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飲食店が申請できる補助金とは?主な補助金の種類から申請手順、活用方法まで解説

飲食店経営者の皆様の中には、新規設備投資や業態転換の必要性を感じながらも、資金面での課題に直面している方も多いのではないでしょうか。

特にコロナ禍以降、デリバリー対応やデジタル化など、新たな投資の必要性が高まっています。そこで注目したいのが、国や自治体が提供する補助金制度です。補助金は返済不要の支援金であり、事業の立ち上げや拡大、業態転換など、さまざまな用途に活用できます。

しかし、補助金の種類は多岐にわたり、それぞれに異なる申請条件や審査基準が設けられているため、どの制度を活用すべきか迷われる方も少なくありません。

本記事では、飲食店が活用できる主な補助金の種類や特徴、申請手順から具体的な活用事例まで、詳しく解説します。また、補助金を活用したPOSシステム導入についても触れ、経営効率化へのヒントをお伝えします。補助金を活用して経営改善や事業拡大を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

飲食店に大切な補助金とは

コロナ禍以降、飲食店の経営環境は大きく変化し、新たな投資や事業転換を迫られているオーナーも多いのではないでしょうか。

そんな中で注目したいのが、国や自治体が提供する補助金制度です。補助金は、事業の立ち上げや拡大、業態転換などに活用できる返済不要の支援金であり、飲食店の経営改善や成長に欠かせない存在となっています。

特に、デリバリー事業への参入やキッチンカーの導入、店舗改装、デジタル化への対応など、新しいビジネスモデルへの転換を考えている経営者にとって、補助金の活用は大きな助けとなります。しかし、ただ漠然と申請するのではなく、自社の経営戦略に合った補助金を選択することが重要です。

給付金や助成金との違い

補助金、給付金、助成金という言葉をよく耳にしますが、実は明確な区別はありません。ただし、それぞれの特徴を理解しておくことで、より効果的な活用が可能になります。

給付金は、特定の条件を満たすことで支給される資金であり、通常は災害やパンデミックなどの緊急時に受給することができます。また、助成金は、主に雇用や人材育成に関連する支援制度で、一定の条件を満たせば比較的高い確率で受給できるのが特徴です。

一方、補助金は具体的な事業計画の提出が求められ、予算枠や採択件数が設定されていることが多いため、より綿密な準備が必要です。特に飲食店の場合、設備投資や新規事業展開に関する補助金の活用が一般的で、競争率も高くなる傾向にあります。

補助金を活用するメリット

飲食店経営において、補助金の活用は事業拡大や経営改善の強い味方となります。特に、新型コロナウイルスの影響で経営環境が変化する中、多くの飲食店が補助金を活用して業態転換や設備投資を実現してきました。

補助金を活用することにより、主に次の3つのメリットがあります。

  • 返済不要な資金調達が可能
  • 幅広い用途に活用可能
  • 経営改善のきっかけとして活用

ここでは、これらのメリットについて詳しく解説していきます。

返済不要な資金調達が可能

補助金の最大の特徴は、融資とは異なり返済が不要な点です。

通常の借入では、毎月の返済や金利負担が経営を圧迫する可能性がありますが、補助金にはそのような心配がありません。たとえば、1000万円の設備投資を行う場合、補助率50%の補助金を活用すれば、実質的な負担は500万円で済みます。

この返済不要という特徴により、経営者はより設備投資や事業投資に積極的な判断が可能になるでしょう。デリバリー設備の導入や店舗改装、新メニュー開発など、通常なら躊躇してしまうような投資も、補助金があれば実現可能性が高まります。特に、開業間もない飲食店や、新規事業に挑戦したい既存店舗にとって、この特徴は非常に魅力的です。

幅広い用途に活用可能

補助金の活用範囲は、飲食店経営のあらゆる場面に及びます。

たとえば、キッチン設備の更新や省エネ機器の導入といったハード面の投資から、メニュー開発やブランディング、販促活動といったソフト面の投資まで、さまざまな用途に対応した補助金が用意されています。

