。
業務が忙しく打刻を行う余裕がない
飲食店は昼食時や夕食時などのピーク時間帯には非常に忙しくなります。そのような状況下では、スタッフはお客様対応や調理業務に追われ、打刻をする余裕がなくなってしまいます。特に予想外の混雑や急な人員不足などの緊急事態が発生した場合は、打刻どころではなくなり、打刻忘れのリスクが高まります。
また、開店直前に出勤した場合、準備に追われて打刻を忘れてしまうことがあるでしょう。同様に、閉店作業で疲れた後、早く帰りたい一心で打刻を忘れることも少なくありません。
このような状況では、スタッフが時間に追われながらも確実に打刻できるシステムや仕組みが必要です。
シフト制による勤務時間のバラつき
飲食店ではさまざまなシフトパターンがあり、スタッフによって出退勤の時間が大きく異なることがあります。
通常と異なる時間に出勤・退勤する場合、普段の習慣が適用されないため打刻を忘れてしまう可能性が高まります。たとえば、通常は昼のシフトを担当しているスタッフが、急遽夜のシフトに入る場合、普段とは異なる状況に戸惑い打刻を忘れてしまうことがあるでしょう。
また、早朝の仕込みや深夜の閉店作業など、通常の営業時間外に単独で作業する場合も打刻忘れのリスクが高まります。周囲に他のスタッフがいないと打刻を促す声かけもなく、打刻忘れが発生しやすくなるためです。
このようなシフト制の職場では、シフトの変更があっても確実に打刻できる仕組みが重要になります。
打刻に手間がかかる
使いにくいタイムカードシステムも打刻忘れの原因になります。
打刻方法が複雑であったり、タイムカードの挿入に時間がかかったりすると、スタッフは打刻を面倒に感じてしまいます。特に飲食店のような忙しい環境では、少しでも手間がかかる作業は後回しにされがちです。
また、タイムレコーダーが故障していたり、反応が遅かったりする場合も、スタッフのストレスとなり打刻を避ける原因になります。さらに、手書きでの記入が必要な場合や、複数のカードに記入が必要な場合など、打刻プロセスが複雑であるほど、打刻忘れのリスクは高まります。
スタッフが短時間で簡単に完了できる、ストレスのない打刻システムを導入することが、打刻忘れ防止のカギとなります。
打刻忘れによるリスク

タイムカードの打刻忘れは単なる手続き上の問題ではなく、飲食店経営にさまざまな悪影響をもたらします。
- 労働時間を正確に把握できない
- 給与計算のミスが生じる
- 残業代の未払いリスク
- 人事・労務担当者の負担増加
- 企業イメージの低下
打刻忘れが頻発する状況を放置することで、経営に大きな打撃を与える可能性もあるため、その潜在的なリスクを十分に理解しておくことが重要です。
労働時間を正確に把握できない
打刻忘れが発生すると、最も直接的な問題としてスタッフの正確な労働時間を把握できなくなります。2019年の働き方改革により、企業はスタッフの労働時間を客観的な方法で把握することが義務付けられています。
参考元:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて|厚生労働省(PDF)
打刻忘れによって労働時間の記録が不完全になると、この法的義務を果たせなくなるリスクがあります。特に飲食店では営業時間外の仕込みや片付けなど、記録されにくい労働時間が発生しやすく、打刻忘れと相まって実際の労働時間が見えにくくなります。
また、労働時間を正確に把握できないと、スタッフの過重労働を見逃す可能性もあり、健康管理の観点からも問題です。これらは、労働基準監督署の調査が入った際に、不適切な労働時間管理として指摘を受ける可能性もあるため注意が必要です。
給与計算のミスが生じる
打刻忘れは給与計算に直接影響を与えます。
飲食店では特に時給制のアルバイトやパートタイムスタッフが多く、正確な労働時間記録に基づいた給与計算が必須です。打刻漏れがあると、実際に働いた時間と記録上の時間に差が生じ、給与の過不足が発生します。
給与が少なく支払われればスタッフの不満につながり、多く支払われれば経営の無駄なコストとなります。また、特に繁忙期や特別営業日などは、休日手当など通常とは異なる給与体系が適用される場合もあり、打刻忘れによってこれらの特別手当の計算ミスも起こりやすくなります。
正確な給与計算はスタッフとの信頼関係の基盤であり、その信頼を損なわないためにも打刻忘れは防止すべき問題です。
残業代の未払いリスク
打刻忘れによる最も深刻なリスクの一つが、残業代の未払いです。特に閉店作業などで打刻せずに残業した場合、その労働時間は記録に残らず、結果として残業代が支払われないことになります。
労働基準法第37条では、残業に対しては基本給の1.25倍以上の割増賃金を支払うことが義務付けられており、打刻忘れによって残業代が支払われない状態は法律違反になります。さらに、スタッフがこの問題に気づき労働基準監督署に申告した場合、店舗は行政指導を受けるだけでなく、未払い賃金に加えて遅延損害金の支払いも求められる可能性があります。
飲食店では特に繁忙期の残業が多くなりがちなため、このリスクは特に注意が必要です。
参考元:e-Gov法令検索 労働基準法
人事・労務担当者の負担増加
打刻忘れは人事・労務担当者の業務負担を著しく増加させます。
打刻漏れが発生すると、担当者は該当するスタッフに実際の勤務時間を確認し、手動で記録を修正する必要があります。飲食店のように多くのアルバイトやパートタイムスタッフを抱える職場では、この確認・修正作業だけでも大きな時間を要します。
特に月末の給与計算時期になると、打刻忘れの修正作業が集中し、本来行うべき経営分析や店舗運営の改善検討などの重要業務が後回しになってしまうことも少なくありません。また、打刻忘れの確認は、発生から時間が経過するほど正確な情報を得ることが難しくなり、担当者はさらに多くの時間を費やすことになります。
シフト制の飲食店では特に、さまざまな時間帯に出退勤するスタッフの勤怠管理が複雑になり、打刻忘れはその複雑さをさらに増大させてしまうのです。
企業イメージの低下
打刻忘れが常態化し、それによって残業代未払いなどの問題が発生すると、飲食店としての企業イメージが大きく損なわれるリスクがあります。
SNSの普及により、スタッフの不満は瞬時に拡散する可能性があり、「この店は残業代をきちんと払わない」などの噂は求職者の応募を減少させる原因になります。
飲食業界は人手不足が深刻な状況にあり、優秀な人材を確保するためには良好な企業イメージが不可欠です。また、労働環境に問題のある飲食店として地域社会に認識されると、顧客離れにもつながりかねません。現代の消費者は企業の社会的責任にも注目しており、スタッフの労働環境に問題がある企業からのサービス提供を避ける傾向があります。
さらに、労働基準監督署からの指導や処分、最悪の場合は企業名の公表などによって、メディアに取り上げられるリスクもあります。この一度失った信頼を取り戻すには長い時間と多大な努力が必要になります。
打刻忘れによる減給は違法になるのか

タイムカードの打刻忘れが発生した際、飲食店オーナーとして適切に対応するためには、労働法規の正しい理解が不可欠です。
打刻忘れに対して「減給」や「欠勤扱い」などのペナルティを検討する場合、法的な観点から慎重に判断する必要があります。安易にペナルティを課すことで、逆に法令違反となり、事業者側が罰則を受けるリスクもあるでしょう。
ここでは、打刻忘れに対する減給や罰則の法的な側面を解説します。
参考元:e-Gov法令検索 労働基準法
実労働時間分の給与を支払う必要がある
打刻忘れが発生した場合でも、スタッフが実際に勤務していた時間に対しては、正当な賃金を支払う義務があります。これは労働基準法第24条に規定されている「賃金全額払いの原則」に基づくものです。
つまり、タイムカードの打刻がなかったとしても、スタッフが実際に働いていた事実が確認できる場合、その労働に対する賃金は全額支払わなければなりません。たとえ打刻忘れを防止する目的であっても、「打刻忘れをした分の給与は支払わない」という対応は法律違反となります。
飲食店では特に繁忙時に打刻忘れが発生しやすいですが、その時間帯にスタッフが実際に働いていた事実は監視カメラ映像、他のスタッフの証言など複数の証拠から確認できるため、賃金不払いは正当化できません。
労働の対価として賃金を全額支払うことは、雇用主の基本的な義務であることを心に留めておきましょう。
罰金や欠勤扱いは労働基準法違反となる可能性が高い
打刻忘れに対して、「1回につき罰金○円」「3回で1日欠勤扱い」などのペナルティを設けることは、労働基準法違反となる可能性が高いです。
労働基準法第16条では、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と規定しています。この条文に基づくと、打刻忘れに対して金額を明示した罰金を科すことは明らかに違法となります。また、直接金額を明示していなくても、「欠勤扱い」として日給相当額の賃金を減額することも、実質的には違約金を定めているとみなされる可能性があります。