特に近年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する補助金も充実しており、POSシステムやセルフオーダーシステムの導入、予約管理システムの構築なども支援対象となっています。また、テイクアウトやデリバリー事業の立ち上げ、食品製造業への業態転換など、新しいビジネスモデルの構築にも活用できます。

経営改善のきっかけとして活用

補助金の申請過程は、自社の経営を見直す絶好の機会となります。

申請には具体的な事業計画の提出が求められるため、現状分析から将来の展望まで、経営全般を見直す必要があります。この作業を通じて、自社の強みや弱み、市場環境、競合状況などを改めて把握することができます。

また、補助金申請のために作成した事業計画は、金融機関への融資申請や事業承継の際にも活用できます。特に、売上や利益の目標設定、実現のための具体的な施策、必要な投資額とその回収計画など、経営に必要な要素を網羅的に検討することで、より実現性の高い経営戦略を立てることが可能になります。

飲食店での具体的な補助金活用例

飲食店ではさまざまな形で補助金を活用し、事業の発展につなげることができます。

たとえば、事業再構築補助金を活用すれば、店舗営業に加えてデリバリー部門を新設することが可能です。専用のキッチンスペースの確保、保温機器の導入、配送用バイクの購入などの初期投資に対して補助を受けられる可能性があり、新たな収益元の構築が実現できます。

また、IT導入補助金を利用してセルフオーダーシステムを導入すれば、人手不足の解消が期待できます。注文から会計までの業務を効率化することで、スタッフの負担軽減と人件費の適正化を図ることができるでしょう。

さらに、小規模事業者持続化補助金を活用し、店舗の一部を食品製造スペースとして改装、オリジナル商品の製造販売という新しいビジネスモデルを構築することも可能です。これにより、店舗営業時間外でも収益を確保できる体制づくりを目指すことができます。

このように、補助金は設備投資だけでなく、業態転換や新規事業の立ち上げ、生産性向上など、さまざまな経営課題の解決に向けて活用できます。重要なのは、各店舗の強みを活かした計画を立て、将来を見据えた投資を検討することです。

飲食店向け補助金の種類

飲食店が活用できる補助金には、さまざまな種類があります。それぞれの補助金には、独自の目的や支援内容、申請条件が設定されているため、自社の事業計画に合った補助金を選択することが重要です。

飲食店経営で特に活用できる補助金には次のようなものがあります。

  • 事業再構築補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • IT導入補助金2024
  • ものづくり補助金
  • 事業継承・引継ぎ補助金

ここでは、これらの補助金について詳しく解説していきます。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ポストコロナ時代を見据えた新しい事業展開を支援する制度です。

類型 補助上限額 補助率
成長分野進出枠(通常類型) 6,000万円(7,000万円)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
中小企業:1/2 (2/3)
中堅企業:1/3 (1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
成長分野進出枠(GX進出類型) 中小企業:8,000万円(1億円)
中堅企業:1億円(1.5億円)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
中小企業:1/2 (2/3)
中堅企業:1/3 (1/2)
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
コロナ回復加速化枠(通常類型) 3,000万円 中小企業:2/3
中堅企業:1/2
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) 1,500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
サプライチェーン強靱化枠 5億円
※建物費がない場合は3億円
中小企業:1/2
中堅企業:1/3

飲食店向けには、成長分野進出枠、コロナ回復加速化枠、サプライチェーン強靱化枠などが用意されており、最も一般的な成長分野進出枠(通常類型)での補助額は最大7,000万円にのぼります。特に短期に大幅な賃上げを行うことで、補助金額が増加するのが特徴です。

各枠により申請要件は異なりますが、共通して、
① 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
② 事業計画について金融機関等又は認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
③ 補助事業終了後3~5年で付加価値額を一定水準まで向上させること
を満たす必要があります。

具体的な活用例としては、デリバリーサービスやキッチンカーの導入、新商品の開発・販売、オンラインショップの開設などが挙げられます。

参考元:new windowトップページ | 事業再構築補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化を行うための経費を補助する制度です。地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展を目的としています。