法律に違反した場合、罰則として最大で「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が定められています(労働基準法第109条)。特に飲食店など労働集約型の業種では労働基準監督署の調査が入ることも多く、違反が発覚するリスクが高いことも認識しておく必要があります。
就業規則に基づく懲戒処分としての減給は可能
打刻忘れが常習的に繰り返され、何度注意しても改善が見られない場合は、就業規則に基づく「懲戒処分」として減給を行うことは可能です。
ただし、これにはいくつかの条件を満たす必要があります。まず、就業規則に打刻忘れが懲戒処分の対象となることを明確に記載し、スタッフに周知徹底しておくことが必須です。
また、労働基準法第91条により、減給処分には上限が設けられています。1回の減給額は平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、複数回の減給処分を行う場合でも、減給の総額は1賃金支払期間における賃金総額の10分の1を超えてはいけません。たとえば、月給20万円のスタッフの場合、月内の減給総額は最大で2万円までとなります。
さらに、単発的な打刻忘れではなく、繰り返し行われる常習的な打刻忘れであり、口頭での注意や指導を行っても改善されない場合など、減給処分が相当と認められる状況である必要があります。
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打刻忘れのスタッフへの対応方法

打刻忘れが発生した際には、適切かつ迅速な対応が求められます。
飲食店のシフト制や忙しい業務環境では打刻忘れが発生しやすいですが、放置すれば給与計算のミスや労務管理上の問題につながります。スタッフの打刻忘れに対しては、単に叱責するのではなく、原因を把握し再発防止に向けた建設的な対応を取ることが重要です。
また、法的な観点も考慮しながら、公平かつ効果的な対処法を選ぶ必要があるでしょう。
本人に直接確認し、経緯と勤務状況を把握する
打刻忘れが発生した場合、最初に行うべきことは、該当スタッフに直接確認し、打刻忘れに至った経緯と実際の勤務状況を正確に把握することです。
「なぜ打刻を忘れてしまったのか」という理由を確認することで、単なるうっかりミスなのか、システム上の問題なのか、あるいは業務の忙しさによるものなのかを明らかにできます。
この確認作業は、できるだけ早いタイミングで行うことが重要です。打刻忘れから時間が経過すると、スタッフ本人も正確な出退勤時刻を思い出せなくなり、事実確認が難しくなります。
また、確認の際は責めるような態度ではなく、事実を把握するための対話として進めましょう。さらに、必要に応じて他のスタッフや監視カメラの映像など、客観的な証拠も参考にして実際の勤務時間を確認することが大切です。
特に繁忙期の打刻忘れは、業務の負担が原因である可能性も高いため、スタッフの話をよく聞くようにしましょう。
確認した勤務状況を記録し、給与計算に反映させる
打刻忘れがあった場合でも、確認した実際の勤務状況を正確に記録し、給与計算に反映させることが重要です。
このとき、確認した出退勤時刻を勤怠管理台帳などに明確に記録し、修正の経緯や根拠も残しておくとよいでしょう。特に飲食店では変動的な勤務時間やシフト制が多いため、正確な労働時間の把握は給与計算の基盤となります。
記録する際には、「誰が・いつ・どのように」確認したのかを含め、できるだけ詳細に記載しておくことがポイントです。将来的に労働時間に関する疑義が生じた場合にも、適切に対応できるようになります。
また、修正した勤怠記録はスタッフ本人にも確認してもらい、認識の相違がないようにすることが望ましいでしょう。この過程を通じて、正確な労働時間管理の重要性をスタッフに再認識させる機会にもなります。
打刻ルールを再確認し、重要性を説明する
打刻忘れが発生した場合、該当スタッフに打刻ルールを改めて説明し、その重要性を理解してもらうことが必要です。
打刻は単なる形式的な作業ではなく、正確な給与計算や適切な労働時間管理のために欠かせないものであることを具体的に説明しましょう。特に「なぜ打刻が必要なのか」という根本的な部分を理解してもらうことで、スタッフの意識改革につながります。
たとえば、打刻忘れによって正確な勤務時間が記録されないと、本来支払われるべき賃金が支払われない可能性があることや、労働時間の適正管理は健康管理の観点からも重要であることなどを伝えましょう。