類型 補助上限額 補助率 主な条件
通常枠 50万円 2/3 特別な条件なし
特別枠
(賃金引上げ枠)
200万円 2/3
(赤字事業者は3/4)
賃金を地域最低賃金+50円以上に引き上げ
特別枠
(卒業枠)
200万円 2/3 従業員数が小規模事業者基準を超える
特別枠
(後継者支援枠)
200万円 2/3 中小企業庁主催「アトツギ甲子園」のファイナリスト等
特別枠
(創業枠)
200万円 2/3 創業後3年以内
インボイス特例 上記金額に+50万 上記に追加 インボイス制度の登録事業者

従業員数は5名以下、補助上限額は通常枠で50万円、特別枠で200万円と、比較的小規模な投資向けですが、幅広い用途に活用できる点が特徴です。

活用例としては、店舗の改装、チラシやWebサイトの作成、テイクアウトメニューの開発、POSレジの導入などが一般的です。

参考元:new window小規模事業者持続化補助金(一般型)

IT導入補助金2024

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に、その経費の一部を補助する制度です。主に業務効率化や売上向上、デジタル化を目的としたソフトウェア・システムの導入が対象となります。

類型 補助上限額 補助率 補助対象
通常枠 450万円 1/2 業務効率化・売上アップのためのITツール
インボイス枠
(インボイス対応類型)
350万円 1/2~4/5
(要件により変動)
インボイス対応の会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトなど
インボイス枠
(電子取引類型)
350万円 2/3(中小企業)
1/2(その他事業者)
商流単位の受発注システム
セキュリティ対策推進枠 100万円 1/2 サイバーインシデント対策
複数社連携IT導入枠 3,000万円 1/2~4/5
(対象により変動)
グループでのITツール導入

この補助金のポイントは、飲食店において重要な設備であるPOSシステムに対して高い補助率が適用されることです。飲食店の場合、資本金5,000万円以下もしくは従業員数が100人以下の小規模事業者(個人事業主含む)であれば、POSシステムにかかる経費を50万円までであれば最大80%、補助してもらえます。

参考元:new windowトップページ | IT導入補助金2024

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセスの効率化、高付加価値化、またはグローバル展開を支援し、生産性向上を目的とした国の制度です。

類型 補助上限額 補助率 主な条件
省力化(オーダーメイド)枠 750万円~8,000万円(従業員規模で変動)
1,000万円~1億円(大幅賃上げを行う場合)
1/2(中小企業)
2/3(小規模・再生)
  • 労働生産性が2倍以上になる計画
  • 投資回収可能な計画など
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型) 750万円~1,250万円(従業員規模で変動)
850万円~2,250万円(大幅賃上げを行う場合)
1/2(中小企業)
2/3(小規模・再生)
新製品・サービスの売上比率が10%以上になる計画など
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型) 1,000万円~2,500万円(従業員規模で変動)
1,100万円~3,500万円(大幅賃上げを行う場合)
2/3
  • 新製品・サービスの売上比率が10%以上になる計画
  • DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
  • グリーン成長戦略に掲げられた課題を解決できる製品・サービスの開発であること
グローバル枠 3,000万円
3,100万円~4,000万円(大幅賃上げを行う場合)
1/2(中小企業)
2/3(小規模事業者)
海外市場開拓や直接投資に関する具体的な要件を満たすこと

活用例としては、自動調理機器、食品加工設備、デジタルオーダーシステム、自動搬送ロボットの導入などが挙げられます。申請の際には、付加価値額や経常利益の増加に関する数値目標の設定が必要ですが、その分、経営改善への効果も期待できます。

参考元:new windowものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

事業継承・引継ぎ補助金

事業継承・引継ぎ補助金は、後継者問題に直面する飲食店の事業継続を支援する制度です。経営者の高齢化が進む飲食業界において、円滑な事業継承を実現するための重要な支援策となっています。補助対象となるのは、事業継承に向けた準備やM&A(経営統合)に関連する費用です。

類型 補助上限額 補助率 主な条件
経営革新枠 800万円(賃上げあり)
600万円(賃上げなし)
1/2(賃上げあり)
2/3(賃上げなし)
  • 事業継承後に、経営革新等に取り組むこと
  • デジタル化、グリーン化、事業再構築のいずれかを伴う事業であること
専門家活用枠 600万円 2/3 補助事業期間内に経営資源の引継ぎ(M&A)が着手もしくは実施されること
廃業・再チャレンジ枠 150万円 2/3
  • 一定期間内にM&A(事業の譲り渡し)に着手していること
  • 補助事業期間内に事業の廃業を完了した上で、再チャレンジをすること

飲食店においては、事業承継に伴う店舗改装、M&A費用、承継に伴う新メニュー開発などに活用できます。事業を次世代に引き継ぐ際の財務的負担を軽減できる点が、大きな特徴です。

参考元:new window事業承継・引継ぎ補助金

補助金申請の手順

補助金の申請は、準備から実施、報告まで複数のステップがあります。特に飲食店の場合、営業しながらの申請となるため、計画的に進めることが重要です。

補助金申請のための手順は、次の通りです。

  • 情報収集と補助金を選択する
  • 申請の準備を行う
  • 事業計画を作成する
  • 書類を提出し、審査の結果を待つ
  • 申請した計画通りに事業を実施する
  • 実績報告し、補助金を受給する

ここでは、補助金申請の基本的な流れを、実践的なポイントと共に解説します。

情報収集と補助金を選択する

まずは、自社の経営課題や実現したい事業計画に合った補助金がないかを探すことから始めましょう。

中小企業庁のホームページや、各補助金の専用ウェブサイトで最新情報を確認することができます。また、地域の商工会議所や金融機関に相談すると、地方自治体独自の支援制度など、より詳細な情報を得ることも可能です。

特に飲食店向けの補助金は、募集時期や予算枠が限られていることも多いため、早めの情報収集を心がけましょう。

申請の準備を行う

補助金の申請には、さまざまな書類やデータが必要です。

具体的には、

  • 確定申告書や決算書などの財務諸表
  • 現在の事業概要が分かる資料
  • 補助を受けたい設備の見積書
  • 従業員数の分かる書類

などを求められる場合が多いでしょう。

特に見積書は、補助対象となる経費を正確に把握するために重要です。また、電子申請に必要なGビズID(法人・個人事業主向けの共通認証サービス)の取得も、この段階で進めておくと良いでしょう。

事業計画を作成する

補助金申請の際、重要になるのが事業計画書です。ここでは、補助金を活用して実現したい事業の具体的な内容、期待される効果、実施スケジュール、必要な資金計画などをできる限り詳細に記載しましょう。

特に重要なのは、その事業が自社の経営課題をどのように解決し、将来の成長にどうつながるのかを明確に示すことです。計画書は審査の重要な判断材料となるため、具体的な数値目標を含めて説得力のある内容にしましょう。

書類を提出し、審査の結果を待つ

申請書類一式が準備できたら、必ず定められた期限内に提出しましょう。

近年は電子申請が一般的なため、郵送日数を考慮しなくても申請することができますが、締め切り直前はシステムが混雑する可能性があるため、余裕を持って申請するのがおすすめです。

また、書類に不備がある場合は差し戻されることもあるため、提出前に必ずチェックリストで確認を行いましょう。一般的な補助金の場合、締め切り後、早いもので約1~2ヶ月、遅いものは4ヶ月程度で採択結果が通知されます。

申請した計画通りに事業を実施する

採択後は、申請した事業計画に沿って速やかに事業を開始します。

この際、補助対象となる経費の支払いは、必ず補助事業期間内に行いましょう。期間より前に支払った経費に関しては、補助の対象外になるため注意が必要です。また、見積書、発注書、請求書、領収書などの証拠書類は全て保管するのも忘れずに行いましょう。

万が一、計画に大きな変更が必要な場合は、事前に事務局に相談し、承認を得なければいけません。そのため、できる限り最初に立てた計画に沿った事業を行うことが望ましいです。