また、出勤直後、退勤直前など打刻のタイミングや方法についても具体的に説明し、曖昧さをなくすことが大切です。打刻を業務の一部として認識してもらい、「ルールだから守る」ではなく「必要だから守る」という意識を持ってもらえるよう働きかけましょう。
再発防止策を検討・実施する
打刻忘れが発生した場合は、その原因を詳細に分析し、それに基づいた効果的な再発防止策を実施することが重要です。
まず確認すべきは、打刻忘れが職場全体で頻発しているのか、それとも特定のスタッフだけに見られる問題なのかという点です。全体的な傾向がある場合は、タイムカードシステム自体や業務環境に根本的な問題があると考えられます。たとえば、業務の流れと打刻タイミングが合っていない、日々の忙しさに対応できないシステムになっているなど、仕組み自体の見直しが必要かもしれません。
一方、特定のスタッフのみが頻繁に打刻を忘れる場合は、そのスタッフの行動パターンや意識に焦点を当てた個別対応が効果的です。スタッフとの面談を通じて打刻忘れの具体的な理由を明らかにし、それに応じた指導や支援を行いましょう。単に忘れただけなのか、システムの使い方がわからないのか、あるいは意図的なものかなどによって対応は変わってくるはずです。
原因分析に基づく的確な再発防止策が、打刻忘れの減少につながります。
打刻忘れが多いスタッフには始末書や反省文を提出してもらう
繰り返し打刻忘れを行うスタッフに対しては、始末書や反省文の提出を求めることも有効な対応策の一つです。
これは単なる罰則ではなく、スタッフに打刻忘れの問題点を深く考えさせ、改善に向けた意識を高めるための手段ととらえましょう。始末書を書くことで、なぜ打刻が必要なのか、打刻忘れがどのような影響を及ぼすのかを自分自身で考える機会になります。
ただし、始末書の提出を求める際には、強制ではなく本人の自発的な反省を促す形で行うことが望ましいです。また、書式や内容についても適切な指示を行い、スタッフが何を書けばよいのか明確にしておきましょう。
始末書の提出後は、その内容を踏まえて改善に向けた具体的なアドバイスや支援を行うことで、単なる懲罰的措置ではなく、成長のための機会として位置づけることが重要です。さらに、始末書や反省文は勤怠情報を修正した証拠としても活用でき、労務管理上も有用な記録となります。
飲食店で出来る打刻忘れの対策

飲食店での打刻忘れは適切な対策を講じることで大幅に減らすことができます。具体的には次のような対策が効果的です。
- 打刻機の設置位置の最適化
- 打刻忘れ防止ポスター・貼り紙の掲示
- 互いに声掛けし合える環境づくり
- 打刻確認の責任者の設置
- 使いやすい勤怠管理システムの導入
特に飲食業のような忙しい職場環境では、スタッフが自然と打刻できるような仕組みづくりが重要です。ここではこれらについて詳しく解説していきます。
打刻機の設置位置の最適化
打刻忘れを防止するための基本的かつ効果的な対策は、タイムレコーダーの設置位置を最適化することです。
飲食店のスタッフが必ず通る場所、特に出入口付近や更衣室の近くにタイムレコーダーを設置することで、自然と目に入り、打刻忘れを防ぐことができます。出勤時にまず目に入る場所、退勤時に必ず通る場所を選びましょう。
たとえば、スタッフ専用の入口がある場合はその近く、また更衣室がある場合は更衣室の出入口付近も効果的です。特に飲食店では厨房と客席の行き来が多いため、それらの動線上に設置するのではなく、出退勤時の動線上に設置することがポイントです。
また、タイムレコーダーの周囲に不必要な物を置かず、目立つようにすることも重要です。タイムレコーダーを目立たせるために、周囲を明るく照らしたり、カラフルな枠を付けたりするなどの工夫も効果的です。
ただし、お客様の目に触れる場所や通行の妨げになる場所は避けるようにしましょう。
打刻忘れ防止ポスター・貼り紙の掲示
視覚的な注意喚起として、打刻忘れ防止のためのポスターや貼り紙を掲示することは非常に効果的です。
特にスタッフの目につきやすい場所に「タイムカードを押しましたか?」「退勤前に打刻を忘れずに!」などの注意書きを掲示しましょう。タイムレコーダーの周辺だけでなく、スタッフルーム、更衣室、トイレの出口など、スタッフが必ず通る場所やよく目にする場所に複数配置するとより効果的です。
また、ポスターのデザインは定期的に変更することで、「見慣れて気にならなくなる」という状況を防ぐことが大切です。カラフルでユーモアのあるデザインにすることで、スタッフの注意を引きやすくなります。特に繁忙期やシフト変更が多い時期には、より目立つポスターに変更するなど、状況に応じた対応も検討しましょう。