実績報告し、補助金を受給する

事業完了後は、実績報告書を提出し、結果を報告しなければいけません。

ここでは、実施した事業の内容や成果、支出した経費の詳細を報告します。特に経費については、保管していた証拠書類と照らし合わせながら、正確に記載することが重要です。

実績報告書の確認が得られ、補助金額が確定した後、指定の口座に補助金が振り込まれます。つまり、補助金の支払いは事業完了後となるため、それまでの資金繰りには十分注意する必要があります。

補助金以外の資金調達方法

補助金は返済不要な資金として非常に魅力的ですが、審査のハードルが高く、資金調達までに時間がかかることが一般的です。そのため、補助金と併せて次の資金調達方法も検討しましょう。

  • 金融機関からの融資
  • 親族や友人からの借入
  • フランチャイズの活用

特に飲食店の場合、季節や流行による経営方針の変更や、設備の故障による突発的な出費など、さまざまな資金需要に対応する必要があるため、複数の調達手段を検討しておくことが重要です。

金融機関からの融資

金融機関からの融資は、飲食店の資金調達において最も一般的な方法です。主な融資先として日本政策金融公庫、銀行などの民間金融機関、ノンバンクなどが挙げられます。

特に日本政策金融公庫は国が出資する政府系金融機関のため、

  • 民間金融機関より金利が安い
  • 創業して間もない企業でも申し込める制度がある
  • 返済期間が長め

といった特徴があり、資金調達の選択肢として、第一に考えるべき融資先です。

その一方で、民間金融機関やノンバンクは経営実績を重視するため、創業から日が経っていない場合や経営実績に不安がある場合は、利用できないため注意が必要です。

親族や友人からの借入

親族や友人から資金を借りられる場合は、金融機関からの融資と比べて手続きが簡単で、しかも柔軟な返済条件を設定できるため、非常にメリットの大きい方法です。

特に、創業時の資金調達や、急な資金需要への対応として検討されることが多いでしょう。また、経営状況が厳しい時期でも、事業計画を理解してもらえれば融資を受けられる可能性が高くなります。

ただし、この方法を選択する際は、書面での契約書作成や返済計画の明確化など、ビジネス同様のしっかりとした対応を心がけることが重要です。また、返済が滞った場合の人間関係への影響も考慮し、慎重に判断する必要があります。

フランチャイズの活用

フランチャイズへの加盟は、独立開業と比べて初期投資を抑えられる可能性がある資金調達方法の一つです。

多くのフランチャイズ本部では、加盟店の開業資金の調達をサポートしており、金融機関への融資相談や、設備のリース契約などをまとめて支援してくれます。また、本部の信用力を活かした融資も受けやすいといったメリットもあります。さらに、広告宣伝費や食材の仕入れコストを本部と分担できるため、運転資金の負担も軽減されます。

ただし、ロイヤリティの支払いや、独自性を発揮しにくいなどといった点には注意が必要です。加盟を検討する際は、これらのメリット・デメリットを十分に比較検討しましょう。

補助金を活用したPOSシステムの導入

近年、飲食店の経営においてPOSシステムの導入は必須と言えるほど重要性が増しています。このPOSシステムの導入費用も、条件を満たしていれば補助金の対象とすることが可能です。

補助金を活用してPOSシステムを導入すると得られるメリットには、次のようなものがあります。

  • 初期投資の負担が軽減される
  • 業務効率の大幅な改善
  • データに基づく経営判断が可能になる
  • 売上・集客力が向上する
  • 店舗運営が効率的に行える

ここでは、これらのメリットについて詳しく解説します。

初期投資の負担が軽減される

POSシステムの導入には、本体機器の購入費用に加え、設定費用やソフトウェアライセンス料など、まとまった初期投資が必要です。しかし、補助金を利用できれば、この初期費用を大幅に抑えることができます。

使える補助金は、IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金などが挙げられます。特にIT導入補助金のインボイス枠は「インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト」及び「PC・ハードウェア等」の導入をサポートする目的の補助金のため、POSシステムは補助金の趣旨に最も適している設備と言えるでしょう。

また、これらの補助金は返済不要のため、導入後の収益で投資を回収する計画が立てやすくなります。さらに、リース契約と組み合わせることで、初期投資をさらに分散させることも可能です。

このように、補助金活用により、より高機能なシステムの導入を検討することができます。

業務効率の大幅な改善

POSシステムの導入により、日々の業務効率の大幅な向上が期待できます。

従来の手書き伝票や従来型レジでは避けられなかった人的ミスも、システム化により大幅に減少できるでしょう。特に、オーダーから会計、在庫管理までが一元化されることで、スタッフの作業負担が軽減され、接客に集中することができます。

また、多店舗展開している場合は、各店舗のデータを一元管理できることで、本部での管理業務も効率化されます。さらに食材の発注や在庫管理も自動化できるため、廃棄ロスの削減にもつながります。

特に人手不足が深刻な飲食業界において、業務が効率される効果は非常に大きいと言えるでしょう。

データに基づく経営判断が可能になる

POSシステムの最大の利点は、販売データや顧客データを簡単に、そして詳細まで分析できることです。

時間帯別の売上傾向、人気メニューのランキング、顧客の来店頻度など、これまで感覚的にしか把握できなかった情報を、数値として確認できるようになります。これにより、メニュー開発や価格設定、販促施策などを、データに基づいて判断することが可能になります。

POSシステムを導入することで、なんとなく運営方針を決めることがなくなり、根拠のあるしっかりとした経営を進めることができるようになるでしょう。

売上・集客力が向上する

POSシステムは、単なる業務効率化ツールとしてだけではなく、売上向上のための重要な戦略ツールとしても利用できます。

たとえば、顧客管理機能と連携したポイントシステムの導入により、来店頻度の向上や客単価の上昇を図ることができます。また、常連客の好みや来店パターンを分析することで、より効果的な新規メニューの開発や販促施策を展開することも可能です。

さらに、クレジットカードやQRコード決済など、多様な決済手段に対応することで、会計時の利便性が増し、顧客満足度の向上にもつながります。特に、最近は現金以外の決済手段を求めるお客様が増加しており、これらへの対応は売上向上の重要なポイントとなっています。

店舗運営が効率的に行える

POSシステムを導入することで、店舗運営のさまざまな面で効率化が図れます。

たとえば、売上データと連動した勤怠管理により、繁忙期と閑散期に応じた最適なシフト管理が可能になります。また、レジ締めや日報作成、売上集計なども自動化されるため、閉店後の業務時間を大幅に削減できます。

さらに、会計システムとの連携により、売上管理や税務申告に必要なデータを自動で作成できるため、経理業務の負担も軽減されます。

特に、インボイス制度への対応も求められる中、システム化による業務効率化の重要性は一層高まっていると言えるでしょう。

利用可能な補助金制度を積極的に活用して経営の安定化を図りましょう(まとめ)

飲食店経営における補助金は、新規設備投資や業態転換、デジタル化推進などに活用することができます。特に、返済不要である点や、事業計画策定を通じた経営改善効果など、そのメリットは計り知れません。補助金申請の手続きは決して簡単ではありませんが、商工会議所などの支援機関に相談しながら、計画的に進めることで採択率を高めることができるでしょう。

飲食店のDX推進において、特に重要となるのがPOSシステムの導入です。NECが提供するサブスクリプション型POSシステム「NECモバイルPOS」は、IT導入補助金の対象となっており、初期費用を抑えた導入が可能です。

NECモバイルPOSは、売上管理、在庫管理、顧客管理などの基本機能に加え、多数の周辺サービスとの連携により、総合的な店舗運営をサポートします。NECモバイルPOSは、24時間365日のサポート体制と、全国規模のメンテナンスネットワークにより、安心して利用できるシステムです。

IT導入補助金の対象範囲や対象補助額は毎年更新されますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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