また、ポスターには単に「打刻を忘れないで」というだけでなく、「なぜ打刻が重要なのか」という理由も簡潔に記載すると、スタッフの意識向上につながります。
互いに声掛けし合える環境づくり
打刻忘れを防ぐ効果的な方法の一つが、スタッフ同士が互いに声を掛け合える職場環境を作ることです。
出勤時や退勤時に「タイムカードは押した?」と声を掛け合う習慣を作れば、打刻忘れを大幅に減らすことができます。特に飲食店では同じ時間帯に出退勤するスタッフが多いため、この方法は非常に効果的です。
この取り組みを促進するために、朝礼や終礼などの機会に「お互いに声掛けをしましょう」と伝えたり、シフトリーダーから率先して声掛けを行うよう指示したりすることが重要です。また、声掛けを行ったスタッフを褒めるなど、ポジティブな強化を行うことも効果的です。
この取り組みは打刻忘れ防止だけでなく、スタッフ間のコミュニケーション活性化にもつながります。職場の雰囲気が良くなれば、スタッフの勤務意欲も向上し、結果として打刻忘れなどのミスも減少するという好循環が生まれます。
ただし、声掛けが強制や監視のような雰囲気にならないよう、友好的で助け合いの精神に基づいた取り組みであることを強調しましょう。
打刻確認の責任者の設置
打刻忘れを防止するための効果的な方法として、打刻確認の責任者を設置することが挙げられます。シフトごとや部門ごとに責任者を決め、勤務終了時にスタッフ全員の打刻状況を確認する役割を担ってもらいます。
特に飲食店では閉店作業に追われて打刻を忘れるケースが多いため、最後に退勤する責任者が全員の打刻状況をチェックする仕組みは非常に有効です。責任者は固定しても良いですが、持ち回りにすることで全スタッフの打刻に対する意識が高まるという利点もあります。
たとえば、週ごとや月ごとに担当者を交代させる方法も検討してみましょう。責任者の役割を明確にし、どのようにチェックするか、打刻忘れを発見した場合にどう対応するかといったルールも合わせて決めておくことが重要です。また、責任者がチェックしやすいように、タイムレコーダーの記録を簡単に確認できる仕組みを整えることも大切です。
この取り組みにより、打刻忘れを早期に発見し、迅速に対応することが可能になります。
使いやすい勤怠管理システムの導入
最も効果的な打刻忘れ対策の一つが、使いやすい勤怠管理システムの導入です。
従来のタイムカードからICカードやタブレット端末、スマートフォンアプリなどを活用した勤怠管理システムに切り替えることで、スタッフの打刻忘れを大幅に減らすことができます。特に飲食店では忙しい時間帯に打刻を忘れやすいため、操作が簡単で短時間で完了するシステムが望ましいです。
たとえば、ICカードをかざすだけで打刻完了するシステムや、店舗内にQRコードを設置してスマートフォンで読み取るだけで打刻できるシステムなどが有効です。さらに、打刻忘れを自動で検知し、アラートメールを送信する機能があるシステムなら、打刻忘れが発生しても即座に対応できます。
また、勤怠管理システムは打刻データを自動集計し、給与計算にも連動させることができるため、労務管理の効率化にも役立ちます。システム導入の際には、スタッフの年齢層や技術への慣れなども考慮し、全員が無理なく使えるシステムを選ぶことが重要です。
初期コストがかかっても、長期的には業務効率化とトラブル防止によるメリットが大きいことを理解しましょう。
打刻忘れを防止して適切な労務管理を実現しましょう

タイムカードの打刻忘れは飲食店経営における大きな課題ですが、適切な対策を講じることで解決できます。打刻忘れによって労働時間の正確な把握ができなくなり、残業代未払いなどの法令違反リスクやスタッフとの信頼関係悪化につながることを忘れてはなりません。
効果的な対策として、タイムレコーダーの設置位置の最適化や打刻ルールの徹底に加え、使いやすい勤怠管理システムの導入も検討すべきです。
NECが提供するサブスクリプション型POSシステム「NECモバイルPOS」は、売上管理システムなどと連携が可能ですが、別途勤怠管理システムを併用することで、売上データと人件費の関係性を分析できます。NECモバイルPOSは、売上情報の正確な把握を通じて、効率的な人員配置の検討に役立ちます。
業務効率化と適切な労務管理の両立によって、打刻忘れのリスクを減らしながら収益改善を目指しましょう。まずはお気軽にお問い合わせください。
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